ジョジョの奇妙な冒険の看板とも言えるディオ・ブランドー。生まれついての悪としてスピード・ワゴンにゲロ以下の臭いがプンプンすると言わしめたその悪役ぶりは讃嘆に値します。承太郎のスタープラチナによって殺されたディオですが、果たして彼の最大の過ちとはどこにあったのか、ここで一度考察してみようと思います。
生まれついての悪とは言え頭脳明晰で運動神経抜群。育ちの悪さというアドバンテージが無ければ普通にエリート人生を歩めたであろうディオが、わざわざ敗北人生を突き進む羽目になった原因はどこにあったのでしょうか?
ディオの失敗談を書き綴ることは、今後の人類が同じ過ちを犯さないための貴重な反省材料になり得る価値のある行為だと信じます。
ディオの過ちランキング
第7位 ジョナサンを追い込むためにエリナにちょっかいを出してしまった
これは非常に痛かった!ディオの誤算の中でも最大級の大誤算だったと言えます。
ディオにとってエリナはただの女の子に過ぎなかったのに、ジョナサンがエリナと付き合っていることを知ったため、ジョナサンを苦しめるために故意にエリナに無理やりキスするという暴挙に走ります。
最初からジョナサンを精神的に孤立させてジョースター家の財産を乗っ取ることしか考えていなかったディオは、ジョナサンがエリナをどれだけ大切に思っているか考える人間的な感情が欠如していたようです。
そのため、ディオの犯した暴挙に怒り狂ったジョナサンの反撃に遭ってしまい、当初はボクシングの試合で圧勝したように簡単に打ちのめせると思っていたのが、逆にボコボコにされてしまいます。
涙を流して大泣きしたディオの姿は、「ジョジョの奇妙な冒険」の長いシリーズの中でも伝説のワンシーンとなっています。
この時のディオの敗因を一言で端的に説明すると、彼には「他人を愛し思いやる心が欠如していた」の一言に尽きると言えます。
その為、愛を侮辱されたジョナサンの怒りのパワーに圧倒されて負けたのです。
第6位 実の父を殺害したのと同じ手段でジョジョの父親殺害を計画
これも大失敗ですね。一度成功したからと言って2度も同じ手が通用すると考えるのはディオらしくないですが、実の父親に黙って毒を飲ませ続けて殺害し、それがきっかけでジョースター家に引き取ってもらえたという成功体験がディオを過信に陥れたのかもしれません。
実際、周囲に気付かれないように給仕が運ぶ食事も親切を装ってわざわざ自分が運び、直接ジョジョの父親に毒を飲ませ続けるところまでは成功していたので、ジョナサンがたまたまディオが皿から薬袋を取る場面を目撃していなければ、最後まで誰にもバレなかったかもしれません。
結局、悪事がバレて警察に連行される場面で人間を辞めて吸血鬼として生きる決意をしたディオは、ジョナサンが研究材料として使用していた石仮面を被り悪の化身へと姿を変えます。
しかし、ここでひとまず人間としてのディオの人生に終止符が打たれたと言えます。
第5位 生首の状態でジョナサンと戦ってしまった
ジョナサンやツェッペリさんを始めとする正義の団結との闘いに敗れたディオは波紋で首から下を失ってしまい、ワン・チェンという下級の吸血鬼に自分の首を容器に入れさせて運ばせます。
そして、ディオを倒したと思って祝福気分のジョナサンとエリナが新婚旅行で乗った客船に自分も潜入します。
ディオはそこで吸血鬼の子分を増産して客船をパニックに陥れ、阻止するために機関室を訪れたジョナサンと戦い、ジョナサンの首を圧縮された体液のビームで打ち抜きます。
これによって呼吸でき泣くなくなったジョナサンは波紋が使えず死を覚悟しますが、ジョナサンは首だけになったディオを道連れにして客船と共に沈没してしまいます。
またしてもジョナサンの精神力と判断力がディオより1枚上手だったわけですが、そもそもディオは首だけになってすぐに誰でも良いからボディを手に入れておけばよかったはずです。
プライドの高いディオは血を吸うにしても人を選ぶようなところがあって、そのプライドの高さから誰でも良いからボディを選ぼうという選択肢が生まれなかったようです。
