狡噛慎也はなぜ外務省に入ったのか？経緯を詳しく解説

サイコパスファーストシーズンで槙島聖護との壮絶なやり取りの末、国外逃亡した狡噛慎也がなぜ外務省に入省するに至ったのか。経緯についてはサイコパス劇場版3部作のひとつ「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に」で詳しく描かれています。

結論を言うと、狡噛慎也が外務省行動課に入る決意をしたのは逃亡先での出会いや自らの気付き、最終的にはスカウトされたからです。

槙島聖護と決着をつけた狡噛は船で海外へ逃亡

アジアを彷徨っていた狡噛慎也はある時「チベット・ヒマラヤ同盟国」で紛争が起きていることを知り、停戦監視団のリーダーであるガルシアの協力を得て現地へ向かいます。

道中、避難民のバスが攻撃を受けている場面に遭遇した狡噛は避難民を援護し、攻撃していた武装ゲリラを撃退します。

その後、親を武装ゲリラに殺されて敵討ちをしたという避難民の少女(テンジン)と出会った狡噛は、しつこく頼み込まれた結果、身を守るためだけという条件でテンジンに戦い方を教えることになります。

そんなある日、狡噛とテンジンの元へ狡噛の名前を知る一人の女性が現れます。

女性の名前は花城フレデリカ。日本国外務省行動の職員でした。

花城フレデリカはかつてシュビラシステムが色相の濁った日本人を技術援助の名目でチベットへ送り込んでいた日本棄民の存在について話し、その中に色相がクリアな者がどれくらいいるか調査をしに来たついでに、噂の逃亡執行官の顔を見に来たのだと話します。

この時、狡噛は花城フレデリカが日本棄民の調査で来たというのが嘘だということに気付きますが、敢えて指摘しません。

花城フレデリカの本当の目的は日本で起きている海外のテロ組織による武器の密輸入に関する調査で、ピース・ブレーカーというテロ組織と武器の関係を調べていたことが後で分かります。

ピース・ブレーカーはサイコパス３でも登場し、狡噛とドミネーターなしで肉弾戦をやってくれます。

槙島聖護との対話

狡噛はチベットにいる間、槙島の亡霊と何度も対話します。

槙島はチベットのある地域で埋葬の時に死体の腰の骨を折る儀式があることについて話し出します。

死者はこの世に未練があるとノロンという悪霊になってしまうので、死体の腰の骨を折って悪霊にならないようにするのだと。

つまり、悪霊とは死者すなわち過去からやってくるものなので、復讐を望み死者のために生きる選択をした狡噛のことを悪霊に憑りつかれていると指摘するのです。

槙島は自分を殺したことで日本に居られなくなったばかりか、過去に縛られ続けている狡噛はまさに悪霊に憑りつかれていると断言します。

ところが狡噛は、過去が全て悪霊だというわけではないと反論します。

この時の槙島は皮肉が好きで議論を楽しむかつての槙島そのものだったと言えます。

そして狡噛はそんな槙島の議論に以前と同じで全く付き合うとしないのでした。

それはかつて、槙島がなぜシュビラシステムを破壊しようと考えるようになったのかについて雑賀譲二と話った折り、詳しくは本人に聞いてみないと分からないが「聞くつもりはない」と一蹴したのと全く同じです。

また、槙島はキリスト教では死ぬのことは贖罪を意味するのに対して、この国の人間にとって死ぬことは輪廻の一部でしかないことについて、現世を彷徨い続ける狡噛こそが悪霊だと指摘します。

ところが狡噛は、槙島から度重なる厳しい指摘を受けながらも、「俺はそうはならない」ときっぱり跳ね除けています。

狡噛は槙島との対話で核心に迫ることを何度も指摘されますが、その都度キッパリと否定します。

ところが、槙島の議論に付き合わないのは良いとして、槙島の言っていることは当たっているのが滑稽というか、かなり面白いです。

この作品のみどころのひとつとして、狡噛と槙島の対話は狡噛の心の中を知るうえで重要な意味を持つエピソードだと言えます。

同じところをグルグル回っているだけだと指摘される狡噛

狡噛は槙島との幽霊対談以外にも花城フレデリカから直球で逃げているだけだと指摘されます。

日本から国外へ逃亡した狡噛は行く先々で紛争の手伝いばかりをして過ごし道具として歓迎される生活を続けていました。

ところが、感慨深げ気に語る狡噛に対して花城フレデリカはズバリ指摘します。

いるべき場所、自分を必要としてくれる存在から目を背け逃げているだけだと。

つまり、花城フレデリカは狡噛が自分を過去から逃げて自分を見失い、槙島の言うように悪霊に憑りつかれたような状態になっているのを見抜いていたのです。

皮肉が大好きな狡噛の心の中の槙島は、狡噛に対して皮肉を込めて現実逃避を指摘しますが、花城フレデリカは現に今こうして生きているので、槙島のように回りくどい言い方はしません。

