幸村誠のヴィンランド・サガで作品のキーマンでありいつまでもトルフィンの頭の中に住み続けるしつこい男アシェラッドの魅力と死んでも化けて出てくるしぶとさについて紹介します。
アシェラッドはヴィンランド・サガのファンの間でカッコいい評価されることが多いですが、アシェラッドの本当のカッコよさは最後の最後はトルフィンに仇討をさせなかったことだと思います。
アシェラッドは主人公トルフィンの父親の仇
Amazonプライムで初めてアシェラッドを見た時、ただのヒゲ親父だと感じました。
アシェラッドはトルフィンの父である戦士トールズを罠にハメ、無抵抗のトールズに大量の矢を浴びせて殺した張本人で、良心のかけらもない奴だと最初は悪印象だけを抱きました。
ところが、父親を殺された後で乗って来た船を下りようとしないトルフィンを、「放っとけばそのうち死ぬだろう」といって殺さなかったのは何か意味があったのかもしれません。
そもそもトールズは自分が罠にハメられていることを悟っていたようで、トルフィンをはじめ一緒に来た仲間の命を保障することを約束してもらいこの世を去ったわけですが、それにしても親の仇を目の前にして憎しみを抱かない息子などいるわけないので、アシェラッドがそれに無頓着だったとも思えません。
その後、アシェラッド兵団の食べ残しを漁って命を繋いだトルフィンは、いつか父の仇を討つためにアシェラッドと決闘させてもらうことを条件にアシェラッド兵団の一員として戦場で闘い続けます。
決闘をエサにしてトルフィンを利用し続けるアシェラッド
トルフィンは自分がアシェラッド兵団に残って何年も闘っていることを理解できているようで理解できていません。
アシェラッドは戦士として次第に強くなっていくトルフィンに対して困難な命令を何度も下します。
トルフィンはミッションをクリアした暁には決闘に応じてもらう約束をし、アシェラッドは約束通り決闘の相手をします。
しかし、トルフィンが何度挑んでもアシェラッドには全く歯が立ちません。
それどころか毎回ボコボコにされていっこうに勝てる兆しが見えません。
アシェラッドは決闘を条件に出せばどんな難しい任務も遂行するトルフィンを利用してどんどん勢力を伸ばしていきますが、果たしてトルフィンに負けた時のリスクを考えていなかったのかというと、そうでもなさそうです。
何度も何度もやり合う2人でしたが、最後に決闘するのはデンマークのクヌート王子を救出して帰国した後、アシェラッドは最も古い仲間ビョルンがケガで寝たまま死ぬよりも決闘で死ぬことを望んでいたため、ビョルンの頼みを聞いて決闘でトドメをさします。
ビョルンとの決闘が終わるとアシェラッドはいつものようにトルフィンと決闘をしますが、素手で簡単にトルフィンを倒しボコボコにしてしまいます。
戦場でトルフィンに一度敗北を喫している戦士トルケルは、当初2人の決闘に興味を持っていましたが、頭に血が上って全く冷静に戦えていないトルフィンを見るとウンザリして呆れてしまいます。
トルフィンは生まれつき直情型の性格で戦場では優秀な戦士として戦えますが、仇討のための決闘となると冷静さを失い、全く実力を発揮できなくなる欠点を持っているのでした。
アシェラッドがトルフィンのそういうところを完全に見抜いていて、最後に駄目出しをします。
なにが言いたいかというと、お前はアホなんだよ
アシェラッドは仇討のために10年以上もアシェラッド兵団に混ざり決闘を申込続けながら、未だに自分を倒せないトルフィンに対して、どうして勝てないのか理由を教えます。
そして、自分の祖国はウェールズで、奴隷としてデンマークに連れてこられた母に産んでもらった過去について語ります。
アシェラッドは祖国を思う心が強かったのでデーン人である実の父親を憎んでおり、父親を騙して奴隷の身分から家に入れて生活させてもらうことに成功し、2年がかりで寝ているところを暗殺することに成功したと語ります。
つまり、自分が2年で目的を達成できたのに対して10年以上たってもまだ自分を倒せないトルフィンは、いったいなにをやっているのだと呆れているのでした。
そして、最後に「つまり何が言いたいかというと、お前はアホなんだよ」と駄目だしするのでした。
