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Netflix『浅草キッド』ビートたけし役の柳楽優弥の演技がとても良かった

タケシと師匠 アニメ・漫画・ドラマ

ネットフリックスのオリジナル映画『浅草キッド』を観ました。ビートたけしの過去をドキュメンタリータッチで作った作品ですが、たけし役をディストラクション・ベイビーズの柳楽優弥(やならゆうや)が演じたのは驚きました。クレイジーなキャラの印象が強かったので今回の役柄をこなせるのか疑問でしたが結論を言うと良かったです。

キャスト

監督・脚本:劇団ひとり

原作:ビートたけし

ビートたけし:柳楽優弥(やならゆうや)

深見千三郎(ふかみせんざぶろう):大泉洋

麻里:鈴木保奈美

千春:門脇麦(かどわきむぎ)

ビートきよし:土屋伸之

浅草キッドの脚本の背景

浅草キッドはビートたけしがテレビ番組で活躍できるようになるまでの下積み時代を描いた作品ですが、ドキュメンタリー風に描かれる作品のどこまでが実話で、どの部分が脚色が入ったものなのかは分かりません。

劇団ひとりが監督と脚本の両方を務めている今作品は、ビートたけしの自叙伝を原作としているため、原作の自叙伝でどれだけ真実が語られているかによって、事実との乖離もあることが予想されます。

ビートたけし・ビートきよしの2人が下積み時代にストリップ劇場で下積みのコントをしていたというのは事実ですが、ビートたけしは浅草フランス座、ビートきよしは浅草ロック座という別々のストリップ劇場で働いていたようです。

ビートたけしの自叙伝で語られる師匠についても深見千三郎ということになっていますが、確かに浅草フランス座で深見千三郎のもとでコントの下積みをしていたのは事実ですが、恐らく心の師匠ということでしょうか。

漫才からコントに転身することで深見千三郎から破門されたビートたけしは、相方のきよしと不遇の時代を経験しますが、テレビ出演できるほどの有名人になれたのは松鶴家千とせ(しょかくやちとせ)に弟子入りしたことがきっかけで、ツービートの命名も松鶴家千とせによるものです。

『浅草キッド』は現実をかなり脚色し、ビートたけしの自叙伝『浅草キッド』を原作としているため、事実とは多少ことなる部分もあるようです。

浅草キッドのあらすじ

たけしは大学を卒業しても就職せず東京浅草のフランス座というストリップ劇場でアルバイトしていましたが、ある日フランス座の支配人である深見千三郎に頭を下げて弟子入りします。

「何ができる?」と聞かれてもろくに返事もできず黙り込んでしまうたけしは、「芸人が黙り込んでどうするんだ」と叱咤されますが、深見千三郎はたけしを弟子にして、「たけ」という愛称を付けて可愛がってくれます。

ある日、舞台に欠員が出てコントができなくなったため、深見千三郎は臨時でたけしを相方に起用してナンパされる女性の役を任せます。

ところが、この女性役は全てアドリブでやらされたため、大失態を演じてしまいます。一見客に受けたように思われたたけしコントでしたが、深見千三郎は「おい、そこの客!」と名指して観客に罵声浴びせます。

「こんな芸で笑っちゃこいつが駄目になっちまう」と笑った客を非難し、芸は客に笑われるものではなく笑わせるものであることや、客に媚びてはいけないことを教えます。

フランス座を辞めツービートで漫才をする決断

ところが、時代の流れについて行けずコントとストリップに固執するフランス座は経営不振に陥ります。そんなある日、依然フランス座で働いていたキヨシがたけしに漫才のコンビを組まないかと持ち掛けます。

かねてから漫才に興味があったことやフランス座にいても未来がないと直感したたけしは、師匠の深見千三郎に漫才に転身するためフランス座を辞めることを報告して逆鱗に触れます。

これ以降、たけしはキヨシとツービートというコンビを組んでテレビにも出演するようになり、演芸場で通用したブラックユーモアのネタがプロデューサーに批判されて悩んだりしますが、やがてコンテストに入賞して有名になることができます。

