『ジョジョの奇妙な冒険第４部』は日本の杜王町(もりおうちょう)という架空の町が舞台となります。主人公は東方仗助という高校生で、第３部の主人公である空条承太郎の義理の叔父にあたります。タイトルは原作では『第4部・東方仗助』でし副題が『クレイジー・ダイヤモンド』でしたが、アニメでは『ダイヤモンドは砕けない』に変わっています。
第４部は登場するキャラクターが多い他、舞台が日本であることからファンの間でも人気が高く、高校生の制服姿に親近感を抱いた人も多かったようです。
また、出張キャラクターとして大人気の岸辺露伴が登場するのも第４部の大きな魅力で、露伴は途中から物語の随所で大活躍してくれます。
ジョジョの奇妙な冒険第4部のラスボスは猟奇殺人鬼
『ジョジョの奇妙な冒険第4部』の最終目標は吉良吉影という猟奇殺人を犯す男を倒して町の平和を取り戻すことですが、吉良がスタンド使いになった経緯が「弓と矢」だったことや、「弓と矢」が複数存在したことで話はやや複雑になります。
吉良は「弓と矢」の影響でスタンドつかいになったようですが、吉良以外にも「弓と矢」でスタンド使いになった人物が同じ町にたくさん存在し、ほとんどの場合スタンドが悪用されます。
前半部分ではこれ以上凶悪なスタンド使いが生まれないよう「弓と矢」を回収することに主眼が置かれますが、物語の焦点は次第に吉良吉影という猟奇殺人鬼の存在へと移行していきます。
吉良吉影は顔も名前も誰にも知られていない殺人鬼で、10年以上前から杜王町で殺人を繰り返しています。ある時、幽霊になった被害者の杉本鈴実(すぎもとれいみ)の話により犯人がまだこの町で犯罪を続けていることを知り、主人公の仗助を始め仲間たちは吉良の存在を知ることになります。
そんなある日、仗助の後輩のシゲチーが行方不明になりスタンドが手がかりを残して消滅するという事件が起きます。承太郎と広瀬康一は事件の真相解明に向けて行動する過程で運悪く犯人と遭遇してしまい、2人とも瀕死の重傷を負い、犯人には逃げられてしまいます。
その後、顔を見られた犯人の吉良吉影は顔を変えて他人に成りすまして隠れてしまいますが、不審に思った家族に見破られて正体がバレてしまいます。その際、吉良吉影は新たな能力(第3の爆弾)を獲得し、これにより吉良吉影の正体を暴くこと非常に困難になります。
後半部分では第４部のラスボスである吉良吉影が「自分の正体がバレると時間が巻き戻る」という特殊な能力(第3の爆弾)を発現することで物語はより面白く複雑になりますが、最後は人間賛歌を描く『ジョジョの奇妙な冒険』らしく正義が勝つという結末に落ち着きます。
第4部は恐らく全シリーズの中でストーリー性の面でもかなり人気が高いと思われます。
ジョジョの奇妙な冒険第4部の登場人物
『ジョジョの奇妙な冒険第４部』は登場人物が非常に多いことで有名です。主に物語と大きく関わる登場人物に的を絞って紹介します。
東方仗助（ひがしかた じょうすけ）
- 声優：小野友樹
- スタンド：クレージー・ダイヤモンド
- 能力：壊れた物質を直したり人の傷を治すことができるが自分の傷は治せない。
東方仗助はジョセフ・ジョースターの隠し子。ジョセフ・ジョースターは『ジョジョの奇妙な冒険第２部』の主人公であり第３部で承太郎とともにディオを倒すためにエジプトでともに戦った承太郎の祖父です。
空条承太郎（くうじょう じょうたろう）
- 声優：小野大輔
- スタンド：スタープラチナ
- 能力：スピード、パワー、精密性に優れているほか、時間を3秒ほど止めることができる。
空条承太郎はジョセフ・ジョースターの孫です。
