ジョジョの奇妙な冒険の第1巻の冒頭には荒木先生による「人間賛歌」を描く作品にすることが明記されています。しかしそれを実現させてくれた悪役のキャラクターの存在も際立っていてどのシリーズもディオに代表される最低最悪のゲス野郎が必ずラスボスとして立ちはだかります。そしてクソ野郎ほど最強・最悪だったりするところが面白いのです。
悪があってこそ映える正義
正義のヒーローとはちょっと違うけど、勇気と希望を与えてくれるジョジョの主人公たちですが、その存在を際立たせるにはどうしてもゲス野郎やクズ野郎の存在が必要だった気がします。
悪が映えればそれと対極に位置する正義も映えるという理屈でしょうか。ディオや吉良吉影などのゲスな存在を倒したいという強い思いが、読者の心に伝染して正義のヒロインを引き立たせているのは間違いありません。
長かったジョジョの奇妙な冒険のシリーズの中で、最もゲスなキャラは誰だったかと言えば、いっぱいいるので即答できません。
ジョジョの奇妙な冒険に登場するゲス野郎
ジョジョの奇妙な冒険第に登場するゲス野郎は多すぎるので、特にゲス度・グズ度が高いと判断したキャラクターを順番に挙げてみようと思います。
ゲス野郎としての評価基準を決めるにあたり考慮した点は、そのキャラクターが取った行動とその理由が誰の為の行動かという点です。
私利私欲のためだけに他人の命を犠牲にしたり社会に迷惑をかける行動を平気でやってのけたキャラクターは言語道断で紹介していこうと思います。
3秒で人間をやめた男~ディオ・ブランドー
この男を差し置いて悪について語ることはできません。プライドが高く、意思が強く、知力・体力ともに他者よりも秀でているにもかかわらず、その育ちの悪さと骨の髄まで染みついたチンピラ根性は、命の恩人を殺害して財産を乗っ取ろうとするほどのものでした。
少年時代から自己顕示欲が強く、自分の願望を叶えるためなら手段を選ばない性格は、ジョナサンと喧嘩をして負けたことを恨み、愛犬のダニーを焼き殺すほどのものでした。
この男には、そもそも両親の呵責というものが存在せず、自分こそが正義であり道理であるとでも言わんばかりの傲慢さを兼ね備えています。
特にディオが最も最低なクズ野郎だと認識できるエピソードは、自分の悪事がばれて警察に包囲され逃げ場がなくなると、吸血鬼になるための石仮面を片手に「俺は人間をやめるぞ!ジョジョ!!」と言い放ち、3秒で人間を辞めてしまったことでしょう。
人間を辞めたディオは人間でなく吸血になることで人間としての責任から解放されました。そして、強大なパワーを手に入れたディオは人間だった頃よりもさらに凶悪な存在となり、悪の帝王として君臨することで世界を支配することを企みますが、ジョナサン・ジョースターとの命を賭けた闘いの末、棺桶に入ったまま乗った船が沈没してしまいます。
100年経っても変わらない極悪ぶり
ジョナサンとの死闘の末、100年の眠りから覚めてエジプトで再起を計ったディオも、100年前と変わらないクソ野郎ぶりを見せてくれました。
部下を部下とも思わない肉の芽を用いた殺人行為は、損得勘定でしか人間関係を築けない人格の未熟さを露呈しています。
また、エジプトでディオの館から逃走するジョセフと花京院の車を追跡する際、通りかかった上院議員に車の暴走運転を強要し、渋滞で進めなくなると人をはねて歩道を走らせるという言語道断ともいえる人間失格の行為に及びます。
とは言っても、すでに人間を辞めているのでここまでやらないとクソ野郎っぷりをみせつけることができなかったのかもしれません。
最後に、承太郎に上半身を吹き飛ばされ砂漠にばらまかれたディオは灰になりこの世ともお別れとなりましたが、ジョセフの言う通り「ディオには皆ずっと昔から貸しがあったのじゃよ」という言葉がしみじみと伝わりました。
人間・道徳的な観念で見たとすれば、ディオの欠点は恐らく存在そのものであったといっても過言ではないでしょう。まさに悪の象徴と呼ばわれる所以です。
