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『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦の人間賛歌が人間を否定しないことの意味

波紋を修得するジョナサン・ジョースター アニメ・漫画・ドラマ

中学3年の時、第3部の花京院典明とディオのバトルを観てジョジョのファンになりました。次の日から第1部から順に買い集め、あっという間に第3部まで買い集めたのを覚えています。ところで、第1部の冒頭の見開きに荒木先生が人間賛歌を描くことを宣言している箇所がありますが、先生の言う人間賛歌とはどういう意味でしょうか?

実は荒木先生の言う人間賛歌という言葉の意味は、先生自身があり取材でインタビューされた時、明確に答えています。「人間賛歌とは人間を否定しないこと」だそうです。しかし、ひとりのファンとしてそれだけでは理解できない点が残るので、その疑問点を少し掘り下げて考えてみようと思います。

人間賛歌とは人間を否定しないこと

人間賛歌とは人間を否定しないことだと言われてもパッとしません。これは先生自身が噛み砕いて説明されていて、簡単に言うと悪役だろうがヒーローだろうが善も悪もその存在を否定しない、つまり人間を肯定することだと明言されています。

第4部のラスボスで強力なスタンド(キラー・クイーン)能力を持ち、多くの人の命を奪いながらも自分の欲求を満足させることだけを考え、植物のように静かに生きていきたいと願っていた吉良吉影というキャラクターがいます。

今の世間の常識だけで考えると、吉良吉影のような存在はただの変質者・異常者以外の何物でもありません。吉良吉影で、自身が法で裁かれるのを防ぐために弓と矢で凶悪なスタンド使いを誕生させ、そうすることで追跡者たちを足止めしました。

吉良は凶悪な連続殺人犯だったため、最後には東方仗助や空条承太郎たちに追い詰められ悲壮な最期を遂げました。ところが、救急車に惹かれて顔が潰れてしまい、他人と顔の見分けも付かないような残酷な死に方をしたにも関わらず、吉良吉影は否定されなかったと言えるでしょうか?

この点については、吉良吉影に関わらずジョジョの奇妙な冒険に登場する多くの悪役キャラが、皆そろって酷い殺され方・死に方をしていることからも同じような疑問が湧いてきます。

はたして、荒木先生の言う人間を否定しないという言葉の意味の真意はいったいどこにあるのでしょう。

悪は悪として頑張って欲しいという思い

取材のインタビューで人間賛歌とはどういう意味かと尋ねられた先生は、人間を否定しないことだと答えると同時に、吉良吉影を引き合いに出して悪役は悪役なりに正義の理屈を振り払って「ガーンと上に出てきて欲しい」と先生らしい言葉で回答されています。

荒木飛先生は岸部露伴を自らの憧れの姿だと認める一方で、実は陰ながら応援しているキャラクターが吉良吉影だと明言されています。そのため、「吉良は殺人者として頑張って欲しい」と作品への思いを語っています。

これは、吉良吉影のような変人が好きだという意味もあるかもしれませんが、先生にとっての吉良吉影とは、自分の道を誰にも邪魔させずに突き進む真似できない存在への憧れというか、漫画の中でしか描けない面白さの結晶みたいな代弁者として表現しているのかもしれません。

吉良吉影は生育環境に問題があり、両親の愛情に恵まれず育ったために人格に大きな問題を抱え、精神的に成熟しないまま社会に出てしまったため女性を殺さずにはいられないという致命的な衝動を抱えて生きています。

そして、スタンド能力を身に付けたことでその衝動を抑える必要がなくなり、犯行を繰り返し被害者が増えすぎた結果、やがて東方仗助をはじめとしたスタンド使いの目に留まることになります。

ところが、吉良吉影は自分の正体を探るモノの存在に気付いても簡単に犯罪を辞めようとはせず、承太郎をはじめ追っ手のスタンド使いを返り討ちにして一時は姿をくらませてしまいます。

