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頭がおかしいアバッキオ!チームのために天寿を全う!一発で天国へ行った男

アバッキオの人生 アニメ・漫画・ドラマ

ジョジョの奇妙な冒険第5部のブチャラティーチームの1人であるレオーネ・アバッキオですが、ジョルノにやたら厳しくて、唇は紫で肌の色は悪いし見た目はマフィア云々抜きにして怖いです。

また、スタンドよりも本体のほうが強いとか、ジョルノに小便入れたお茶を飲ませようとしたゲス野郎だとか、自分の手首を切断するなんて頭がおかしいとか色々と評価が分かれます。

筆者の感想としてはレオーネ・アバッキオという男の人生はある意味で最も人間的というか、漫画らしくない現実的にいそうなキャラなので見ていて親近感が湧いたし、死んだ時はあっけなさ過ぎてショックでした。

そもそもあのアバッキオが警察官に憧れて実際に警官として働いていたこと自体、想像がつかないというか意外性があって面白いと思うのです。

レオーネ・アバッキオがパッショーネに入団した経緯

アバッキオは高校を卒業して新卒で警察官になります。

ところがイタリアでは警察官の汚職が当たり前のように蔓延っていて、賄賂など当たり前。

市民も都合の悪い時だけ警察を頼り、意に反した結果になると意思を投げつけて侮辱する始末で、アバッキオは次第に警察官としての情熱を失っていきます。

やがて、町のゴロツキから賄賂をもらうかわりに不法な売春を見逃す行為に手を染めてしまいますが、どうせ他の警察官も皆やってることだし、自分だけ真面目にやっても仕方がないと白けた感情を抱くようになります。

そんなある日、夜間に高齢者の家に強盗が押し入ったと通報があり駆けつけると、なんと自分に賄賂を渡している男が現場で犯行に及んでいました。

アバッキオは男をその場ですぐに捕まえるべきでしたが、自分の汚職をバラされたらまずいと思って躊躇ってしまいます。

しかし、それを知らない同僚が駆けつけて銃を持っている男に発砲しようとしますが、なんと同僚は強盗の男の発砲を受けて死んでしまうのです。

アバッキは自分が汚職をしたことで同僚まで死なせてしまうという最低最悪のドツボにハマり、人生のどん底に落ちてしまいます。

ところが、警察官を辞めて酒浸りになり路上で廃人のような生活していたアバッキオをブチャラティーが偶然みかけ、自分のところに来るよう手を指し伸ばします。

やがて、入団試験に合格したアバッキオはブチャラティーチームの一員に加わりますが、アバッキオはブチャラティーに恩を感じてはいるものの、魂まで救済されたわけではなかったようです。

実際、人柄も曲がったままですし、チームのなかで口も悪いし素行も悪いという、怖い兄貴分みたいな存在です。ちなみにチームではブチャラティーも含めて誰よりも年上なのも事実で、一番年下のジョルノが入って来た時にはやたら厳しく接っしてきます。

本体のほうが強いだろうという評判について

アバッキオのスタンド(ムーディー・ブルース)はその場所で過去に起きた事実を再現できる能力で、謎の能力で仲間がやられた時など、ムーディー・ブルースでリプレイすることで敵の能力を突き止めるキッカケを与えてくれます。

また、第5部の後半でボスの過去を探るブチャラティーたちが、1枚の写真からイタリアのサルディニア島に来てボスの手がかりを探りますが、この時もムーディー・ブルースのリプレイを十年以上前に遡って再現することでボスの素顔が突き止めることに成功しています。

そんなムーディー・ブルースですが、攻撃能力に疑問符が付くことが多々あります。なぜならムーディー・ブルースは第5部の随所でリプレイ能力による多くの情報を得ることに貢献しますが、最終的にバトルシーンはほとんどないことが分かります。

ポンペイの遺跡でイルーゾーと戦った時でさえ、パンチの一発も食らわせていませんし、ポルポの遺産を奪いに島へ向かう途中でヨットでズッケェロに襲撃された時もスタンドは一方的にやられています。

とりあえず配管の中でパンチのラッシュは放っていましたが当たってなかったみたいですし。

要するにムーディー・ブルースは攻撃能力に優れたスタンドというよりは、警察官だった頃のアバッキオの信念というか、心の深いところで本当にやりたかったことが能力として結晶化したものなので、攻撃に特化していないどころか攻撃能力が極めて低いのです。

本体のほうが強いかどうかと言えば、スタンドはスタンドでしか倒せないのでさすがにそれはないですが、そう言われるくらいムーディー・ブルースは攻撃よりも調査力に優れたスタンドなのだと分かります。

ジョルノに小便入りのお茶を飲ませようとしたゲス行為について

ジョルノ・ジョバーナが涙目のルカを再起不能した件に落とし前をつけるため、ブチャラティーはジョルを始末しようとしますが破れてしまいます。

それどころか、パッショーネの頂点に登り詰めてギャングスタ―になろうとしているジョルノの夢に胸を撃たれてパッショーネ入団の方法を教え、ジョルノは幹部のポルポに提示された入団試験に合格してブチャラティーチームのメンバーになります。

しかし、少々へそ曲がりのアバッキオは新入りのジョルノに洗礼として小便を入れた紅茶を飲むよう強要し、断れない状況に追い込みます。

困って泣きべそをかくところを観たかったアバッキオでしたがジョルノはゴールドエクスペリエンスの能力で小便紅茶をタコの吸盤に吸い取らせてしまい、本当に全部飲んだと信じ込ませ皆を驚かせます。