太陽と友達になれたが地球には嫌われた男~カーズ
第2部、ジョセフ・ジョースターが命がけで宇宙に追放することでなんとか勝利できた地球生まれの常識離れした究極生命体。
そもそも石仮面を作ったのはカーズであり、それは人の血を吸って栄養で満たされた吸血鬼を自分たちが食料として食べるためだったいうショッキングな天才発明家でもあります。
しかしこの男、もともとは太陽の元では生きられない地下人間の一族でありながら、太陽を克服して永遠の生命を手に入れるために一族郎党を皆殺しにし、ワムーとエシディシ、当時赤ん坊だったサンタナを連れて地上へと旅立ったのでした。
カーズは一見クソ野郎ですが、ちょっとだけ普通のクソ野郎とは異なる点があります。それはディオみたいに人間を辞めて吸血鬼になったわけではなく、もともと自分たち以外の生物を糧として生きている種族だったということです。
人間の観念で考えると、人を人とも思わずエサにしてしまう行為は非人道的とも取れますが、なまじ人の言葉が通じるので腹が立ってしまうのでしょう。
同じ種族の生き残りでも、ワムーは勝者こそ正義、勝利こそ心理という哲学を持っており、自分を倒そうと闘いを挑んだ相手には敬意を払う一面も持ち合わせています。この点、カーズとワムーは同じ種族でありながら人間に対する態度が異なることが分かります。
そもそもカーズがクズと言われる所以は、言葉が通じるなら心も通じるはずであるという、人の本能とも呼べるべきものが欠落している点にあると思います。太陽を克服するためにエイジャの赤石を手に入れるためならなんでもするという態度はディオに通じる点があります。
なので、ワムーやエィディシが戦った相手と会話を楽しむことがある反面、カーズは人間などただのエサに過ぎないとしか考えていないので、そもそも意思疎通をする気すらないのです。
はっきり言って、最初から最後まで強すぎてかなわなかったカーズですが、ジョセフの英断と地球の火山の力が見方してくれたおかげで、大気圏の外に追放されて2度と地球へ戻れなくなりました。
地球を追放されたカーズは自分の力では地球に戻ることが叶わず、死にたいと思っても死ねず、どうにもならない現実の前に石と生物の中間的存在となってしまい、そのうち考えるのを止めてしまいました。
カーズの生涯は、太陽の光を克服して太陽と友達になることを夢見て生きてきた男が、太陽とは友達になれたけれど結局は地球に嫌われて追い出されてしまった物語だとも言えます。
モナ・リザを見て勃起した男~吉良吉影
人を殺さずにはいられない、生まれついてのサイコ野郎、それが吉良吉影です。
この男もともとは切り裂き魔で女性を狙って刃物で惨殺するという冷酷非道な変質者でしたが、スタンド能力を引き出す「弓と矢」に出会ったことで能力を獲得し、さらに凶悪になります。
触ったモノをなんでも爆弾に変えられる能力は、殺害した被害者を消し去ることが可能で、証拠を一切残さずに15年間も犯罪を続けてきたのです。そして、女性の手首のみを残してスーツの内ポケットに入れて持ち歩くという異常な趣味を持つようになりました。
女性との会話や交際には全く興味がなく、手首に話しかけて独りで会話を楽しむ姿は、第三者が見れば異常そのものであり、事実、それを目撃されたことがきっかけになり追われる身となります。
目撃者となった少年(シゲチー)は爆死させられ消滅し行方不明扱いになり、東方仗助をはじめとする杜王町の少年たちも、吉良吉影の爆弾スタンド「キラー・クイーン」が放った遠隔スタンド「シアー・ハート・アタック」の前に大打撃を受けます。
エステ・シンデレラで顔を整形して逃亡
なんとか承太郎の渾身のオラオラで吉良を追い詰めたのですが、整形エステのスタンド使いを悪用され、顔を変え逃げられてしまうというドラマのような展開になりました。第4部が長編になった理由は、吉良が逃げる前と逃げた後でボリュームがともに重くなっているからです。