父親はミュージシャンの空条貞夫、母親は日本人女性のホリーで、第３部では母親のホリーの命を救うためにエジプトにいるディオを排除する戦いをしディオを殺害。
エジプトでの闘いでスタンド(スタープラチナ)に時止める能力が開花。
ジョセフ・ジョースター
- 声優：石塚運昇（いしずか うんしょう）
- スタンド：ハーミット・パープル
- 能力：薔薇で触れたカメラやテレビに念写した内容を映し出すことができる。
『ジョジョの奇妙な冒険第２部』の主人公で地球を不死身の究極生物から救った英雄です。石油王のスピードワゴンの死後、スピードワゴン財団と強力な関係を保ち続け経済的な面でかなり力を持っている。
承太郎にスタンドの正体を教えたのもジョセフ本人で、ディオを倒すために承太郎とともにエジプトで闘った過去がある。
東方仗助はジョセフが62歳の時に浮気をして東方朋子との間に生まれた隠し子だが、遺産相続の話し合いの最中、その存在が発覚する。
東方朋子（ひがしかた ともこ）
- 声優：豊口めぐみ
東方仗助の母親であり、ジョセフ・ジョースターの過去の浮気相手の女性。
女手一つで仗助を育て上げたしっかりした女性である。
承太郎を初めて見た時、ジョセフと勘違いして抱き着いてしまう。
アンジェロ（片桐安十郎）
- 声優：柿原徹也
- スタンド：アクアネックレス
- 能力：水や水蒸気のなかを自在に動くことができる。
杜王町で過去に少年に卑劣な性的虐待をしたうえで惨殺し死刑が確定していた死刑囚。承太郎曰く、史上最低の胸糞悪くなる事件の犯人。
虹村形兆により「弓と矢」でスタンド能力を開花させ刑務所から脱獄するが、東方仗助との闘いに敗れて岩にされてしまう。
音石明（おといし あきら）
- 声優：森久保祥太郎(もりくぼ しょうたろう)
- スタンド：レッド・ホット・チリペッパー
- 能力：電気を吸収してパワーに変換することで超スピードで動ける他、圧倒的なパワーを発揮できる。
虹村形兆によってスタンド能力を開花させた人物のひとりでレッド・ホット・チリ・ペッパーという強大な能力を持つスタンドを操る音楽マニア。夢はロックスターになることで、戦闘の際は自作の歌を唄いながら戦い自分に酔っているが、広瀬康一が言うにはギターのテクニックもなかなかのものらしい。
虹村形兆は音石明を軽く見ていたが、成長した音石は虹村形兆を殺して「弓と矢」を奪い問題をさらに悪化させてしまう。
虹村形兆（にじむら けいちょう）
- 声優：志村知幸（しむら ともゆき）
- スタンド：バッド・カンパニー
- 能力：軍隊を編成する小さな兵隊を複数体操り、銃撃・爆撃などなんでもできる。
虹村億泰の実兄。過去にディオの工作員として働いていた父親を持つが、ディオの死と同時に頭に埋め込まれた肉の目が暴走して無事実の怪物に変貌した父親を安らかに死なせたいと願う一心で、その能力を持つスタンド使いを探し続けている。「弓と矢」はそのための手段であり虹村形兆にそれ以外の目的は無い。
虹村億泰（にじむら おくやす）
- 声優：高木渉（たかぎ わたる）
- スタンド：ザ・ハンド
- 能力：大きな右手で空間を削り取ることができる。削り取られた物を元に戻すことはできない。
虹村形兆の実の弟。精神的に兄に依存している傾向があり、兄の虹村形兆の言いなりになって行動している。
人は良いが頭が悪く騙されやすいが、空間を削り取るスタンド(ザ・ハンド)の能力は驚異的で、最終決戦ではこの能力が大活躍する。
広瀬康一（ひろせこういち）
- 声優：梶裕貴
- スタンド：エコーズ
- 能力：自分のイメージした音を文字に変えて相手にぶつけることで、文字の内容と同じ効果を相手に与えることができる。