さすがに飲むわけないと思っていたアバッキオはティーカップを空にしたジョルノに驚き、いっしょにいたミスタやナランチャも「どうやったんだ?」と腰を抜かします。

ともあれ、小便紅茶を直接飲まずに済んだジョルノでしたが、小便紅茶を飲ませようとしたアバッキオの意地悪さは筋金入りだと言えます。

アバッキオという男は辛い過去から立ち直ったというよりも回復過程を歩んでいるような男で、素行が悪いというか社会に対しても人に対しても真摯ではないことがジョルノの一件で良く分かります。

アバッキオ紅茶事件がゲス行為かどうかと聞かれれば、間違いなくゲス行為だと断言します。

ブチャラティーに「俺が連れて来たんだ。愛想よくしろよ」と釘を刺されていたにも関わらず小便紅茶を飲ませようとして、最後に「お前らなにやってんだ!」と怒られても反省してませんでしたし。

アバッキオ手首切断事件

トリッシュ護衛の指令を受けたブチャラティーチームはアバッキオ、ジョルノ、フーゴの3人でポンペイの遺跡へ鍵を取りに行きますが、3人はそこで裏切り者の暗殺チームのメンバーのひとりイルーゾォのマン・イン・ザ・ミラーの攻撃を受け大苦戦します。

マン・イン・ザ・ミラーの鏡の世界に引きずり込まれたアバッキオは、このままだと鍵を奪われてしまうと悟り、スタンドに自分自身の手首を切断させ鍵を持たせてジョルノのもとへ届けようとします。

体半分が鏡の中へ引きずり込まれた状態で手首を切断したことは、自由が利かないアバッキオとしては勇気ある英断だと言えますが、この行為は人によっては頭がおかしいと感じるようです。

イルーゾォを倒した後でブチャラティーのジッパーで繋げてもらえたから良かったものの、ジッパーがなければどうなっていたか分かりません。

ゴールドエクスペリエンスで部品を作って治すという発想もありますが、ともあれ手首切切断事件は吉良吉影と同じくらい頭がおかしい行為だと感じる読者もいるみたいです。

人生の使命を全うした男レオーネ・アバッキオ

第5部で闘えないが色んなところで大活躍する男として人気のアバッキオでしたが、サルディニアでボスの過去を調査している最中、知らない間に核心の部分に触れてしまい非業の死を遂げます。

キング・クリムゾンの攻撃を近距離からまともに受けて体を貫かれ、一切抵抗することなく絶命したアバッキオでしたが、彼は死ぬ間際にムーディー・ブルースが再現したボスのディアボロの顔を石像にスタンドパワーで焼き付けることで大きな手掛かりを残しました。

石像に刻印されたデスマスクはネットで顔認証をするうちに、過去にボスの正体に辿り着いたことのある男の網に引っ掛かり、男はボスの正体を暴いて倒そうという気概のある人物が現れるのをまっていたことを明かし、ボスを倒すための手がかりを教えることを約束します。

結果的にこの男(ポルナレフ)の手がかりが決め手となって第5部はボスのディアボロを倒すことに成功するのですが、アバッキオの人生の経験は良くも悪くもまるでディアボロを倒すための人生だったような気もします。

なぜなら、アバッキオが警察官にならなければ汚職して落ちぶれることもなかったし、それがなければブチャラティーと出会うこともなかったからです。

最後に、アバッキオはあの世へ行く直前、魂のレベルで過去に自分が汚職をしたせいで死なせた同僚と再会します。

同僚を思い出せないアバッキオは膝をついて床に散らばったガラス片を探している警官の姿を見て「どうしてそんなに熱心なのか?」と尋ねます。

同僚は、こうすることで自分が辿り着けなくても誰かが辿り着くための力になれるのだといって、地道で誰も顧みない仕事に黙々と取り組みます。

ところが、そのけなげな姿を見ているうちにそれが自分の死なせた同僚であることを思い出したアバッキオは、思い立ったように近くに停まってあるバスに向かって帰ろうします。

バスに乗って仲間のもとへ帰ろうとするアバッキオに「よくやった」と褒めてくれるとともに、「お前はあれに乗ってここへ来たのを忘れたのか?」と諭します。

アバッキオは三途の川を渡った先で自分の過去の罪、そしてそれが招いた死という現実と向き合い、あろうことか同僚に言葉で魂を救済されるのです。

アバッキオは頭おかしいがカッコイイ

レオーネ・アバッキオについては着ている服の”A”のバックルがカッコイイとか、やたら意地悪だけれど兄貴みたいで優しいとか、なんか人情味あふれる部分が感じられるのは筆者だけでしょうか。

スタンドが直接攻撃に向いていないのもアバッキオの人柄を示すひとつの要素とも言える部分があります。なぜならスタンド能力はスタンド使い本体の生命の次元の最も強い傾向性が露骨に表出されるからです。

つまりムーディー・ブルースはアバッキオの人柄を表すものであり、アバッキオもムーディー・ブルースのような人柄なんだと思います。

ムーディー・ブルースはイカみたいでパンチ力も弱そうだけれど誰かのために力を発揮するのは得意です。つまりアバッキオはまさに警察官の鏡のような人物だったのだと言えます。

また、アバッキオは警察官としてよりもパッショーネの一員としてブチャラティーの部下として仲間のために尽くすことが使命だったようで、ある意味で最も人生を全うした男だと言えます。

死に方が人を決めるとか、生き方が人を決めるとか言いますけど、アバッキオは最後まで仲間のために自分を犠牲にする警察官だったようです。

以上、頭のおかしいレオーネ・アバッキオのカッコイイところについて解説しました。

なお、アバッキオ以外の登場人物にも興味がある方は、『ジョジョの奇妙な冒険第5部』のあらすじについては、『ジョジョの奇妙な冒険第5部』あらすじ解説【黄金の風】を読むと参考になります。

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