後半パートは成り代わった男(川尻浩作)として、その妻と息子の3人で生活を始めます。追われていることを自覚し警戒しながら生活しているため変質的な行動は抑えていましたが、我慢するとストレスでおかしくなるようで、一度だけ犯行に及びます。
この犯行を目撃されたことで吉良吉影としての正体がバレて仗助や承太郎に追い詰められると、瀕死の状態で駆けつけた救急車の女性隊員に対して「モナ・リザを見て勃起してしまった」ことや自分の本名を一方的に話し出し、正体をバラスことでバイツァ・ダストの発動を図りますが、車の下敷きになって死亡します。
吉良吉影は最後の最後まで歪んだ性的衝動を抱えたまま、それをコントロールすることもできず大量殺人に及んだ名実ともに猟奇殺人鬼です。そして、死んでも天国には行けずスピンオフ作品である「デッドマンズQ」で殺し屋としてあの世の仕事人として存在し続けます。
ただし、あの世の殺し屋稼業は寺の尼さんから依頼された仕事を実行するという、義務的なものであり、現世で行ってきた極悪非道な行為とは全く異なります。しかし、最後は吉良自身があの世の掃除屋に魂を食われて始末される羽目になるという罰が待っています。
両腕が右手という分かり易い男~J・ガイル
第3部に登場するディオの刺客の1人で、母親であるエンヤ婆の遺伝で両腕が右腕になっているJ・ガイルですが、この男は性犯罪者であり殺人鬼です。
ポルナレフが祖国のフランスを出て旅する理由は、子供の頃、学校から帰る途中の妹がJ・ガイルに辱めを受けたうえに惨殺されたことに対する復讐を果たすためでした。
J・ガイルの醜悪ぶりはその顔の醜さにも表れていて、母親のエンヤ婆もある意味醜い顔と言えます。
鏡や光を反射できる物体を瞬快移動できるスタンドを使い、ポルナレフと花京院を追い詰めるJ・ガイルでしたが、最後はお金に目がくらんだインドの乞食に助けられ、針串刺しの刑で死刑にすることが叶いました。
J・ガイルは幼女を手にかけて殺害するという、卑劣な外道、つまりゲス野郎で確定です。
青春の半分以上を刑務所で過ごした男~片桐安十郎(アンジェロ)
第4部の最初に登場する杜王町を代表する凶悪な変質者であり殺人者。
子供の頃より犯罪という犯罪を繰り返し、青春の半分以上を刑務所で過ごしてきた男です。
片桐安十郎は少年を強姦して殺した上に陰部を電柱にぶら下げるという異常極まりない犯罪を犯し死刑囚として収監されていたところを、「弓と矢」を持った虹村形兆に悪用されてスタンド使いにされたことで、死刑を免れた後に町に戻り犯行を繰り返すようになります。
自分の犯した行為に反省のかけらも見られないため、スタンドを悪用してコンビニ強盗をし、それを阻止した東方仗助の家を襲い、祖父を殺害したうえに母親も殺害しようとします。
アンジェロは仗助も承太郎も殺害しようと企みますが、戦闘の経験値の差で負けて捕まってしまいます。ところが、近くを歩いていた少年を人質にして殺そうとするなど、最後の最後までそのクソ野郎としての性分は変わりませんでした。
結局、岩の中に生きたまま埋め込まれてしまい、アンジェロ岩として地域の名物になってしまいましたが、死ぬまで反省しなかった生まれついてのゲス野郎と言えます。
父親なしで生を授かった男~ディアボロ
ある女性刑務所で、男性の存在しない環境で子供を産んだ受刑者がいました。収監されて時間も経っており、獄中で妊娠したとしか考えられない状況で1人の赤ちゃんが生まれました。それがディアボロです。
母親が1年以上前に男と別れていたという事実から判断すると、1年以上母親の胎内にいたという見方もできますが、どちらにしても異常です。
この男は生まれた時から出生の理由が不明で、生まれた時から普通の人とは違う運命をたどることが確定していたような人物です。
青年時代にエジプトでの発掘のアルバイトで「弓と矢」を手に入れ自らスタンド能力を身に付けたディアボロは、予知能力とその予知を未然に回避する能力の2つの力を手に入れたことで、イタリアを拠点にしたマフィアの組織パーッショーネのボスに登り詰めます。