東方仗助と同じ学校に通う高校生で仗助の友達。意志の強さと正義感が人一倍強く、その点を山岸由花子(やまぎしゆかこ)というスタンド使いのストーカーに気に入られて付き合うことになる。
広瀬康一は成長の伸びしろに飛んだ人格の持ち主で、スタンド(エコーズ)を発言させて以降、新たな能力を２度も開花させている。(エコーズACT2、エコーズACT３)
ACT3のスリー・フリーズは対象を重くして動けなくする強力なスタンド能力を持ち、ラスボスのキラー・クイーンのシアー・ハート・アタックでさえスリー・フリーズを食らって動けなくなる。
山岸由花子
- 声優：能登麻美子(のと まみこ)
- スタンド：ラブ・デラックス
- 能力：自身の頭髪を自在に操ることができる。
広瀬康一を好きになるあまりスタンド能力を使って拉致監禁してしまうストーカー紛いの女子高生。嫉妬心と思い込みが激しく、自分の思い通りにならない康一を自身のスタンドで攻撃するなどかなりキレている。
岸辺露伴（きしべろはん）
- 声優：櫻井孝宏
- スタンド：ヘブンズ・ドアー
- 能力：触れた相手を本にして能力を知ることができる他、追記することで行動を制御できる。
杜王町在住の漫画家で『ピンクダークの少年』の作者。
写真のオヤジの「弓と矢」でスタンド能力を開花させ、対象を本にして相手の記憶を読み取ることが出来るほか、本に何かを書き込まれるとその通りにしか行動できなくなる。
好奇心旺盛で行動力と調査力に優れ、杜王町で起きた事件の解決に深く関わる人物である。
ところで、岸辺露伴は荒木飛呂彦の作品で多くの作品に出張キャラクターとしてスピンオフ作品に登場して活躍しており、なかでも「岸辺露伴は動かない」はアニメ・ドラマともに大好評です。
「岸辺露伴は動かない」アニメ版のあらすじについては、『岸辺露伴は動かない』OVAアニメあらすじ・登場人物【1話～4話】で詳しく解説しています。
また、「岸辺露伴は動かない」実写ドラマ版のあらすじについては、『岸辺露伴は動かない』実写版とアニメ版を比較しながら全話あらすじ解説！で詳しく解説しています。
杉本鈴実（すぎもと れいみ）
- 声優：原紗友里
吉良吉影が15年前に犯した猟奇殺人の犠牲者で、幽霊として振り返ってはいけない道に愛犬アーノルドと2人で留まり続けている。
上空を吉良に殺害された犠牲者が飛んで行く光景を見続けていることで吉良がまだこの町で犯罪を続けている事実を知っており、岸辺露伴に事実を伝える。
実は15年前の夜、偶然泊まりに来ていた子供露伴を逃がして自分だけが犠牲になったという背景がある。
噴上裕也(ふんがみ ゆうや)
- 声優：谷山紀章(たにやま きしょう)
- スタンド：ハイウェイ・スター
- 能力：触れた相手の臭いを追跡し、直接ふれることでパワーを吸い取ることができる。
杜王町に住む暴走族のリーダーで自分が世界一男前だと信じて疑わない男。
取り巻きの女の子にメチャクチャ優しいのは長所だが、事故を起こして回復するための養分を他人から奪うために自分のスタンド(ハイウェイ・スター)を悪用していたところ、岸辺露伴と仗助にみつかってしまう。
仗助にはボコられるが怪我を直してもらった恩を感じ、エニグマの少年をたおすために命を賭けて仗助に協力する。
吉良吉影（きら よしかげ）
- 声優：森川智之
- スタンド：キラー・クイーン
- 能力：触れた物質を爆弾に変えて爆発させる能力。
ジョジョの奇妙な冒険第４部のラスボスで杜王町に住む凶悪な猟奇殺人鬼。
