コミックで読むとめちゃくちゃ面白かったのに調子に乗って実写化されるとクソ作品に成り下がるという悲しいことがあります。漫画でなくてもアニメから実写化されて失敗するケースもあります。今日はひとりの漫画・アニメファンとして、実写化されて面白くなくなった作品のワーストランキングを作ったので紹介しようと思います。
実写化されて失敗した作品ワーストランキング
第5位 どろろ
コミック
原作:手塚治 出版社:小学館・秋田書店 連載雑誌:週刊少年サンデー(1967年8月27日号~ 1968年7月21日号) 冒険王(1969年5月号~ 10月号) コミック:全4巻 |
作品のあらすじ
武士の醍醐景光(だいごかげみつ)は天下を取りたい一心で魔神と取り引きをした結果、後に生まれた男児は生贄として目・口・鼻をはじめ48カ所の部位が欠落した状態だったため、男児は母親から取り上げられ川に捨てられます。
偶然、とおりかかった医者の寿海(じゅかい)が男児を助けて育てることになります。寿海は人工的に作った義手や義足を男児に与え百鬼丸(ひゃっきまる)と名付けます。
百鬼丸はやがて成長して青年になり、腕に仕込まれた刀を武器に魔物を次々に討伐していきますが、討伐した魔物が生贄の代償を持っていた場合は、倒した後に取られていた体の部位が戻ってきます。
こうして百鬼丸は全ての体を取り戻す前に実の父である醍醐景光と、それが実の父であることも知らないまま戦うことになるという物語です。
作品名の「どろろ」は、百鬼丸が青年になって奪われた体を取り返す旅に出た先でたまたま出会った男の子で、この物語では不思議な存在として際立っています。
どろろは生身の人間で決して魔物と戦うこともないのですが、百鬼丸と常に行動を共にしており物語の主人公の1人として最後まで重要な役割を果たします。
「どろろ」では主人公が百鬼丸なのかどろろなのかよく分からないようになっていて、2人でひとつの主人公のような設定とも言えます。
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映画化されて駄目になった点について解説
劇場公開:2007年
監督:塩田明彦(しおた あきひこ) キャスト 百鬼丸:妻夫木聡(つまぶき さとし) どろろ:柴咲コウ(しばさき こう) 寿海:原田芳雄(はらだ よしお) 醍醐景光:中井貴一(なかい きいち) 多宝丸:永山?瑛太(ながやま えいた) 琵琶法師:中村嘉葎雄(なかむら かつお) |
配役に関してはまあなんとも言えない感じで、特に思い入れがない商業映画特有の配役であることが一目で分かります。
肝心な中身ですが、原作のコミックとの乖離が甚だしいの一言に尽きます。
妖怪と戦うシーンでもやたらCGを多用したり緊張感が無い描写が多く、どこを見せ場にしているのかさっぱり分からない作品でした。
とりあえず百鬼丸の生い立ちや心の葛藤などを表現した描写もあったので0点ではないですが、この作品はオドロオドロシイ魔物と戦うことで奪われた肉体を取り戻していく百鬼丸が、次第に心も取り戻していくことを描けなければ全く意味がありません。
この点は、原作のコミックとアニメではそうした百鬼丸のどろろとの関わりの中で生まれる心の変化が見事に描かれていますが、映画では化物との格闘シーンにお金をかけたことをアピールし過ぎて、陳腐な三流作品に成り下がっています。
最後に醍醐景光が死んでしまうのも映画だけの設定で、コミックもアニメも景光は死にません。偉大な漫画界の巨匠である手塚治虫の作品をカバーするからには名に恥じない作品に仕上げて欲しかったところですが、これはお世辞にも良かったと言えるレベルではありません。
どろろの関連情報についてもう少し知りたい方はベルセルクでガッツに集る悪霊の発想はどろろの百鬼丸から着想を得たオマージュもあわせてお読みください。
第4位 GANZ(ガンツ)?