そして、麻薬の取引で莫大な財産を稼ぎ世界をも牛耳ろうとかという勢いになった矢先、ポルナレフにその存在を気付かれ、逆にポルナレフを返り討ちにしてしまいます。
自分の素性を探ろうとしたものは容赦なく殺してしまうその残忍さは、マフィア仕込みというよりも人として非情であり冷酷であることの顕著な現れであると考えられます。
物語は当初、主人公のジョルノ・ジョバーナがギャングスタ―になる夢をもったことで、組織のボスであるディアボロを倒す必要があるという駆け出しで始まりますが、やがてボスには実の娘がいて、ボスは正体がバレるのを恐れて娘を消そうとしていたことが分かります。
ジョルノ・ジョバーナのチームのリーダーであるブチャラティ―はそんなボスを許すことができず、組織を裏切ってボスを倒す決意をします。ブチャラティは自分の父親が麻薬絡みの犯罪のせいで命を落としたことに恨みを持っており、麻薬を扱うボスを許せなかったのです。
ブチャラティもその時点でマフィア失格ですが、そもそもマフィア自体が人間としてまっとうに生きることが出来なかった人達の受け皿のような存在なので、そういう意味ではすでに失格だったとも言えます。
ボスは執拗なまでに自分の正体を隠そうとし、部下を使って身元を隠すことに奔走する一方で、自らも正体を探る裏切り者の部下と戦うなど、その執念はすさまじいものがあります。
しかし、この執念というのは裏を返せば正体がバレることへの恐怖であり、つまり極端なまでの臆病心とも捉えられます。臆病ゆえに多くの人の命をも平気で殺めることにためらいが無い男、つまりこれがディアボロの本質だと言えます。
そこにはディオのようにゲスではあるけれども帝王であることを自負するような、堂々とした一面は見られず、隠れて全てを把握しようとするところはコソコソ逃げ回るネズミのようにも感じ取れます。
ディアボロを一言で評価するなら、不運にも人とかけ離れた能力を身に付けた生まれながらの病的な臆病者と言えるでしょう。そして臆病ゆえに他人をも犠牲にしてしまう男、つまり最低のクズ野郎ということです。
他人の死をもって自分の生を実感する男~チョコラート
人は命に限りがあるからこそ、与えられた生を全うしようと真摯に生きるものであるとすらなら、人が死ぬ姿を見ることで初めて自分が生きていることを実感できるという曲がった感性の持ち主がチョコラートという男です。
若い頃から人の死に興味があり、老人介護のボランティアをしながら隠れて老人に絶望的な言葉を聞かせ続け、苦しみながら死んでいく姿を見ることに生きがいを感じていたチョコラートは、医者になることで生きがいを充実させようとします。
ところが故意に患者に不適切な処置をしたことを咎められ医療界から追放されマフィアに転身したわけですが、組織のなかでも最低最悪の胸糞悪くなる奴というレッテルを貼られるほど、その醜悪ぶりは際立っていたようです。
ジョルノたちがクライマックスでコロッセオに辿り着きそうになった際、それを阻止する目的でディアボロが刺客として送り込んだのがチョコラートでしたが、こともあろうに元患者のセッコと組んで残忍な殺戮を開始するのです。
殺戮そのものを好むという本心的な衝動がスタンド能力に反映されており、大量のカビを発生させて触れたものはあらゆる生物をカビでボロボロに食い殺してしまうという能力です。そして、このカビは留まることをしらず広範囲に広がる性質があるのです。
敵である相手だけでなくカビに接触した人が皆死んでしまうということは、つまり組織の仲間もろとも皆殺しにしてしまうという本末転倒な能力だといえますが、まさにこれこそがチョコラートの願望そのものなのです。
チョコラート本人の殺戮衝動を象徴したこの能力は、彼の異常性を如実に表していると言えます。
そして、この戦いでボスであるディアボロをも倒し組織を乗っ取るつもりだったとも明かしますが、ここまで来るとクソ野郎を通り越してクズ、ゲス野郎としか言いようがありません。