「弓と矢」で開花したキラー・クイーンというスタンドは触れたものをなんでも爆弾に変えることが出来るほか、左手から放たれる遠隔操縦のシアー・ハート・アタックは不死身なのに高い攻撃力を持ち破壊するのは不可能。
また、正体がバレたくないという強い思いから発現した『第３の爆弾』は絶対に幸せにはなれないが正体がバレるたびに時間が巻き戻るという自己中心的な能力で、吉良は敗北するまでこの能力を使い続ける。
吉良吉影のゲスっぷりについては、ジョジョの奇妙な冒険シリーズ史上最低最悪のゲス野郎やクズ野郎を徹底研究において他のシリーズのクズキャラも交えて詳しく解説しています。
写真のオヤジ（吉良の父親）
- 声優：千葉繁
- スタンド：アトム・ハート・ファーザー
- 能力：写真で写した被写体を写真の中に閉じ込める能力。
吉良吉影の実の父親で、息子が殺人鬼であることを知りながら幽霊として守り続ける。
自身もカメラで映した対象を写真に閉じ込めるスタンド能力を持ち、エンヤ婆から買った「弓と矢」を使って吉良吉影を守るために仗助たちに敵対するスタンド使いをたくさん誕生させるが、最後は仗助の罠にハマり爆死する。
川尻幸作（かわじり こうさく）
エステ・シンデレラに通っていたため運悪く吉良吉影に目を付けられ、吉良と背丈がほぼ同じだったことから顔を入れ替えられた犠牲者。
川尻幸作の死後、シンデレラの整形能力で川尻幸作の顔に変身した吉良は、川尻幸作に成りすまして身を潜めようとする。
川尻隼人（かわじり はやと）
- 声優：佐藤利奈(さとう りな)
吉良吉影が成りすましている川尻幸作という男性の息子で『ジョジョの奇妙な冒険第４部』の影の勝利者。
隼人は誰よりも先に吉良吉影の正体を見破ったが、スタンド使いではなかったこともあり一度は吉良に殺害されてしまう。
しかし、吉良の第３の爆弾で巻き戻された時のなかでは２度と死ぬことはなく、最後は執念で仗助が吉良の正体を暴くきっかけを作ることに貢献する。
東方仗助＆承太郎！ジョースター家最強コンビの誕生
第４部は空条承太郎が杜王町に自分の叔父を探しに来るところから始まります。第３部までコミックを読んでいた人なら分かりますが、承太郎にはジョナサン・ジョースターという祖父がいて、過去にディオを倒すためエジプトへ旅をした仲でもあります。
ジョセフ・ジョースターにはスージーという妻がいますが、なんとジョセフは浮気をして日本人女性に子供を作らせていたことが発覚し、遺産相続の話も兼ねて義理の叔父にあたる東方仗助に会いに来たのです。
ジョセフの孫である承太郎とジョセフの息子である仗助という奇妙なコンビの誕生です。
ところが仗助は幼い頃に憧れた名も知らぬ青年のパーマ頭を真似しており、それをけなされたことで逆上し、承太郎にスタンドで攻撃します。
仗助がスタンドを出せることを知り驚く承太郎でしたが、時を止めるスタープラチナの前では勝負になりませんでした。とは言え、仗助のクレージー・ダイヤモンドのパンチが少しかすっただけの帽子は、壊れたあとで妙な形に治っており、モノを治す能力であることが分ります。
承太郎が来日した理由はアンジェロのアクア・ネックレス
そもそも承太郎が杜王町へ来たのはにはもうひとつ理由がありました。それはスタンドで遠隔地の念写が可能なジョセフ・ジョースターが杜王町をイメージしたところ、危険な男の姿が写真に写ったからです。
男の名前は片桐安十郎(かたぎりあんじゅうろう)といい、少年時代からありとあらゆる犯罪を重ね、人生の半分以上を刑務所で送っている汚らわしい人物で危険な男です。
この男は死刑囚にもかかわらず最近刑務所を脱獄したとのことで、承太郎はアンジェロがスタンド能力を身に付けたに違いないとみて調査しにきたのですが、それとは別に杜王町の近年の行方不明者の数が急増しているのも気になる点でした。