そのため、首だけでジョナサンと戦いまたして舟ごと沈没するという煮え湯をのまされたのですが、今回の敗因を簡単に一言で説明すると、ディオは「プライドが高すぎた」の一言に尽きるといえます。
第4位 エジプトで再起を図ったのにアブドゥルを殺し損ねた
ジョナサン・ジョースターとの闘いから100年後、運よく沈没船が引き上げられたことで復活したディオはエジプトで仲間を集めて再起を図ります。
その際、エンヤという老婆から様々なアドバイスをもらいながらスタンド使いを生み出すことのできる「弓と矢」も手中に収め、自由奔放な生活を送ります。
後に分かりますが、世界中で子作りに励みアメリカへ遊びに行ったりもしていたようです。
この時のディオには壮大な夢があったようで、真の幸福を手に入れることと、そのために世界を征服するという最低な野望を抱いていました。
そして「弓と矢」を使用してスタンド使いの手下を増やしたり、スタンド能力を持つものを発掘しては仲間に引き込んだりするという、まさに芸能プロダクションさながらのスカウト行為までしていたようです。
そのなかにはモハメド・アブドゥルやジャン・ピエール・ポルナレフ、花京院典明らの生まれついてのスタンド使いも含まれており、アブドゥル以外はスカウトに成功します。
しかし、このアブドゥルのスカウト失敗は後々ジョセフ・ジョースターや空条承太郎というジョースター家の血統を呼び寄せる呼び水となってしまい、禍の種となってしまいます。
アブドゥルはジョースター一行が50日以内にエジプトへ辿り着いてディオを殺害するという目的達成のためには欠かせない存在で、結果的にアブドゥルのおかげでポルナレフは命拾いして生き残ることができましたし、承太郎たちもディオの館の場所を突き止めることができました。
アブドゥルはただの占い師であるだけでなく、生まれついてのスタンド使いでもあるし、なによりエジプトの地域事情にめちゃくちゃ詳しかったので、乞食のネットワークを利用してディオの館を突き止めたのです。
もしもディオが初めてアブドゥルに遭った時、スカウトせずにすぐに始末するか、失敗したと分かった時に全力で息の根をとめることができていれば、絶対に居場所を突き止められずく生きながらえることが出来たでしょう。
今回のディオの失敗を簡単に一言で説明すると、ディオは「アブドゥルという占い師の存在を甘く見過ぎた」の一言に尽きます。
第3位 バニラ・アイスを吸血鬼にしてしまった
ディオは承太郎たちに潜伏している館の場所が特定されると、部下のスタンド使いを使って全力で自分に辿り着くのを阻止させます。
タロットカードやエジプト9栄神の暗示とは別枠で残された最後の門番にはかなり手強いスタンド使いが待ち構えていて、アブドゥルもイギーも命を落としてしまいます。
このバニラ・アイスというスタンド使いはクリームというスタンド能力を持ち、空間から姿を消して移動することができる一方で、移動中に衝突した物体は全て飲み込んで異次元へ消し去ってしまうという、とんでもない能力の持ち主でした。
姿を消している最中はあらゆる攻撃が無効となる変わり、姿を見せた瞬間だけは攻撃を与えるチャンスが生まれるというまさに針の穴を突くような隙しか持たない奴で、ポルナレフは仲間以外にも自分の足の一部を欠損する重症を負います。
しかし、物体を飲み込まなければ移動できない能力の特性を逆手にとることで居場所を特定することに成功し、最後は陽光のある場所へ引きずり出すことで消滅させることができました。
ところが冷静に考えてみると、アイスは闘いに先立ちDIOに忠誠心を示すよう促されたため、自らのスタンドで自分の首を刎ねてしまうという極端な行動に走っており、それに感心したDIOから血を分け与えてもらえたことで吸血鬼として復活しています。
つまり、DIOが下らない忠誠心など要求することさえなければアイスは生身の体でポルナレフと戦うことができていたわけです。