目的のためなら列車の乗客の命も厭わない男~プロシュート
プロシュートはジョジョの奇妙な冒険第5部に登場するキャラクターで、第5部のラスボスであるパッショーネというマフィアお抱えのヒットマンチーム(殺し屋)のメンバーです。
ヒットマンチームはボスに娘がいるとう情報を入手すると、今まで命の危険も顧みず組織に従属していたにも関わらず、それに見合った待遇がなかったことや、仲間の2人(ソルベとジェラート)がボスの身辺を嗅ぎ回ったことで惨殺されたことの復讐心から、ボスの娘を手に入れることで弱点が見つかるはずだと考え行動します。
プロシュートはリトル・フィートのホルマジオとマン・イン・ザ・ミラーのイルーゾが捕獲に失敗して返り討ちにあった後、死んだホルマジオの情報を手掛かりに駅でブチャラティ―たちを見つけ列車に乗り込みます。
ところが、列車に乗ったはずのブチャラティ―たちがスタンド亀の中に避難して見つからなかったため、プロシュートは自らのスタンド能力でブチャラティ―たちをあぶり出す作戦にでます。
その作戦とは、列車の乗客を全員老化させてしまうことでした。老化といっても急激に老化するので、スタンド(ザ・グレイトフル・デッド)の本体であるプロシュートを倒さなければブチャラティ―たちだけでなく列車の乗客も道連れにされて死んでしまいます。
この方法を用いることは弟のペッシも動揺するほど残忍で無慈悲な行為ですが、プロシュートの口から言葉からは罪悪感のかけらも伺えません。
プロシュートは、毎年どこかで飛行機時が起きて大勢人が死んでいるのでたいしたことないと言い放ち、トコトンやり抜く意思を見せます。
そして、予想通り反撃してきたミスタとブチャラティ―と交戦になり、ペッシの助言も手助けしてスタンド亀の存在に気付きましたが、ブチャラティーの行動力と判断力の前に圧倒されて負けてしまいます。
列車から放り出されたプロシュートは腕が片腕がちぎれた状態で列車に引きずられ、死ぬ間際までペッシがブチャラティ―に勝てるようスタンド能力を発現させ続けて死んでしまいますが、死ぬまでボスの娘を奪取すること以外なにも考えず、その他の犠牲を一切顧みませんでした。
プロシュートは殺し屋としては一流だったかもしれませんが、目的達成のために列車の乗客を巻き込み多くの命を奪ったことは恐ろしく身勝手であると言えます。
キャラもセリフも格好良くて人気のあるキャラクターですが、プロシュートはやはりクズ野郎であると言わざるを得ません。また、プロシュートのクズっぷりは弟のペッシにも受け継がれていて、ペッシも悪い意味で成長して最悪のクズとして始末されます。
自分の都合で宇宙を一巡させた男~エンリコ・プッチ
ディオは吸血で不死身の肉体であるうえに、時を止めるスタンド(ザ・ワールド)を身に付けたことで、名実ともに世界最強の存在となりました。しかし、そんな彼が実はエジプトからアメリカへ出かけており、そこで友人を作っていたことが分かりました。
それが第6部のラスボスであるエンリコ・プッチです。刑務所で神父をしているためプッチ神父と呼ばれています。
プッチ神父は神父になる以前にディオと教会で出会い友達になりました。そして、ディオから自分の骨のかけらと称するものをもらい、障害のあった足が治ってしまうという奇跡的な体験をします。
さらに「弓と矢」の矢じりの破片をもらったことで、それが後にホワイト・スネークという凶悪なスタン能力を顕現することに繋がります。つまり、プッチ神父にとってディオは友人であると同時に恩人であるとも言えます。
ところが、デイォはがプッチ神父に授けたのはスタンド能力だけではありませんでした。それは、ディオが目指す「天国への道」についての断片的な情報でした。
ディオは志半ばで死んでしまいましたが、プッチはディオを殺した承太郎ならば情報を持っているかもしれないと予想し、承太郎から記憶を奪います。