承太郎の話のすぐ後、「スタンド使いはスタンド使いと巡り合う」という引力の法則どおり、仗助は街中でアンジェロと遭遇し、犯罪行為を阻止したことで逆恨みされ家を突き止められます。
何日も木の上で監視を続けるアンジェロは雨が降るのを待ち、水の中を自由に泳げるスタンド(アクアネックレス)で仗助たちを殺そうと企みますが、仗助のスタンド能力の前に敗北し岩の中に埋め込まれてアンジェロ岩として生き続ける罰を受けます。
凶悪スタンドを誕生させる「弓と矢」の存在
ある日、仗助の友達の広瀬康一が仗助の近所の廃屋に何者かに引きずり込まれる事件が発生します。康一を助けに廃屋に入ろうとする仗助を住人の虹村億泰はスタンド(ザ・ハンド)で阻止しようとします。
ザ・ハンドは空間を削り取るという驚異的な能力ですが、頭の悪い億泰は削り取った空間の向こうから飛来する植木鉢で頭を打ち失神して敗北します。
この後、康一を助けに廃屋の中に入った仗助は虹村億泰の兄である虹村形兆(にじむらけいちょう)のスタンド(バッドカンパニー)と戦いますが、なんと虹村形兆は「弓と矢」を持っており、それで広瀬康一を貫きます。
仗助は「弓と矢」がスタンド能力を発現させるための道具であることを後で知りますが、虹村形兆との闘いは破壊した爆弾を再生して本人に打ち返すことで勝利します。また、広瀬康一には才能があったようで、スタンド(エコーズ)を発現させて死なずに済むことになります。
ところが仗助達の闘いを音石明という男が見ていました。音石明は虹村形兆の「弓と矢」でスタンド使いにされた人物のひとりで、虹村形兆は杜王町はかつてディオの部下だった父がディオの死後不死身の肉の塊になってしまい、それを死なせる方法を探すなかで「弓と矢」を入手し、杜王町の人間を片っ端から「弓と矢」で貫いていたのです。
音石明はすでに当初よりも相当強くなっており、虹村形兆を殺して「弓と矢」を奪い去ってしまいます。それには特に大きな理由はなく、音石明はただの欲求不満な受験に失敗した学生だったのです。
音石明のレッド・ホット・チリペッパー
音石明に「弓と矢」が奪われて以降、物語は音石明を倒して「弓と矢」を取り返すことに焦点が移ります。音石明のスタンド(レッド・ホット・チリペッパー)は電力をエネルギー源にして動くスタンドで、相当なスピードとパワーを誇ります。
仗助たちはレッド・ホット・チリペッパーの猛攻撃の前に大苦戦を強いられますが、パワーでは叶わないと判断した仗助は車のタイヤにスタンドを閉じ込めた後、出ようとしたところを破裂した空気圧で海に放り込む作戦を実行し大成功します。
電気が海水に拡散されたレッド・ホット・チリペッパーはもはや力を出すことはできず仗助は勝利し音石明はスピードワゴン財団に確保されます。
ところが、音石明はスピードワゴン財団で自白剤を使用した尋問を受け、ドブネズミ2匹をスタンド使いにした事実を白状します。
これにより、仗助と承太郎はスタンドネズミの狩りに出かけることになりますが、スタンドネズミの能力は毒矢を発射して対象をドロドロに溶かしてエサにする能力だったため一筋縄ではいきません。
最後は承太郎が囮になりあわやの状況まで追い込まれ、その隙に仗助が銃弾をスタンドで発射してネズミを狙撃するという、まさにスナイパーさながらの攻防でなんとか駆除することに成功します。
一方、「弓と矢」はスピードワゴン財団が管理保管することになり事態は解決したかに見えましが、杜王町には他にも「弓と矢」を持つ者が存在することが後から分かります。