一方、フランス座の経営が頓挫した深見千三郎は妻の麻里に芸者として働いてもらいながら、自身も工場に勤めるという新たな道を選択しますが、麻里は苦労が多々って死んでしまい深見千三郎も寝タバコが原因の火事で死んでしまいます。

深見千三郎が死ぬ直前、たけしが「こずかいです」と言って師匠の深見千三郎にコンテストの賞金を渡しに行くシーンがあって、深見千三郎が「馬鹿野郎、こんなもの受け取れるか!」と言いながらも、「じゃあ、飲みに行くか」と切り返します。

これは、たけしにどんな時も芸人は笑いを忘れてはいけないということをフランス座で教えた教訓を物語っているように感じられました。

ディストラクション・ベイビーズでの役柄との違いについて

やならゆうや・ディストラクション・ベイビーズ

ディストラクション・ベイビーズのワンシーン

『浅草キッド』で見事にビートたけしの下積み時代を演じた柳楽優弥ですが、実は2016年に出演した『ディストラクション・ベイビーズ』という作品では、暴力依存症の高校生を演じています。

行く先々で暴力団やチンピラなど相手を選ばずに暴力を振るい、相手が起てなくなるまで殴り続けるという、バイオレンス性の高い描写が目立つ作品で、寡黙な青年が暴力にとりつかれてひたすら突き進むというある種の破滅的なメッセージ性を持った役柄でした。

今回の役柄と大きく異なるため、以前に『ディストラクション・ベイビーズ』を見て柳楽優弥を知った人のなかには、ビートたけしの自叙伝をたけし役で演じることに疑問を感じた人もいたのではないでしょうか。

私は最初に『浅草キッド』のキャストを見た時に、「本当に大丈夫?」と思いました。

しかし、全部視聴してみて「こんな役柄もこなせるのか」と感心しました。

たけしの肩を動かす癖や、ちょっとした声のクセまで上手に再現できていて、外見やイメージからは想像もできない演技力の可能性を持っていることが確認できました。

なお、2021年に『ターコイズの空の下で』に「たけし」という登場人物で出演していますが、今回のたけしとは全く関係ありません。

柳楽優弥と大泉洋の共演について

若き日のビートたけし演じたのが柳楽優弥である反面、師匠の深見千三郎を大泉洋が演じたのもサプライズでした。なにしろ大泉洋と言えば、派遣の品格で有名になってからのキャラのイメージが頑固者とはかけ離れたものばかりだったので、こっちのほうも当初は若干不安でした。

しかし、見れば分かりますが演技力・存在感どちらをとってもさすが大泉洋と言う他ない素晴らしい演技でした。なにより感心なのは、主役に花を持たせる責任を完璧に全うしている点です。

これはさすがに新人や若手の俳優には難しい難題で、下手をすると主役よりも目立ってしまって作品の趣旨を台無しにしかねません。

ところが、この辺をよくわきまえているのはさすがは大泉洋だと言えます。下積みが長かったという点では、経験がもろに生かされた配役だったのかもしれません。

また、妻の麻里に鈴木保奈美が充てられたのもナイスでした。なんと言ってもこの年でこの美貌の女優というのも探すのは容易ではありません。かつて青春ドラマで売れまくっていた過去を持ち、石橋貴明との出来ちゃった婚で一線を退いた女優をここで起用するとはさすがはネットフリックス。

ネットフリックスの映画『浅草キッド』はキャストがとても良かったと言えます。

浅草キッドの視聴方法

『浅草キッド』は現在ネットフリックスの独占配信作品となっており、他のサービスでは視聴できません。

また、DVD・Blu-ray化されておらず、レンタルもできません。

ネットフリックスでは最安のベーシックプランに加入すると月額990円(税込み)で全ての作品が見放題で視聴できます。

ネットフリックスには課金対象の作品が一切ありません。

ネットフリックスの公式サイトはこちら

ディストラクション・ベイビーズの視聴方法

『ディストラクション・ベイビーズ』はU-NEXTやアマゾンプライムビデオなど、多くのVODサービスで視聴することが可能です。

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