その奮闘ぶりはたいしたもので、悪役ながらあっ晴れといった逃げっぷりでしたが、これには荒木先生の吉良吉影に対する思い入れがあったことは間違いなさそうです。

一応、少年漫画である手前、悪役は最後には負けてもらわなければ困るのですが、吉良吉影やスタンドのキラー・クイーンのような存在には、そう簡単に負けてもらっては困るというか、負けて欲しくないという思い入れが混ざっていたものと推察されます。

もうこれでおしまいか?と思われる局面になると逆に吉良にとって有利な展開が訪れたり、まるで運命が吉良に見方しているかのうような出来事がたくさん起こります。

また、そういった運否天賦のような巡り合わせも、吉良吉影がただの犯罪者ではなく凡人離れしたズル賢さと大胆な行動力の持ち主であることから、運命さえも味方にしているように描かれています。

吉良吉影の勝ち誇った姿だけを見ていると、もはや吉良吉影に勝てる者など存在しないと思ってしまいますが、そんな吉良も最後は正義の力の団結の前に敗北します。

正義は正義で悪に同情して欲しくない

荒木先生の人間賛歌の意味を深堀しようとすると、どうしても吉良吉影の話を引き合いに出さざるを得ないので、初めてこの記事を読まれた方は先生が悪役ファンなのかと勘違いされそうですが、実はそうでもなさそうです。

荒木先生はもともとバビル2世のファンだったそうで、スタンド能力や承太郎の制服のファッションなどは、バビル2世のガクランや超能力をオマージュとしていることを明言されています。

また、人間賛歌の意味を尋ねられたインタビューにおいても、吉良吉影の生い立ちが可哀そうな生育環境が原因だと分かったからといって、主人公の東方仗助がそれに同情してはいけないんだとも明言されています。

あくまで荒木先生の言う人間賛歌とは人間を否定しないことであり、それは人間を肯定すること。つまり、正義のヒロインは正義を貫いてこそ正義なのです。

だからジョジョの奇妙な冒険は絶対に譲歩しない者同士の火花を散らした闘いが描かれた、同情など抜きにした正義と悪のぶつかり合いが描かれる作品になっています。

ジョジョの奇妙な冒険は正義と悪がとことんやり合うため、私の知る限り登場するどんな悪役やラスボスも、途中で仲間に寝返ったりしない限りは必ずみんな最後は死んでしまうか再起不能になって終わっています。

人間賛歌には悪に対する例外も一部はある

まれに例外として、第2部の主人公ジョセフ・ジョースターと戦ったエシディシのように、ジョセフが波紋で倒すこともできたのに数千年生き抜いたエシディシの生命に敬意を払い、敢えて陽光で自然に消滅させたという感情移入の描写も見られます。

また、ワムーに対しても死ぬ前に血を与えて痛みを和らげるなど、ジョセフ・ジョースターに関しては敗北が確定した敵に対して最後に情けをかける場面がありました。この点、第1部の主人公ジョナサン・ジョースターも、ディオとの決戦の直前に、勇者ブラフォードの負けが確定した際に痛みを感じていることから、吸血鬼でありながら人の心を取り戻していることに気付き、互いに敬意を払ってLUCK(希望)にPを付け加えたPLUCK(勇気)という言葉をプレゼントされている点も似ています。

悪と正義のせめぎ合いのなかで情けをかけるというか、人情味を出すといった描写は、第1部・第2では見られましたが、第3部のスタンド使いが活躍するようになってからも少しだけ見られます。

第3部では花京院典明とジャン・ピエール・ポルナレフが承太郎たちとの闘いに敗れた後、脳に埋め込まれた肉の芽を承太郎のスタープラチナで除去して命を助けてもらっています。そして、両名とも助けてもらった恩を返す為ではなく、ディオに屈服した自分を乗り越えるために承太郎たちの旅に同伴する決意をします。

花京院典明はかつて家族旅行で訪れたエジプトでディオに出会い、その存在感に圧倒されて精神的に屈服した結果、頭に肉の芽を植え込まれて承太郎の命を奪おうとしましたが、敗れた後に承太郎に助けられました。