吉良吉影のキラー・クイーン
実は虹村形兆が独自に「弓と矢」を入手するより以前に杜王町には「弓と矢」を持つ者がいました。それは吉良吉影の死んだ父で、死後も幽霊として息子の吉良吉影を守り続けているスタンド使いの幽霊です。
実は杜王町で新たに誕生した凶悪なスタンド使いの多くは虹村形兆や音石明によるものではなく、吉良吉影の父親の仕業によるものだということが分ります。
吉良吉影の父は写真の中から出られない心霊写真の幽霊で、カラスを操り飛んで移動しながら、「弓と矢」が反応を示す対象を片っ端から射貫いていはスタンド使いを誕生させ、仗助たちを攻撃するように吹き込んでいきます。
そうやって吉良吉影に関する捜査を邪魔して難航させることでしか息子を守る方法がなかったのです。
そして吉良吉影自身も「弓と矢」によってスタンド使いになったようです。それにより、ただの猟奇殺人鬼だった吉良吉影は証拠を残さないスタンド使いの殺人鬼となり、決して捕まることがなく殺人を繰り返すようになったのです。
吉良吉影のスタンド(キラー・クイーン)は触れたものをなんでも爆弾に変えることが可能で、自分の好きなタイミングで爆弾を爆発させることが可能なため、犯罪の証拠を全て爆破して消し去り一切の手がかりが残らないのです。
岸辺露伴も吉良の父親によってスタンド使いになったひとりですが、岸辺露伴はヘブンズ・ドアーで他人の人生を読んで漫画のネタにするだけの存在で、それほど凶悪なスタンド使いとはいえず、仗助との闘いに敗れてからは広瀬康一を慕うようになり、吉良吉影の捜査にも協力的になります。
一度は正体がバレて捕まりかけた吉良吉影
ところで、吉良吉影は杜王町で10年以上前から続いている行方不明者が出た事件の犯人ですが、今もまだ犯罪を続けています。
ある日、吉良吉影は被害者の女性の手首を連れて歩くという変質的趣味をスタンド使いの少年(シゲチー)に目撃されてしまい、しかたなく学校で爆死させて証拠を隠滅します。
しかしシゲチーは死ぬ間際に吉良吉影の背広のボタンをスタンド(ハーベスト)で回収していて、これを見た承太郎はボタンを元に服の銘柄や年齢など犯人像を大きく絞り込むことに成功し、杜王町にある「むかで屋」というお直し屋さんに辿り着きます。
なんとその店は吉良吉影が外れたボタンの修繕依頼に上着を出した店だと判明し、これで犯人が分かったと思ったその矢先、吉良吉影はスタンド(キラー・クイーン)のもうひとつの能力(シアー・ハート・アタック)という遠隔操縦の爆弾スタンドを発動し、店内にいた承太郎が致命傷を負います。
大ピンチでエコーズをアクト３へと成長させ、スリーフリーズで爆弾スタンドを動けなくすることに成功した広瀬康一でしたが、吉良吉影は遠隔操縦のスタンドを回収するためにカフェから歩いて現場までやって来たため、もはや吉良吉影とキラー・クイーンの相手までできず、散々殴られて瀕死の重傷を負います。
しかし、致命傷で意識を失っていた承太郎が目を覚まし残り僅かな力を振り絞り吉良吉影に渾身のオラオララッシュを叩き込み、吉良は完全にノックアウトされます。
もはや逃げ場のない吉良吉影は這うようにしてエステシンデレラという美容整形のスタンド使いがいる店へ向かいます。なんと吉良はエステシンデレラの辻彩(つじあや）を脅して自分の顔を他人の男と交換させて逃げてしまうのです。
こうして吉良吉影の捜査は振り出しに戻りますが、すでに背丈などある程度の特徴が分かっていたこともあり、承太郎は駅で単独調査を始めます。
一方、吉良吉影が入れ替わった元の本人は川尻幸作という人物で、その日から吉良は川尻幸作として川尻家で生活を始めますが、息子の隼人に怪しまれやがて父親ではないことを見破られてしまいます。