プッチ神父のホワイト・スネークは他人の記憶や能力をCDとして頭か取り出し保管することが可能なのです。もちろん内容を見ることも可能ですし、他人にを差し込むと、差し込まれた人はスタンド能力を発言します。
プッチはこの能力を使って刑務所でやりたい放題のことをします。娘のジョリーンを罠にはめ冤罪で収監した後、面会に来た承太郎から記憶を奪い「天国への道」への手がかりを入手することに成功するのです。
プッチ神父が「天国への道」に辿り着くためにジョリーン達が刺客を次々に倒していきますが、一緒に戦った仲間の1人にプッチ神父の双子の弟であるウェザー・リポートがいました。
ウェザー曰く、
「自分が『悪』だと気付いていない最もドス黒い『悪』だ」
彼はプッチに記憶を奪われ自分の名前さえ覚えておらず、唯一スタンド能力だけが残っています。
ところが、ウェザーのスタンド能力には隠された謎があり、これはプッチが青年時代に弟の初恋の相手を死に追いやったことが原因で顕現したとてつもない能力、ヘビー・ウェザーが隠されているのです。
これは、空からカタツムリを降らせ、それを見た者は皆カタツムリになってしまというサブリミナルと呼ばれる現象を引き起こす能力で、目を開いていれば防ぐことができません。
プッチはこれを恐れて弟の記憶を奪いCDとして保管していたのです。つまり、他人のものを無断で盗んで返す意思もないどころか、それを悪用して自分の願望を叶えようとするクソ野郎なのです。
勝利のために取ったとんでもない行動
残念なことにディオの野望だった「天国への道」はエンリコ・プッチによって見事成就されてしまいます。「天国への道」はメイド・イン・ヘブンというスタンドの最終形態によって実現される能力の結果起きる現象を意味します。
メイド・イン・ヘブンは時を自由自在に加速させることができます。例えば、今この一瞬を10年とか100年加速させることができます。すると、時が加速し周囲のあらゆる生物も事象も10年、100年先の状態へ変化します。
ところが、この加速した時の流れの中で、スタンド使いであるプッチ本人だけは変わらない存在を保つことができるというのです。これはもはや、スタンドの次元を超えて宇宙の法則を支配しているとも言える行為であり、何物も手が出せません。
つまり、プッチ神父が宇宙の法則そのものになってしまったということです。追い詰められたプッチ神父は時を高速で加速させ、ついには宇宙を一巡させてしまいます。もちろん、その場にいた人は皆死んでしまいますが、本人だけがそのままの姿で存在を保てるのです。
なんという論外なことをするのでしょうか?ゲス、カス、クズを通り越え、自分のエゴで宇宙を変えてしまった男、それがエンリコ・プッチなのです。
しかし、どんなスタンドも「スタンドはスタンドでしか倒せない」という原理原則が当てはまることを忘れていた彼は、ちょっとした油断でその夢を打ち砕かれることになります。それは、まさに青天の霹靂といってもいい、弟の力によるものでした。
はたして、弟のウェザーはどうやって兄に復讐を果たしたのでしょうか?
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対象作品:『ジョジョの奇妙な冒険』第1部~第6部
「ジョジョの奇妙な冒険」についてもっと詳しく知りたい方は下記の記事も参考になります。
https://zensen.jp/jojo-part6-kaisetu/
https://zensen.jp/jojo-bosss-nouryoku-hikaku/
https://zensen.jp/jojo-dio-kuzu-genin/
https://zensen.jp/jojo-dio-real-friend/
ジョジョの奇妙な冒険第6部の最新情報については、ジョジョの奇妙な冒険「公式ポータルサイト」をご覧ください。
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