コミック
原作:奥浩哉 出版社:?集英社 連載雑誌:週刊ヤングジャンプ(2000年31号~ 2013年29号) コミック:全37巻 |
作品のあらすじ
ガンツは宇宙人による侵略戦争に地球が巻き込まれ植民地にされそうになっている事実を知らない人間と、事実を知り侵略者に対抗するために戦うことのできる人間を選別するという完全SF作品です。
コミックの冒頭で主人公のの玄野計(くろの けい)と幼馴染の加藤勝(かとう まさる)は駅のプラットフォームから転落した酔っ払いを助けようとして2人とも死亡するという、とんでもない場面からスタートします。
やがて2人は知らないマンションの一室で「あ~た~らし~い~あさがきた」の曲と共に目を覚まします。そこには2人以外にも事情を理解できない人間が何人も存在して、みんな同じ状況であることがわかります。
その部屋にはガンツと呼ばれる黒い球体があり、ガンツは居合わせた人間にバトルスーツと武器を提供するとともに意味不明なミッションを与えます。
そのミッションとは宇宙人を殲滅することで、現状を理解できない人間はたちまち宇宙人に殺されてしまいますが、柔軟に現状を把握できた玄野は宇宙人を倒してガンツから点数を与えられます。
この点数には重要な意味があり、100点を取ることで3つの選択肢を選ぶ権利を獲得できます。
①ガンツの記憶を忘れることを条件に元通りの世界に生き返る。
②同じ死後の世界で宇宙人と戦い続けるかわりに協力な武器をもらえる。 ③死んだ人間を1人だけ生き返らせる。 |
この100点を目指す攻防が序盤から中盤にあけての作品のみどころで、玄野たちは自分が生き返る権利を放棄して仲間を生き返らせたりすることで、自分の心に折り合いを付けるのか目的を達成することを最優先するのか心の葛藤に悩まされます。
中盤から終盤にかけてはガンツの正体が次第に明らかになり、実は謎だらけだったガンツの正体を知っている人間がいることが明らかになります。そして、理由もわからずに宇宙人と殺し合いをさせられている人間たちもその目的を知ることになります。
宇宙人との全面戦争もクライマックスを迎える頃、ガンツという黒い球体を作ったのは人間であり、そのノウハウを与えたのは宇宙人だったことが分かります。
宇宙人も地球を侵略することが目的の宇宙人とそれを望まない宇宙人に分かれていて、地球に見方する宇宙人たちが、地球人に対抗手段を身に付けさせるための手段として、ガンツのテクノロジーを提供していたのです。
つまり、地球人たちは最初から宇宙人の掌のうえで踊らされていたというわけです。そして、敵対勢力に負けないように陰で応援されていたとうのが本当のところです。この結末は、最後まで読んでがっかりした人もいたようですが、気に入った人は根強いガンツ信者となっています。
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映画化されて駄目になった点について解説
劇場公開:2011年
監督:佐藤信介 構成:前半・後半の2部作品 キャスト 玄野計:?二宮和也(にのみや かずや) 加藤勝:?松山ケンイチ 小島多恵:吉高由里子(よしたか ゆりこ) 西 丈一郎:?本郷奏多(ほんごう かなた) 岸本 恵:夏菜 |
映画版は前編と後編に分かれていて、前編が『GANTZ』、後編が『GANTZ PERFECT ANSWER』にあたります。
そもそもガンツは37巻も続いた長編作品なのに、映画を2部に分けたところで全てを描くことはできません。そのため『GANTZ』では冒頭で玄野と加藤が死んでガンツの部屋で目を覚ますシーンから、星人との闘いで加藤が死んで玄野たちが加藤を生き返らせるために100点を目指すところまでしか描かれていません。
『GANTZ PERFECT ANSWER』では100点を達成した玄野たちが見事に加藤を生き返らせることに成功したものの、宇宙人がガンツの部屋まで転送されてしまいパニックになるというラストの展開は原作とは完全に別物です。
また、ガンツの中にいた人間が死んだために玄野が役割を買って出ることで、2度とこの部屋に死人を呼ばないようにするという極端な結末は原作と完全に異なります。
映画はこれで誰も2度と星人と戦う必要がなくなってハッピーエンドという形で終わりましたが、原作との乖離が著しくて興ざめだったのは私だけでしょうか?