杜王町でスタンド使いの同時多発攻撃が発生！
吉良吉影の父親は息子の吉良吉影の正体がバレないよう以前から敵を積極的に作ってきましたが、ある時杜王町で同時多発的なスタンド使いの攻撃をしかけてきます。
それは東方仗助・広瀬康一・岸辺露伴そして仗助の母親も巻き込んだ卑劣な行為でしたが、途中で味方についた噴上裕也(ふんがみゆうや)の協力もありなんとか乗り切ります。
鉄塔の男
仗助と億泰は宇宙人の支倉未起隆(ハゼクラミキタカ)と３人でいるところを、たまたま田園地帯にあった鉄塔に入ってしまったことでスタンド攻撃を受け、仗助は鉄塔から出れなくなってしまいます。
鉄塔の男は写真のオヤジに『弓と矢』でスタンド能力を与えられた人物で、仗助たちの邪魔をするよう協力させられていました。
誰かが入ると誰かが出られるという奇妙な能力の前に苦戦する仗助でしたが、宇宙人のキミタカが自らを犠牲にして中に入ることで仗助を外に出し、仗助は知恵比べで鉄塔の男を中に連れ戻すことに成功します。
エニグマの少年
エニグマの少年は卑劣でした。相手の恐怖のサインを見抜き、再度恐怖のサインを見せてしまうと本にされて管理されてしまう能力で、広瀬康一と仗助の母親はエニグマの少年に捕まってしまいます。
人質を取られてピンチに陥る仗助でしたが、誰よりも鼻が利くスタンド(ハイウェイ・スター)を使う噴上裕也の力を借りて康一と母親を助け出しエニグマの少年を倒します。
なお、このエピソードにおける噴上裕也の勇気ある行動は非常に多くのファンの心を動かしたとともに、エニグマの少年の末路はアンジェロに匹敵する悲惨なものとなります。
乙雅三(きのとまさぞう)とチープトリック
東方仗助がエニグマの少年と戦っているのと同じころ、岸辺露伴は自宅に来た建築士の乙雅三に憑依したチープ・トリックに追い詰められていました。
チープ・トリックは憑依した人間に囁きかけるだけですが、憑依した人間が他人に背中を見られると背中を見られた本人は死亡するため、憑依された人間は絶対に背中を見られるわけにはいきません。
ところが、好奇心旺盛な岸辺露伴は嫌がる乙雅三を騙して背中を見てしまったため、乙雅三は死亡してチープ・トリックに憑りつかれてしまうのです。
このスタンドはスタンド自身が意思を持って行動するタイプですが、力づくで引き剥がそうとすると自分にダメージが帰ってくるため、正攻法で叶う相手ではありません。
岸辺露伴はチープ・トリックに憑依されたまま杜王町の振り返ってはいけない道にわざと入り込み、途中で合流した広瀬康一に後ろから背中を見せることでチープ・トリックを振り返らせることに成功します。
この道で後ろを振り返ったものはスタンドであろうとあの世の超絶な力によって連れて行かれるため、チープ・トリックは大量の腕に掴まれてあの世へ連れて行かれてしまいます。
なお、岸辺露伴とチープ・トリックの戦いについては、ジョジョの第４部で岸辺露伴のヘブンズ・ドアーがチープ・トリックを倒した方法でより詳しく解説しています。
正体がバレると発現する第3の爆弾『アナザーワンバイツザダスト』
ところで、川尻幸作として川尻家に入り込んだ吉良吉影は、本人の筆跡も真似ることができないどころか、嫌いだったはずの食べ物を積極的に食べてしまったりした結果、息子の隼人に後をつけられ殺人の現場を目撃されてしまいます。
吉良吉影は隼人をどうやって始末するか考えますが、結局正体がバレていることをネタに脅されたことで逆上し、隼人を殺めてしまい最悪の状況に陥ります。