花城フレデリカは狡噛に今回の件が片付いたら手伝って欲しいことがあると話し、暗に帰国をほのめかすようになります。

停戦監視団のガルシアは紛争の黒幕だった

ところで、テンジンに毎日身も守る術を教える狡噛でしたが、ある日テンジンは偶然ガルシアと過去に父を惨殺した武装ゲリラのリーダーが親しげに話している現場を目撃してしまいます。

狡噛慎也がやって来た「チベット・ヒマラヤ同盟国」は停戦監視団のガルシアが中心になって「ヒマラヤ山岳猟兵連隊」「南アジア独立軍」「紫龍会」の停戦の仲裁に取り組んでいました。

ところがテンジンが聞いてしまった会話によると、狡噛が信じていたガルシアは実は紛争の仲裁をする裏で紛争の火種を作り、自作自演の紛争と解決で利益を貪る薄汚い輩だったのです。

そして、話を盗み聞きしたことに気付かれたテンジンはガルシアにナイフで瀕死の重症を負わされてしまいます。

重症のテンジンから事実を聞かされた狡噛は停戦交渉が終わった後でガルシアを始末する決意をします。

最終的にフレデリカのスカウトに応じて帰国する決意をする

ガルシアを倒しやるべきこをやった狡噛に対して、花城フレデリカが背中を押します。

「あなたには救える人がいる。やることがある」

これが花城フレデリカが狡噛慎也に投げかけた最後の言葉で、狡噛はこの言葉で日本へ帰国する決意をします。

しかし、花城フレデリカの他にもチベットでは狡噛に帰国を決意させるエピソードがいくつもありました。

復讐に命をかけるほどの価値はないと断言

まず、テンジンとの出会いは狡噛にとって帰国決意するに至る大きなきっかけとなりました。

テンジンは親を殺した武装ゲリラに復讐するために技を教えて欲しいと狡噛に頼み込みましたが、狡噛は、「復讐に命をかけるほどの価値はない」と断言しています。

これは裏を返せば日本で同僚を惨殺した槙島に復讐したことで全てを失った自分のことを否定しています。

本来はそうするべきじゃなかったのだと自分で言っているようなものです。

狡噛の復讐が誤っていたことは、テンジンの死んだ父親が読んでいたという一冊の本「恩讐の彼方に」(著者:菊池寛)をテンジンに読み聞かせたことでほぼ確定します。

「恩讐の彼方に」のあらすじは、一九郎に父親を殺されお家断絶となった息子の中川実之助が21年の歳月をかけて一九郎を探し出して仇討しようとするものの、最後は復讐の無意味さを悟り仇討するのをやめてしまうという内容です。

「恩讐の彼方に」のあらすじはすでに復讐を果たした狡噛とは食い違うかもしれませんが、過去の自分の行いが誤っていたことを自覚するうえで非常に大きなきっかけとなっています。

牧島聖護との幽霊談話

狡噛が過去に振り回されていることを自覚できたのは牧島との対話によるところも大きいです。

チベットにいる間、狡噛の心の中に自分が殺した槙島聖護が折に触れて現れます。

槙島はことあるごとに狡噛のことを悪霊に憑りつかれていると指摘します。

これは狡噛自身がうすうす気づいていたことを槙島が代わりに言ってくれただけで、過去に振り回されてアジアを彷徨い続けている自分に矛盾を感じていたからです。

そういう意味では狡噛の心の中に現れた槙島は狡噛に帰国を決意させるうえで大きな役割を果たしています。

花城フレデリカの一言が決定打

最終的に花城フレデリカの誘いを受けて日本へ帰国する決意をした狡噛でしたが、この時点では日本で自分がどんな仕事をすることになるか全くわかっていません。

それどころか、シュビラシステムは憎むべき存在で自分は帰国したら殺されるかもしれないのに大丈夫だろうかと心配するシーンすらありました。

テンジンに復讐が無意味なことを気付かされ、槙島に自分が悪霊(過去)に憑りつかれているのと同様であることを指摘され、フレデリカから直球で逃げているだけだと指摘され、さらに本当に自分を必要としてくれる人がいることを知った時、はじめて狡噛は自分の口から「日本へ帰ろう」と決意します。

 

帰国した後の狡噛の活躍については、サイコパス３を視聴すれば詳しく分かりますが、狡噛は公安局ではなく外務省行動課として活動するようになります。

以上が狡噛慎也が槙島を殺害した後、国外逃亡を経て外務省行動課へ入るに至った経緯です。

なお、槙島聖護については、サイコパスの槙島聖護～伝説のカリスマキャラにして凶悪な殺人犯の魅力を考察で関連情報を紹介しています。

また、サイコパス２については、『サイコパスシーズン２』鹿矛囲桐斗がシュビラシステムを裁いた方法で詳しく解説しているので興味のある方は参考にして下さい。

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