道頓堀星人や岡八郎みたいな頭がぶっ飛んだ戦闘ホリックのメンバーの存在も、映画では一切扱っていません。これは、原作のコミックで一番の見どころとしてファンの間で人気の高かったエピソードでもあるので、映画版のストーリーの捻じ曲げ方はかなりのものだと言えます。
第3位 テラフォーマーズ
コミック
原作:貴家悠(さすが ゆう) 作画:橘賢一(たちばな けんいち) 出版社:?集英社 連載雑誌:ミラクルジャンプ、週刊ヤングジャンプ コミック:全22巻、2021年12月現在、休載中 社会的評価:「全国書店員が選んだおすすめコミック2013」 2位 2013年「このマンガがすごい!」オトコ編 1位 |
作品のあらすじ
テラフォーマーズは未来の人類を描いた完全SF作品です。人類は増えすぎた人口を宇宙に移住させる計画を立案し火星を新たな居住地として選択しました。
そこで、火星に人間が住める環境を構築するとともに実際に生物が生きていくことが可能か否か確認するために、コケとゴキブリだけを先に火星に送り込み後から状況を確認するために調査隊を送り込みます。
ところが調査隊が火星に到着すると、過酷な環境で人型で人間と同じ大きさに進化したゴキブリ(テラフォーマー)の猛攻撃に遭い、調査隊は全滅してしまいます。(バグズ1号)
その後、バグズ1号と同じ轍を踏まないために新たなにバグズ手術を施されたバグズ2号の調査隊15名を送り込みます。バグズ手術を受けると遺伝子が操作され、薬を服用することで本人にマッチした昆虫に変態することができるようになります。
その代わり寿命は縮まり、薬を一度に大量摂取すると昆虫の体から人間の体に戻ることができなくり死んでしまうリスクがあります。
ドナテロ・K・デイヴスを艦長とするバグズ2号のクルーも各国の代表で構成されていましたが、クルーの中には国益を優先して裏切り行為をするメンバーもいたため、小町小吉(こまち しょうきち)と蛭間一郎(ひるま いちろう)の2名を残して他のクルーは皆殺しにされてしまいます。
20年後、地球では火星から持ち帰ったテラフォーマーから広まったと推測されるエイリアンエンジンウィルス(致死率100%)による死者の増加が問題となっており、各国の代表で構成された国際組織U-NASAは自体解決のため、火星でのサンプル回収を名目に再度火星探査隊を組織します。
この探査隊はアネックス1号という巨大な宇宙船に100名のクルーで構成されており、強力な武器とあらたに開発されたM.O.手術(モザイク オーガン オペレーション)によってバグズ手術を上回る能力を身に付けたメンバーで構成されています。
バグズ手術が昆虫ベースの変態のみ可能だったのに対し、M.O.手術は生物全般を対象としているため、人類が戦う手段は大幅にアップしたことになります。
ところが3回目の探査隊であるアネックスが到着した火星では、人類の想定外の事件が起きていました。なんとテラフォーマーがM.O.手術の技術を身に付けていたのです。
これにより火星で人類とゴキブリの壮絶な争いが開始され、「負けたほうがゴキブリ」扱いされるという、まさに生きるか死ぬかのデスマッチとなったわけです。
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映画化されて駄目になった点について解説
劇場公開:2016年
監督:三池崇史(みいけ たかし) キャスト 小町小吉:伊藤英明(いとう ひであき) 蛭間一郎:山田孝之(やまだ たかゆき) 秋田奈々緒:武井咲(たけい えみ) 本田晃:小栗旬(おぐり しゅん) |
映画ではバグズ2号のクルーたち火星での活躍だけを描いており、20年後のアネックス1号のことが全く描かれていません。
つまり、今コミックでテラフォーマズを読んでいる読者が視聴したら小町小吉(こまち しょうきち)と蛭間一郎(ひるま いちろう)の過去を描いているのが分かりますが、初めて映画を観た人は噂で聞いていたものとは違うと勘違いするかもしれません。
