バウンサー8巻は獅子戸が有賀に同行して関暴連の幹部である兼平拳一に持ち逃げした金を返しに行くところから始まります。しかし今回の本当の目的は金を返すことではなく有賀を関暴連から足抜けさせることにありました。
有賀は持ち逃げした1億2千万のうちすでに使ってしまった2千万を差し引いた1億し返せないので、どうやって1億で納得してもらうか、また足抜けを許してもらえるのかどうかが今回の大きな山場というかメイントピックだと言えます。
結論として有賀が持ち逃げした金について兼平拳一は許しますが、その裏にはとんでもな事情が隠されていました。また、兼平拳一は有賀の持ち逃げは帳消しにしても足抜けには応じない態度を貫きました。
そのため、交渉は難航を通り越した修羅場へと発展し、事態は誰も予想しなかったとんでもない方向へ進むことになります。
登場人物
- 獅子戸丈一郎(ししど じょういちろう)
- 蜂野信也(はちの しんや)
- 虎井清十郎(とらい せいじゅうろう)
- 鰐淵剛志(わにぶち つよし)
- 高島亮一(たかしま りょういち)
- 兼平拳一(かねひらけんいち)
- 黒須東阿(くろすとうあ)
- 有賀勇気(ありがゆうき)
兼平拳一と交渉する獅子戸が提示したとんでもない条件
兼平拳一から持ち逃げした金を返しに来た有賀でしたが、交渉は獅子戸が担当しました。有賀はビビり過ぎて声も出ない状態なので、身辺警護として雇われた獅子戸が代わりにやり取りしたのです。
獅子戸は有賀から1億を返させたうえで足抜けさせることに同意するよう要求しますが、兼平拳一はあまりにも虫が良すぎると納得しません。すでに使ってしまった2千万を退職金として我慢して欲しいという要望に呆れてしまったのです。
物事のバランスを重んじる兼平拳一は獅子戸の提案をバランスが悪いとみなし、本来ならこの場で殺されてもおかしくないと主張します。
しかし、兼平拳一がそういう反応をするのはある程度想定内だったようで、獅子戸はある取引条件を用意していました。それはなんと、すでに関暴連を抜けた黒須東阿を復帰させることで有賀の代わりにするという提案で、本人も交渉の場に駆け付けます。
黒須東阿は自分なら2千万くらいひと月で取り戻せると主張し、彼の登場で交渉はうまく運びそうかと思われましたが、兼平拳一にはなにか隠し事があるようでさっさと了承しません。
持ち逃げされた1億2千万の責任問題はすでに解決済みだった
そもそも有賀勇気が獅子戸丈一郎を身辺警護として雇うきっかけとなったのは、関暴連の雷門大治と朝風道也の追求から逃れるためでした。また、それを指示していたのは2人の管理者である下っ端幹部のフーミンでした。
ところが雷門大治と朝風道也は獅子戸に弾き返されたうえに行方不明になり、フーミンは東阿にすがりついたが獅子戸に敗北して失敗に終わったという経緯があります。
つまり、フーミンは雷門大治と朝風道也の2人の管理責任を問われるし、2人は作戦の失敗責任を問われます。ところが兼平拳一の調査によると、雷門大治と朝風道也や実は獅子戸が家にかくまっており、すでに仲良しの関係になっていたというのです。
これを知った兼平拳一はこの3人をすでに罰として斬首にしていたのです。このことは交渉の場で初めて明かされる事実で、事情を知らなかった獅子戸・有賀・東阿はショックを受けます。
さらに兼平拳一は、3人を処刑したことで本来有賀が背負うべきだった持ち逃げの件はすでに解決済みだと説明し、獅子戸が有賀を守るためにした関暴連に対する敵対行為も不問にすると明言します。
ただし、有賀の足抜けだけは納得せず、フーミンの不在で空いた幹部の席に代わりに入って働くよう要求します。それができないなら今すぐに不足分の2千万を返すよう脅します。
兼平拳一の冷徹で情容赦のない言いぐさにたじろぐ有賀でしたが、獅子戸から「自分で決めることだ」と諭された有賀が下した最終決断は、「俺は今日から関暴連を抜ける!今後一切俺に関わって来んじゃねェ!」でした。
兼平拳一の本性と獅子戸丈一郎の覚悟
有賀が勇気を出して大声で足抜け宣言した次の瞬間、兼平拳一の護衛のロシア人が獅子戸たちに拳銃を向けます。ところが獅子戸はこうなることを予想していたようで、なんとすでに安全ピンを抜いたグレネードを右手に掴んで見せつけます。
ここから獅子戸は兼平拳一との複雑な心理戦に巻き込まれていきますが、結論から言うと相手の心理を見抜いていたのは獅子戸のほうで、兼平拳一は驕り高ぶって相手の本質を見誤ることになります。