ポルナレフは香港でモハメド・アブドゥルと戦い、マジシャンズ・レッドのスタンドパワーに圧倒されて敗北しましたが、最後の潔い覚悟を見せたことでアブドゥルに認められ、本来なら焼き死ぬところを助けてもらいました。

2人とも物語のキーマンとして最後まで大活躍し、ポルナレフにいたっては第5部に再び登場するなどシリーズをまたいで活躍するに至っています。

花京院は死んでしまいましたが、ポルナレフは改心しただけでなくエジプトの旅を終えてからは承太郎とともに世界に散らばった弓と矢の所在について調査をしていたようで、陰で立役者として活躍していたことがわかるエピソードもあります。

最後まで読めば分かりますが、人間賛歌を謳ったジョジョの奇妙な冒険は、悪役が絶対に死ぬという堅苦しい設定を設けているわけでもなさそうです。花京院やポルナレフは物語を面白くするための素晴らしいエッセンスとして、悪役から見事正義の仲間へと変身してくれました。

また、第4部のハイウェイ・スターの噴上裕也(ふんがみ ゆうや)なんかも若干ニュアンスは異なりますが、改心したキャラクターに入るんじゃないでしょうか。こういう柔軟なところもジョジョの奇妙な冒険の面白いところで、そういったキャラクターの心の変化や立ち位置の変化も含めて、それが人間賛歌なのかもしれません。

そう考えると、人間賛歌の真意とは善と悪どころか人間そのものを全て肯定する立場を指すことになり、どんなキャラクターもみんな頑張って欲しいという意味に捉えることもできそうです。

キャラクターに必ず前向きな行動理由を付ける

また、荒木先生は人間賛歌について尋ねられた他の取材において、人間賛歌とはキャラクターが道具などを使ったり、神様のような存在が出てきて問題を解決するのではなく、あくまで人間が自分の頭や知恵を使って直面した問題を解決するという、人間そのものの素晴らしさのことだと答えています。

それが悪役だろうがなんだろうが、そのキャラクターには確固たる行動理由が備わっていて、他人にとやかく言われてブレるようなことが絶対にない強い意思を持ったキャラクターが多いのはジョジョの奇妙な冒険に登場するキャラクター全般の共通事項です。

確固たる行動理由という点では、第5部でジョルノ・ジョバーナがボスの娘トリッシュ護衛の任務で、ヒットマンチームのプロシュートとペッシの兄弟と戦いましたが、この2人組の行動理由には是が非でもボスの娘を手に入れるという明確な目的があり、そのために列車の乗客を全員道連れにするのも厭わないという、狂気じみたものでした。

*プロシュートとペッシは「ジョジョの奇妙な冒険第5部」に登場するマフィアの殺し屋で2人ともスタンド使い。

・兄のプロシュート

スタンド:ザ・グレートフル・デッド

能力:あらゆる生物を急速に老化させることができる。

・弟のペッシ

スタンド:ビーチボーイズ

能力:釣竿とリールのスタンドで、投げられた釣り針に引っ掛かると絶対に逃げることができない。

また、弟のペッシが周囲からマンモーニ(甘ちゃん)と馬鹿にされていたのに、兄の死で心のブレない強い精神を持った男に急成長する逸話も、まさに荒木先生がキャラクターに求める精神の成長が描かれている分かり易い例だと言えます。

荒木先生に言わせると、とにかく漫画を描くにあたって一番大切なのはキャラクターであり、キャラクターがどんな性格で、どんな家族構成で、どんな特技があって、弱点はなにかに至るまで、キャラクターの背景についてそのキャラクターになったつもりで考えながらキャラクターを作成するそうです。

この荒木先生の漫画キャラクターに対する姿勢は、人をこよなく愛する漫画家と言うよりは人間そのものに興味がある漫画家と言った方が正しそうです。いわゆる、根っからの人間好きで人間マニアとでも言いましょうか。

失礼でなければ、人間オタクという言葉が誰よりも一番当てはまっているのが荒木飛呂彦だと思うのは私だけでしょうか。

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