アイスは自分でも気づかないうちに吸血鬼にさせられたことで、最後は窓から注ぎこむ夕日に当たっただけで足が砕けてしまい、挑発に負けたアイスはポルナレフのいる日向を目指して突き進み消滅してしまいましたが、生身の体で闘っていたらこんな死に方はしなかったかもしれません。
まあ、それ以前にポルナレフから脳幹を串刺しにされた段階で生身なら即死していた可能性大とも言えますが、最後の消え方が吸血鬼そのものの死に方だったのは哀れです。
今回のディオの失敗を一言で簡単に説明すると、ディオは能力の高い部下をわざわざ吸血鬼にするべきではなかったということです。つまり、「重大な判断ミスをした」ということです。
第2位 承太郎に「時を止めるという」事実を認識させてしまった
ようやくディオの棺が納められた部屋まで辿り着いた承太郎たちでしたが、ポルナレフが「階段を登ったと思ったら下りていた」と勘違いさせられるほどディオの能力は謎で圧倒的だったため、ひとまず館から逃げ出すことになります。
そして、逃げるジョセフと花京院を日暮れとともにディオが追いはじめ、ディオの背後を承太郎とポルナレフが追う形となります。
その後、ザ・ワールドの時を止める能力の前に圧倒されて簡単にやられてしまう花京院とジョセフでしたが、追いついた承太郎はジョセフによってディオの能力の正体が「時を止めること」だと認識します。
そして時を止めるという事実を認識した承太郎は、自らも止まった時の世界へ入門できてしまいます。これには、「時を止める」という事実を認識するという大前提が必要だったようで、認識なくして入門することは不可能だったとも言えます。
つまり、花京院やジョセフがディオの能力に気付き、それを承太郎に伝えることに成功したから成し得た技ですが、時を止めるという認識がなければスタープラチナが止まった時の世界で1秒だけ動くということもなかったはずです。
そして、1秒だけなんとか動いて反撃することに成功した承太郎は、やがて自らも時を止めるという事実を認識して実行できるように成長します。
もしも、ディオが最初から問答無用でジョセフと花京院を抹殺することができていたら、事実を認識させることなく静かに承太郎たちを始末できたでしょう。
ところが、承太郎に時を止める能力を認識させてしまったことで、能力の発言を促すきっかけを与えてしまったのは間違いありません。
そもそも、ディオの首からしたはジョナサン・ジョースターの肉体そのものなので、同じ血を引く承太郎がその体に宿るスタンド能力と無関係であるはずはありません。
事実、ディオはジョセフと同じハーミット・パープルをその身に宿しています。
頭と体がそれぞれ別の人間なので、スタンド能力も2人分ということなのでしょう。
ともあれ、最後の最後までディオの時を止める能力に苦戦した承太郎でしたが、ラストはディオが止めた時の時間ギリギリいっぱいが終了した瞬間、スタープラチナが入れ替わりで時を止めたことで、ディオは止まった時の中で動くことができませんでした。
そして、「オラオララッシュ」対「無駄無駄ラッシュ」の壮絶な殴り合いは、スタープラチナの拳がワールドのキックを打ち負かし、亀裂の入ったディオは上半身が真っ二つに割れて負けてしまいます。
ディオの最後は誰もが驚く壮絶な最後でしたが、度重なるミスがあったにもかかわらず人間を超越した存在として最後までよく頑張ったと言えます。
最後のディオのミスを一言で簡単に説明すると、それはとてもシンプルです。「ディオは承太郎を本気で怒らせた」の一言に尽きると言えるでしょう。
第1位 エンリコ・プッチに余計なことを喋った
ディオの失敗の多くはジョナサン・ジョースターを始めとするジョースターの血統との争いの中で犯したミスばかりですが、実はディオの最大のミスはそれだけではありません。
ディオは生前エジプトで再起を図っていた際、単身でアメリカへ行っていたことがあるようです。それは第6部ストーン・オーシャンに登場するエンリコ・プッチという神父の証言で明らかになりますが、プッチ神父とディオの関係がただの知り合いを超えた友達の関係だったことは驚きです。