ガンツの映画化にしてもそうですが、漫画・アニメファンなら見てすぐに分かりますが、初めて映画を観た人もすぐにうなづけるような内容ではないことが一目瞭然です。
漫画・アニメの映画化はほぼ例外なく一部分のみを切り取って実写化するという、実に妙な常套手段を用いることが多いですが、私はこのやり方にはあまり賛成できません。
どうせなら売れるか売れないか抜きにして、ある程度のところまで作り切るのなら文句はないですが、実写化された作品は実に中途半端な作品が多い気がします。
テラフォーマズお映画版も、テラフォーマズが「熱い」と評価される場面をほとんど描けておらず、名前だけを借りて作ったパッチものみたいな印象はぬぐえません。
映画版を見て感動したり心に熱い者を感じる視聴者などほぼ皆無だと断言します。ただ、描写の仕方や作りは最悪とまでは言えないかなと思います。
もっとも、漫画で表現できる凄さを実写で表現するには限界があるのは当然のことなので、どうせ作るのならそれを承知でもっとグロテスクにかっこよくできないのかと言いたい気持ちはあります。
第2位 バウンサー
コミック
原作:みずたまこと 出版社:秋田書店 連載雑誌:別冊ヤングチャンピョン(2014年~) コミック:全11巻 |
作品のあらすじ
身長185センチ中卒の獅戸丈一郎は正義感が強すぎるあまり、間違ったことを見て見ぬふりをすることができない問題を抱えており、それが原因で26回も派遣社員をクビになった経験をもつ、自称問題児です。
作品の冒頭でも現場でイジメられていた先輩を助けようとしたことが原因で、暴力をふるってしまいクビになってしまう場面から始まります。
完全に社会から見放されて行き場を失った丈一郎は、夜のバーで独り酒をしていました。すると隣の席でナンパされている女性をみかけてしまい、いつもの正義漢でしつこい男を突き飛ばしてしまったことで、東京フィストというセキュリティー会社のスタッフにつまみ出されてしまいます。
ところがもう行き場のない丈一郎は、逆になんとしてでも中に入って居場所を作ろうという無意味な意地に執着し、実力行使で阻止する東京フィストのセキュリティーをなぎ倒していきます。
そんな丈一郎の姿を見た東京フィストの社長である鰐淵(わにぶち)は、皆に手出し無用と釘をさした後、たった一人で日が昇るまで丈一郎が意識を失い抵抗しなくなるまで全力で相手をします。
これにより、全身に大怪我を負い入院する羽目になった丈一郎でしたが、怪我を負わせた賠償の件について弁護士経由で鰐淵から連絡をもらっていたこともあり、恐怖を感じながらも東京フィストの事務所を訪れます。
そこで鰐淵とかわした会話のなかで鰐淵の琴線に触れた丈一郎は、アルバイトとして東京フィストで働いてみないかと提案を受けすぐに了承します。丈一郎にとってはアルバイトでも仕事にありつけたことが本当にうれしかったのです。
その後、東大エリートの蜂野の部下として数々の現場を経験する丈一郎に、鰐淵は正社員になるチャンスを与えます。それは筆記試験の合格と実地テストの合格が条件となります。
ところがこの実地テストに想定外の横槍が入り、鰐淵たちの知らない間にテストが実践になってしまうという、とんでもないハプニングが起きてしまうのです。
後からわかりますが、これはハプニングではなく東京で大きな勢力を持つ暴力組織である関暴連の幹部が仕組んだことなのですが、そこに現れた2名の刺客がこともあろうに裏の世界では誰もが恐れる佐藤と鈴木のコンビだったのです。
この2人の強さはチンピラや喧嘩自慢など足元にも及ばない常軌を逸した強さが示す通り、立ちはだかるチンピラをみんな一発で絶命させてしまうという、とんでもない連中です。
丈一郎と鈴木・佐藤コンビの対決は、丈一郎の捨て身の作戦でなんとか命を落とさずに済みましたが、この戦いで丈一郎は佐藤によって片目を失明させられるという大ダメージを負います。
