学生時代に中国へ留学していた時、留学生は日本人以外にもアメリカやロシア、北朝鮮、韓国、ラオス、インドネシア、マレーシア、トルコなど世界中の人が学びに来ていました。当時の日本人の一般的な考え方では中国が大国になることを想像する人は少なかったので、私たちも珍しい部類に入っていました。
明日から日本の公用語が英語になったらどうなるでしょう?
私だけでなく多くの日本国民が困ります。なぜなら日本人は英語が苦手な人が多いからです。
ところで、英語をアジアには英語を公用語にしている国が何か国があります。フィリピンとシンガポールです。その他にも英語が通用す国があります。
ところで、母国語以外を公用語としている国で、その国の人が母国語ではなく英語でやりとしたら、その会話はどんなものでしょうか?
英語の苦手な日本人同士が英語で会話できるわけありませんが、それなりの教育を受けている国ではいったいどんな感じなのでしょう。
シンガポールでは英語が公用語
私には姉が一人おりまして、その姉が高校を卒業すると同時にカナダに英語留学へ行ってしまいました。卒業するまで5年間帰って来ませんでした。そのうえ留学先で知り合ったシンガポールの人と結婚したので、私の義兄はシンガポール人となってしまいました。今ではシンガポール・ジャパニーズのハーフの甥を持つ叔父さんです。
シンガポールは多国籍国家なため英語を公用語としており、同じ中華系の人同士は北京語や広東語、福建語、客家語でコミュニケーションを取ります。
外国から来たマレーシア人やインドネシア人、インド人とは英語でやりとりしますが、なんと中華系の人同士でも英語でやり取りすることが珍しくありません。
ところが、これがなかなかユニークで、シングリッシュと揶揄される中国語訛りの英語でやりとりすると、日本人にはなかなか聞き取りにくく、文法も間違ってることが多々あります。ただしこれは年代によるところが大きいようです。
シンガポール人はDNAのルーツは確かに中国ですが、生活している環境がもはや中国とは完全に違うので、見た目は中国人でも中身はシンガポール人です。
自分の祖国を尋ねられれば「シンガポール」と答えるし、中国語で会話していても頻繁に単語を忘れて聞き返したりします。
でも、結局のところそれで理解しあえれば結構なわけで、事実私の義兄は商社マンとして世界中を走り回っていますが、シングリッシュが原因で仕事に困ったことはないとのことです。
中国語訛の英語を話す人達
我が家と姉夫婦は交流が多く、姉夫婦は家族で年に最低1回は姉の実家である我が家に遊びに来日します。
そこで私はどうするかと言いますと、やっぱり英語でやり取りするわけです。お互いにシングリッシュを駆使して。
なぜ私もシングリッシュなのかといいますと、私も大学での専攻が中国語でその後の進路も中国語を使うことがしばらくあったので、中国語の発音をベースに英語を話すと、日本人の私までもが中国語訛りの英語を話してしまうというのです。
こういったことは、実は中国語学習者の間ではよく知られていることのようです。
まあ、世界のどの国の人が話す英語が一番聞き取りやすいかと聞かれれば、間違いなくイギリスでしょう。
単語と単語を一文字ずつはっきりアクセントするのはアメリカ人の話す英語とは全くの別物です。
「スラング」と言って、アメリカ人独特の言い回しがあるのもアメリカ英語の大きな特徴です。
この点、中国語にも「スラング」は存在するようですが、中華圏の人達というのは頻繁に大陸の同族と連絡を取り合う習慣があるので、「スラング」が壁になることはないようです。
シンガポールと中国は全く別の国でありながら、住んでいる国民はやはり深い次元で繋がっているように感じてなりません。
生活する環境によって変わるもの
人の性格や習慣など環境の影響で異なるものがあります。言葉は特に環境の影響が大きいと言えます。
日本の中でも関東と関西ではイントネーションが全く違いますし、北海道や沖縄ではまるで外国語のような方言もあります。
私の姉方の甥は父親が中華系、母親が日本人ですが育ったのがシンガポールだったため、学校教育は全てシンガポール仕込みで英語メインです。
日本に遊びに来るたびにどんどん日本語を話せなくなっているのには驚きですが、英語力に関しては欧米人と同じとまではいきませんが、映画を観ていても字幕なしで完璧に理解できるそうです。
最初、そんな甥を見て信じられなかったですが、小学生の頃から全てを英語でやり取りしてきたら、誰でもそうなるのだと教えてくれました。つまり、同じレベルの教育を受けた者どうしであれば、英語でコミュニケーションをとるのは十分可能だということです。
ところで、そんな甥にも悩みがありまして、なんと中国語が苦手だというのです。にわかに信じがたいですが、テストの答案を見て驚きました。相当レベルが低いのです。
ただし、これは日本人が英語が苦手だというのとはわけが違うことがわかりました。なんと、日常会話はほぼ問題なくこなせるというのです。
つまり、常用語句を書いたりするのは苦手だが、ヒアリングもスピーキングも日常生活を送るうえでは問題ないのです。
英語の読み書きは得意だが聞けないし話せない日本人と、聞けるし話せるシンガポール人はいったいどっちが有利なのか。
やはりシンガポール人のほうが国際社会では有利な教育を受けていると言わざるを得ません。どうして日本はいつまでも既存の教育体制を堅持するのでしょうか。国際化とか謳われてますが、モノが行き来することが国際化なら、日本はたしかに最先端です。
しかし、こんな優越性はもはや通用しない時期に差し掛かっています。中国の台頭は日本などとっくの昔に眼中にないといった勢いで伸び続け、アメリカとの争いは必至です。
日本語しか知らない人達
日本人というのは、諸外国のなかでもよく笑い、譲り合いの精神を持った独特の人種だと言われます。しかし、それが近年ただのお人好しみたいに軽く見られることが多々あります。
人は一生のうちで手に入るモノは限られており、それは地位や名誉などの財産も然り、専門分野然り、話せる言語然りです。時間は有限なので外国語を新たに学ぼうとすれば膨大な時間が必要になります。
「時短」とか「コスパ」と言葉が当たり前のように大手を振って歩き、欲しいものがあれば時間を節約して、早く安く手に入れるのが当然の世の中になってしまいました。
ただし、ひとつだけ時短もコスパも通用しないものがあります。それは文化です。文化は長い時の流れを経て育まれたもので、「日本の文化を身に付けたい」とか「アメリカの文化をマスターしたい」というのはナンセンスです。
我々には他国に負けない素晴らしい文化があるということを忘れてはいけません。
ところが、近頃の日本人はありとあらゆる方面で知らず知らず外国の影響を受け、まるで当然であるかのように外国文化の美味しい成果にあやかっているのに、それに無自覚な人があまりにも多いと思います。
もう、とっくの昔にメイドインジャパンの製品などほとんど存在しなくなっていることを知らない人が大勢います。
スーパーに並ぶ既製品の材料など、よく見れば外国製のものばかりです。別にそれでもいいのですが、知らないことと知ろうとしないことは全く違います。
これからの日本は、日本という枠に収まっているだけでは世界の大国に飲み込まれて未来はないでしょう。多言語を身に付けたシンガポールのように教育のやり方を根本的に変えるべきです。
誰もが普通に英語を話せる日本が訪れたら、その時にはもはや英会話教室や英会話の教材は存在しないか、ほとんど売れない世の中になっているでしょう。
シンガポールのことをもっと詳しくしりたいと思われた方は下記の本が参考になると思います。
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