しかしこの最大のピンチが吉良吉影に新たなスタンド能力を開花させるきっかけとなり、第３の爆弾「アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダスト」が発動します。
この能力は吉良吉影の正体がバレるたびに自動で発動し、時間を正体がバレる以前の時点に強制的に巻き戻す能力で、吉良本人は能力が発動したことは理解できますが、どういう理由でバレたのか、何回目の巻き戻しなのかは分からないという弱点があります。
しかも、この能力を発動させるためには自身のスタンド(キラー・クイーン)を誰かの目の中に仕込んでおく必要があります。吉良は隼人の一件以降キラー・クイーンを隼人の目の中に仕込み続けます。
そして、運命が繰り返すように隼人は何度も吉良の正体を見破り、その都度時間が巻き戻されるのです。普通の人なら最悪だと感じる同じ時間の繰り返しが、平穏を重んじる吉良吉影には幸せで仕方がないのです。
川尻隼人の執念で無限ループの解除に成功！
実はキラー・クイーンの第３の爆弾にはもうひとつ弱点があります。実は第３の爆弾が発動して時間が巻き戻されると、スタンド使いである吉良吉影は時間が戻されたことを知ることはできませんが、スタンドを仕込まれた本人には理解できるのです。
川尻隼人は何度も繰り返される悔しい現実に泣きながら立ち向かいます。空条承太郎・東方仗助・岸辺露伴たちが駆けつけて吉良吉影の正体を掴むたびに爆死する姿を見て絶望しますが、必ずこれを乗り越えることができると自分を信じます。
そして最後には何度時間が戻されたか知らない吉良吉影が隼人の前に現れていつものように傲慢なセリフで隼人を侮辱し「無駄だ」と見下します。
ところがその時、吉良吉影は思いがけず川尻幸作の姿をしたまま自分のことを「きらよしかげ」と名乗ってしまい、それを東方仗助に聞かれてしまうのです。
第３の爆弾は他者の意思で吉良の正体がバレた場合は発動しますが、吉良が自分で正体を明かした場合は発動しません。しかも隼人の目の中にキラー・クイーンを仕込んでいてはスタンドで防御することはできません。
この時点で吉良吉影は完全に正体がバレて東方仗助との一騎打ちが始まります。
吉良吉影の最後
吉良吉影と東方仗助のスタンドバトルは吉良吉影の幽霊の父親が携帯電話で吉良を援護していたことで苦戦しますが、事実を知った仗助はそれを逆手に取り吉良の爆弾で吉良の父親を爆死させることに成功します。
父親の援護がなくなった吉良吉影はもはやただの独りの殺人鬼で、最後は承太郎・東方仗助・虹村億泰・広瀬康一・岸辺露伴に囲まれて四面楚歌になります。
ところが往生際の悪い吉良吉影は駆けつけた消防隊員に自分の名を名乗り、第３の爆弾を再度起動させよう試みます。
そして、ボタンを「カチッ」と押したと思った次の瞬間、あの世との狭間である振り返ってはいけない通路にいることに気付きます。
なんと、ボタンを押して勝利を確信したのは思い込みで、実は承太郎のスタープラチナに時を止められてオラオララッシュを食らい、吹っ飛んだところ消防車にひかれて死んでいたのです。
振り返ってはいけない道には過去に自分が殺害した杉本鈴実(すぎもとれいみ)が待っており、一緒に死んだ愛犬もいました。吉良は愛犬に腕を噛みつかれて後ろを振り向かされ、あの世の超絶な存在によって連れていかれるという最後を迎えます。
以上、『ジョジョの奇妙な冒険第4部』のあらすじでした。
第4部はジョジョシリーズの中でも最も長いので解説が長くなってしまいました。
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