その頃のディオは既にスタンドのワールドを発現させており、時を止めることができることをプッチに明かしていたそうです。
ところがそんなディオには夢があり、「天国へ行く方法」を探してそれを実現させようとしていることをプッチに語ります。そしてそのためには聖職者であるプッチの存在が不可欠なのだと話していました。
ところがディオは道半ばにして承太郎に殺されてしまったため、その志は事実を知っているプッチが受け継ぐことになります。ところで、プッチがディオの夢を引き継ごうとした背景には、プッチ自身の身の回りで起きた多くの悲劇が深く関係します。
なんとプッチの双子の弟と実の妹は、それぞれ違う親元で育ってしまったためにお互いを兄妹であると知ることなく偶然愛し合ってしまうのです。
事実を知ったプッチは悲劇を阻止するべく陰で手を打ちますが、それが裏目に出てしまい妹のペルサは自殺してしまいます。そして弟のウェザーは怒り狂って兄のプッチを殺そうとします。
この悲劇をいったいどうすれば止めることができたのかというプッチの心の苦しみが、ディオの言う「天国へ行く方法」を見つけることに駆り立てるのですが、どうもプッチとディオとではそもそも「天国へ行く方法」へのモチベーションに温度差があったようです。
そもそもディオは吸血鬼としてすでに不老不死の肉体を手に入れており、これから世界を征服しようと企んでいる最中でした。そのため、一身上の事で悩んだり人生の意味を考えたりするような境遇ではなかったはずです。
一方でプッチは一人の人間として、また聖職者として妹や弟、そして自分の身に降りかかった悲劇をどうすれば回避できたのか、どうすれば実際に起きた事実を受け入れることが出来るのかという心の問題を抱えていました。
つまり、すでに不死身の化物であるディオとプッチとでは、辿り着こうとする目的は同じでもモチベーションに違いがあり過ぎて、結局は行きつくところも違ってくるということです。
最終的にプッチは重力を全てコントロールする能力を身に付け、宇宙のリズムである時という概念を自在に操る常識を超えた存在になってしまいます。
そして、超越者となったプッチが最後に出会ったのは善意で救おうとしたが救うことさえ叶わず、逆に大きな恨みを買うこととなった弟のウェザーの究極的な怒りの結晶であるヘビー・ウェザーでした。
周囲にある気候現象を自在に操る能力の前にプッチは物質としての宿命とも言うべき酸化状態に陥り朽ち果ててしまいます。
「天国へ行く方法」を研究して実現させようとしたディオとディオの夢を引き継いだプッチは、2人とも朽ち果てることになりましたが、宇宙はプッチによって完全に狂わされてしまいました。
このことで「ジョジョの奇妙な冒険」はとりあえず6部で終了し、7部~8部はプッチが狂わせた宇宙の別の次元の世界での物語ということになります。
そのため、ジョジョやディオなど同じ名前の登場人物も多数存在しますが、それは生命レベルの次元で繋がっているからであって、同一人物ではありません。
まあ、同じでも同じでなくてもジョジョはジョジョなので関係ありませんが、最後にディオの過ちについて結論しておきます。
この件に関するディオの最大の失敗は、ディオは暇を持て余して「プッチに余計なことを喋った」ということです。しかもプッチはディオの真意など理解できるはずはなく、ディオはプッチを過大評価し過ぎたと言えます。
果たしてディオが「天国への道」へ辿り着いていたら同じような結果になったでしょうか?そもそも不死身だったディオはいったいなにを思っていたのでしょうか?
詳しいことはディオに聞いて見ないと分かりませんが、少なくともプッチの選んだ選択とは異なっていたのではないでしょうか。
『ジョジョの奇妙な冒険』の視聴方法
U-NEXTでは31日間の無料トライアル期間中、初回登録に限り対象作品が無料で視聴できます。
対象作品:『ジョジョの奇妙な冒険』第1部~第6部
ディオ・ブランドーについては下記の記事でも詳しく説明していします。
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