アシェラッドの言葉は最後の最後までトルフィンの心には届きませんでしたが、トルフィンはこの時点ですぐに自分の愚かさに気付くべきだったのでしょう。
結局、トルフィンではない別の誰かに殺されるアシェラッド
アシェラッドの本当のカッコよさは、最後の最後にトルフィンの決闘の相手をせずに別の誰かに殺されたことでしょう。
正式に決闘に敗れて死んだら時代劇の仇討ちと変わりありません。
ところがアシェラッドはこともあろうに祖国とクヌート王子の両方を守るために自ら死ぬ道を即決するという、信じられない神業をやってのけたのです。
デンマーク王からウェールズを侵略しようとしていることやクヌート王子を排除しようとしていることを直接告げられ、自分の野望も見抜かれたアシェラッドは諦めると同時に暴走したふりをして、わざと殺される道を選択するのです。
アシェラッドが決闘ではなく他人に殺されたことでトルフィンはまたしても冷静さを失い、死にかけのアシェラッドに対して「死ぬな!」と訴え続けます。
トルフィンは土壇場に来てもなお子供のままでした。
ところがアシェラッドは死ぬ間際に、「いい加減、こんなところにひっかかってないで先にすすめよ」とトルフィンを諭し、そのまま息を引き取ってしまいます。
ケティル農場で奴隷のトルフィンに付きまとう亡霊アシェラッド
アシェラッドが死んだ後、唯一の生きる目的を失ったトルフィンはまたしても冷静さを失い、奴隷としてデンマーク南部のケティル農場へ買い取られ農夫として働くことになります。
ケティル農場で働くトルフィンにもはやかつての戦士として鋭い眼光は残っておらず、半病人のような眼差して無気力に奴隷の身分に甘んじています。
ところが、あらたにやってきたエイナルという奴隷の青年との出会いがきっかけでトルフィンは次第に人間性を取り戻していきます。
それは、過去の自分を取り戻すのではなく違う自分へと生まれ変わることを意味しますが、トルフィンは農場での生活で何度もアシェラッドの亡霊に悩まされます。
かつて戦士だった頃、父親の仇として自分の生きる目的だったアシェラッドは、死ぬ間際に早く先へ進むよう言い残してこの世を去りましたが、死んだ後もとトルフィンの頭の中に生き続けています。
しかし、亡霊としてトルフィンに付きまとうアシェラッドも過去のアシェラッドも本質的には同じでした。
アシェラッドはトルフィンが未だに過去を引きずっていることに対して、自分が戦場で殺した屍を引きずりながら這い上がる覚悟をしろと促します。
また、非暴力を貫いてアルネイズの夫をなんとか助けようとするトルフィンに、背後から囁いたりします。
とにかく、トルフィンの心に葛藤が生じると必ずアシェラッドが登場するわけです。
ただし、忘れてはいけないのがアシェラッドは亡霊として出てきたとしても、一度としてトルフィンの足を引っ張る真似はしていないとうことです。
実は、それは生前も今も全く変わっていないのです。
つまり、アシェラッドは最初から最後までトルフィンの良き父であり先輩であり助言者なのです。
人は目先の利益や自分の感情に囚われて本当に自分を思ってくれる人の有難みを理解できないことが多々ありますが、トルフィンにとってアシェラッドはまさに理解しがたい大恩人なのです。
ただ、それが実の父親を殺した張本人であるため、どうしても認めることができないのです。
トルフィンが本当にアシェラッドに感謝できる時、その時トルフィンは本当の意味で自分という鎖から解き放たれて自由になれる気がします。
それにしてもアシェラッドは死んで感謝させないところがカッコよすぎます。
以上、アシェラッドのセコイ魅力について解説しました。
ヴィンランド・サガについては、アニメ版がコミックと比べてひどいとか、1期と2期の内容が極端に違い過ぎてつまらなくなったという声がよく聞かれますが、1期も2期も本質的には同じことを訴えているので非常によくできた作品だと思います。
詳細はヴィンランド・サガ【アニメ版】がひどい内容だという噂の真相で解説しているので、興味のある方は一読されると良いでしょう。
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