兼平拳一は獅子戸はなにがなんでもバウンサーとして逃げない選択をするという言葉の意味を表面上でしか理解できませんでした。
そのため獅子戸は警護対象の有賀がここにいる限り絶対にグレネードを爆発させるような真似はしないとタカをくくっていました。
ところが獅子戸の覚悟は兼平拳一の想定を遥かに超えており、側近のロシア人たちも「奴のような目をした者は老若男女を問わず、既に自分の死を受け入れている人間だ。我々はおろか依頼人ともども巻き込んで死ぬ気だ」と言って、獅子戸の覚悟を見抜いて銃を渡してしまいます。
残念だが俺は正義の味方じゃなく依頼人の味方だ
側近のロシア人が死ぬのを恐れて銃を渡してしまったことで兼平拳一は圧倒的に不利な状況に追い込まれますが、それでもまだ余裕を見せています。
その理由は、兼平拳一は獅子戸に人は殺せないとたかをくくていたからです。一度でも人を殺めれば一生苦しみ続けることになる。そこまで覚悟できているわけがないと軽くみていたのです。
しかし獅子戸の答えは明確でした。
残念だが俺は正義の味方じゃなく依頼人の味方だ・・・
引用元:みずたまこと バウンサー9巻 92
ところで、獅子戸がグレネードを購入したのはナイジェリアマフィアのヴィンセントからですが、ヴィンセントは虎井と旧知の間柄だったため、虎井はグレネードの件を聞いて獅子戸の様子を見に兼平拳一のオフィスまでやってきました。呼ばれもしていないのに階下のボディーガードを全員なぎ倒して勝手に上がって来たのです。
虎井は当初、難しい案件なので助け舟を出そうとしましたが獅子戸は自分の問題なので迷惑をかけたくないと言ってキッパリと断ります。そして虎井はこの件には一切手を出さないことを宣言し、最後までことの成り行きを傍観することに徹します。
意思の堅い獅子戸に銃を向けられた兼平拳一はここで汚い提案をします。そこにいる虎井を今から1億で雇い、もしも今後有賀に危害を加えたら虎井に自分を殺させるというのです。虎井に狙われて助かる人などいないという信憑性の高さは覚悟のない人間なら騙せたかもしれません。
ところが兼平拳一のこの言葉は嘘で、獅子戸が一瞬考えた次の瞬間、拳銃を奪われて肩を撃たれてしまいます。兼平拳一は実は現実主義者でも理想主義者でもなく、たんなる小汚い小悪党だったのです。
ところが、続けて発砲しようとしても弾が出ません。弾切れならスライドが後退した状態になり分かるはずなのに、スライドは後退していない。
実はこれは獅子戸が仕掛けた罠で、弾が1発しか入っていない拳銃を奪わせてわざと自分に発砲させることで、兼平拳一が裏切ることを確かめたかったのです。
兼平拳一が奪った拳銃で発砲したことと、続けて2発目も発砲しようとしたことで、もはや彼を信じることがナンセンスであることが確定しました。
この後、兼平拳一は小便を垂れ流して命乞いをします。
黒須東阿も兼平拳一クズだが命だけは勘弁してやって欲しいと本気で懇願します。
虎井も傍で傍観しているとはいえ発砲せずに解決することを期待しています。
ところが、獅子戸が最終的にとった判断は兼平拳一を射殺することでした。
その理由は、兼平拳一を助けても必ずいつか有賀に危害を加えるに違いないという確信があったからです。そして獅子戸にとって、バウンサーにとって警護対象者の命を守ることが何よりも大事だったからです。
もはや獅子戸が下した決断は正しいか正しくないかの次元で語れる問題ではなくなりました。
彼は仕事を理由にして人の命を殺めてしまったのです。
ある意味仕事とは最高の言い訳である
仕事の報酬によっては他者の命も例外ではない
仕事を言い訳にすれば自らの命の危険ですらも顧みない行動を可能にする
クソな不良(ボンクラ)は仕事を言い訳にして
自らの牙を貫き通すために戦う
引用元:みずたまこと バウンサー1巻 P183・184・187・188
兼平拳一の一件が終わった後、獅子戸は心を病みます。
大怪我を負ったことよりも、兼平拳一を射殺したことで心的外傷を患います。
それはかつて虎井も経験したことで、虎井も初めての時はトイレで吐きまくったといいます。
獅子戸が独り海岸でたたずむ傍で、唯一その心を理解できていたのは虎井だけでした。
そんな虎井は獅子戸に慰めにもならない言葉をかけるのでした。
中卒
生き地獄へようこそ・・・でも心配すんな・・・
オメェはひとりじゃねェからヨ引用元:みずたまこと バウンサー9巻 P189-P191
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