そして物語はなぜ丈一郎がこの2人に襲われることになったのか、この2人を陰で操る人物が誰なのかを探す方向へ移って行きます。
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実写化されて駄目になった点について解説
放送:2017年
メディア:BSスカパー 平埜生成:獅子戸 丈一郎(ししど じょういちろう) ユナク:蜂野 信也(はちの しんや) TAK∴:虎井 清十郎(とらい せいじゅうろう) 村上淳:鰐渕 剛志(わにぶち つよし) |
このドラマはかなり仕上がりが悪かったです。獅戸丈一郎の髪型が爆発してるのは原作どおりだったのと、蜂野のキャラがクールでハンサムな東大生という点も原作に忠実に再現されています。、そこだけはホントに救いでしたが、他はサッパリというか最低です。
だいたい天下無双の虎井清十郎をTAK∴みたいな腹が出たオヤジ俳優にやらせた時点で、緊張感もなにもありません。虎井清十郎は暴力団の構成員で少年時代に殺人まで犯しているという実は最悪な過去を持つモンスターキャラなのに、これじゃあ設定が台無しです。
しかも鈴木と佐藤の被り物のしょぼいことと言ったら、もう論外だと言えます。なんで物語のキーマンとも言える鈴木と佐藤にあんなオモチャみたいな被り物で登場させたのか理解に苦しみます。
これじゃあ虎井清十郎が命がけで闘うことになる佐藤と鈴木がただの雑魚扱いされてるみたいで、原作を観て知ってる読者からすると侮辱された気分です。
特に鈴木は原作のコミックではプロレスラーだと噂されるほどの巨体で、人間の足を片手で掴んで振り回すほどの怪力と、鍛え抜かれた丈一郎がパンチをよけることで精一杯なくらい、動きも俊敏なキャラなのです。
だから、佐藤と鈴木のタッグに襲われた時の丈一郎の絶望感は、希望や勇気と言う薄っぺらい理屈などガラガラと崩れ落ちるほどの圧倒的な恐怖だったのです。
なので、ドラマの佐藤と鈴木は明らかにただの被り物を被った変わり者という存在で、普通の奴らよりも強いというイメージしか伝わりませんでした。
これは制作の仕方にも原作の再現性にもかなり問題があると批判させて頂きます。
はっきり言って、お金はいらないので作り直して下さいと言いたいです。
なお、ドラマは佐藤・鈴木コンビから無事に逃れたところで終わっているので、ないとは思いますがもしも続編が作成されたら、その時はもっと中身の濃い原作で表現されている絶望感や恐怖感を丁寧に演出してもらいたいです。
第1位 ジョジョの奇妙な冒険
コミック
原作:荒木飛呂彦 出版社:集英社 連載雑誌:週刊少年ジャンプ(1987年~2004年) ・第1部~第7部途中まで ウルトラジャンプ(2005年~2021年) ・第7部途中~第8部 コミック:全131巻(第1部~第8部) |
作品のあらすじ
言わずと知れた漫画界の長編シリーズとして有名な「ジョジョの奇妙な冒険」は第1部~第8部というとんでもない長さになっているため、実写化された作品も第4部の一部分だけを切り取ったものになっています。そのため、ここでは敢えて第4部のあらすじだけを紹介します。
第1部で非業の死をとげたジョナサン・ジョースターの血統であるジョセフ・ジョースターは、若いころにスージー・Qという母のメイドと結婚し、その間にホリーという娘が生まれます。
そしてホリーと日本人男性(空条貞夫)との間に生まれたのが第3部の主人公である空条承太郎になります。つまり承太郎はジョセフの孫というわけです。
そして第4部の主人公である東方仗助(ひがしかた じょうすけ)は、ジョセフが60歳を過ぎて浮気した日本人女性の東方朋子(ひがしかた ともこ)との間に生まれた子供にあたります。
非情に奇妙な構図ですが、承太郎は仗助の甥にあたり仗助はジョセフの息子にあたります。
この奇妙な関係で第4部の物語は進められます。
ある日、祖父であるジョセフ・ジョースターに隠し子がいることが発覚し、承太郎は高齢で動けないジョセフの代わりに物語の舞台となる杜王町(もりおうちょう)へ来て、遺産の件を含めて東方家を訪れます。
