門倉を毒入りのワカサギで運試しするという関谷輪一郎の試みは失敗しましたが、関谷は土方と牛山が戻らないことを案じる長倉のもとへ土方を拉致していることを知らせる手紙を送り届け長倉をおびき出そうとします。関谷は長倉に入れ墨人皮を持って来させ、土方と交換する条件を提示したのです。
門倉が手紙を見た時には長倉はすでに出て行った後で、門倉は急いで後を追いかけ関谷が指定した場所である阿寒湖へ向かいます。そしてなんとか長倉より先に到着し、関谷と取引を始めるのでした。
門倉看守部長の作戦
この時、門倉はアイヌのキラウシと密かに作戦を練っていました。門倉は、関谷が入れ墨人皮を手に入れたら必ず約束を破って逃げることを想定していたので、逃げる方角に検討を付けてそこへ銃を持ったキラウシを待伏せさせていたのです。
ところが途中で自力で棺から脱出して朝鮮朝顔の毒から覚めた牛島が関谷の前に現れ、関谷は門倉の期待を裏切って反対方向へ逃げてしまいます。
これにより、門倉は自力で関谷を探さなくてはならなくなりましたが、その答えは作戦を台無しにしてくれた牛島が持っていました。
牛島の服のポケットからカイコの繭が出て来たことで、キラウシはこの辺にカイコの繭を生産している養蚕農家は2カ所しかないとのことで、門倉とキラウシはそれぞれ手分けすることにしたところ、門倉が向かった先は見事関谷輪一郎の隠れ家だったのです。
関谷輪一郎の行動原理は試練という名の運試し
なんとか関谷輪一郎を自力で見つけることに成功した門倉でしたが、関谷輪一郎という男の変質的な人格は絶対に相手を運試しせずにはいられない病的なもので、門倉は土方を助け出すために嫌でも関谷の運試しに付き合わされてしまいます。
関谷は、種繭雌雄鑑別器(たねまゆしゆうかんべつき)という中心の軸から円状に足の着いた繭の重さを鑑別する機会を利用して門倉に『試練』を与えようとします。
種繭雌雄鑑別器は養蚕農家が繭を作る時に利用する機械で、中心にある軸から円状に足が何本も付いていますが、関谷は対角線上にそれぞれ毒入りと毒無しの繭を乗せ、お互いが対角線上の繭をとって食べ、運が良ければ助かるし運が悪ければ死ぬという『試練』を与えるというのです。
もちろん、運が悪ければ関谷自身が死ぬ可能性もありますが、誰よりも運が悪い門倉は「たとえこの中に毒入りの繭がひとつだけだったとしても、俺はそれを引き当てる自信がある」と自覚するほどで、なんと本当に毒入りの繭を引き当ててしまうのです。
毒の影響で体調が急変する門倉を見た関谷は約束どおり土方を棺から出すため土方を入れてある棺の蓋を開けますが、次の瞬間土方に切られて致命傷を負います。
なんと土方は関谷との試練で飲む羽目になった毒と拮抗する毒を飲むことで、体の中の毒を中和させる術を知っていたのです。そしてその毒は関谷が試練の時に自分に提示した数種類の毒が入った繭のなかのひとつだったのです。
強運の持ち主だった門倉看守部長
一方、土方を助けるために関谷の試練に応じて見事を毒入りの繭を食べてしまった門倉は、苦しさのあまり早く死のうと考え、種繭雌雄鑑別器に乗せてあった繭をさらに2個食べます。
ところが門倉が2回目に選んだ繭に入っていた毒はふぐ毒が入っていて、最初に口にした毒はトリカブトだったので、トリカブトとふぐ毒の拮抗作用が功を奏して互いの毒の効果を低下させてくれたのです。
門倉は誰よりも運が悪いと自覚しているわりには、誰よりも運よく毒と毒を打ち消すの味方を知らずに実行していた強運の持ち主だったので、関谷輪一郎の『試練』に勝つことが出来たのです。
土方歳三は若い頃に薬売りをしていた知識をもとに敢えて毒を追加して飲みましたが、なにも知らずに飲んだ門倉と土方では行動原理が全く異なります。
ただし、土方はふぐ毒を飲んだ後で意図的にトリカブト入りの繭を選んだのではなく、関谷が提示した繭の中にトリカブト入りのものがあるという最低限の情報しか持っていませんでした。
土方は助かった後で、「飲まなければ死ぬ」という状況下で一か八かに賭けただけだと言っています。
そして、「度胸と経験が運命を引き寄せたといっておこう」と死ぬ前の関谷に話しています。
つまり、運が悪ければトリカブト以外の繭を選んで死んでいたかもしれなかったわけです。
関谷は死に際、ついに神が現れ自分を裁いてくれたと言い残して死んでいきますが、関谷が他人に『試練』を与えて人殺しをするようになったのには理由がありました。
関谷輪一郎の過去
関谷輪一郎にはかつて娘が目の前で雷に打たれ死んでしまったという過去があります。関谷はなぜ娘だけが運悪く雷に打たれたのに自分は助かったのか、その理由を問い続けることで人の運命というものに興味を持つようになったようです。
信仰心が強かった関谷は、神はなぜ自分を裁かずに娘を裁いたのか理解できずに苦しんだ末、運が悪ければ誰でも裁かれるのだという曲がった信念を持つようになり、それを証明するため他人に『試練』を課して人殺しを重ねてきたようです。
そして、最後に自分が死んだことでとうとう自分も運悪く神に裁かれたと捉えて納得したのかもしれません。娘の理不尽な死をきっかけにして殺人鬼になった関谷輪一郎でしたが、最後までその信念は曲がったままでした。
第39話に続く。
第37話・第39話のあらすじは下記の関連記事で詳しく解説しています。
ゴールデンカムイ:第37話『あばよロシア』あらすじ【ネタバレ】
ゴールデンカムイ:第39話『硫黄のにおい』あらすじ【ネタバレ】
なお、ゴールデンカムイ【アニメ4期】あらすじまとめて解説で4期のあらすじをまとめて解説しています。
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