その際、杜王町行方不明者の数が飛躍的に増大していることに気付いた承太郎は、それとスタンド使いとの関連を疑い独自に調査を開始するためしばらく滞在することになります。
やがて、度重なる事件の犯人が凶悪なスタンド使いの仕業であることが分かりますが、どうもスタンド使いの数が多すぎるのでさらに調査を進めると、なんとエジプトでディオが使用していた「弓と矢」が杜王町にも存在することが確認されます。
そして、「弓と矢」によってスタンド能力を身に付けた謎の人物による犯行と行方不明者のとの間に関係があることが分かってきたところで、とうとう犯人の正体を暴くチャンスに遭遇します。
ところが、この殺人犯(吉良吉影)は非常に狡猾であるだけではなく、スタンド能力があまりにも強大なため、承太郎のスタープラチナでさえ普通に相手をすると敵わないという状況に直面します。
敵スタンドの名前はキラー・クイーン。触れた物質をなんでも爆弾に変え好きな時に爆破できる能力を持ちます。さらにキラー・クイーンの右手から発射されたシア・ハート・アタックという遠隔操縦のスタンドは不死身の自動追跡型スタンドで破壊することができません。
これに手こずった承太郎は爆弾を被弾して瀕死の重体に陥りますが、ザ・ワールドを発動させて時を止めた渾身のラッシュでキラー・クイーンを圧倒し、吉良吉影はその場から命からがら逃走を図ります。
後を追う仗助と承太郎たちでしたが、整形能力を持つスタンド使いを悪用して別人と入れ替わった吉良吉影は、そのスタンド使いをも殺害して証拠を消し去ると再び姿をくらませてしまうのでした。
その後、仗助たちは顔を変えた吉良吉影を追跡するため、物語の最後まで多くのスタンド使いと戦うことになるのです。
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実写化されて駄目になった点について解説
劇場公開:2017年
監督:三池崇史(みいけ たかし) 東方仗助役:山崎賢人 広瀬康一役:神木隆之介 空条承太郎役:伊勢谷友介 虹村形兆役:岡田将生 山岸由花子役:小松菜奈 |
第4部だけを実写化した作品なので表現しきれない部分がでてくるのは想像できますが、配役があまりにも陳腐というかチャチな感じがするのは否めません。
原作があまりにも凄すぎて、ファンも好きか嫌いかに分かれるくらい極端な傾向が強い作品なので、実写化された作品を観てショックを受けたファンは多かったようです。
私も根っからのジョジョファンとしてこの映画化された作品には正直うんざりしました。承太郎も仗助も配役が相応しくないし、なによりもストーリーの脚色が酷すぎます。
虹村億泰(にじむら おくやす)と初めて出会った際、家の中で兄の虹村形兆(にじむら けいちょう)とも戦うことになるのは原作と同じですが、虹村形兆が死亡するところが映画ではシア・ハート・アタックによる爆死に変更されているのには驚きました。
原作では虹村形兆は音石明のレッド・ホット・チリ・ペッパーによって電線に引きずり込まれて感電死することになっていて、後に虹村億泰がチリ・ペッパーと仇討ちの闘いをするシーンさえ存在するのです。
それを音石明の存在を消し去っていきなりキラー・クイーンが出てくるというのは、ちょっと強引すぎるというか、省略し過ぎだと感じます。
全部を実写化できないのは分かりますが、この点は看過できない大失態だったことを認めてもらいたいです。
そもそも原作者である荒木先生はこのことをどう考えておられるのでしょうか?コミックとは別の問題なので、原作は原作できちんとやっておけば関係なしということでしょうか。まあ、そう割り切っておられるのなら、それはそれで仕方ないとも思います。
とりあえず、「ジョジョの奇妙な冒険」の実写化は失敗確定ですね。続きが出たら見ますけど・・・
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