第6部(ストーン・オーシャン)のテレビ放映が決定。主人公徐倫は承太郎の娘でグリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所に収監されているシーンから始まり、登場するキャラも極悪人揃い。今回は過去のディオとの因縁が禍根を残していて、当初の刑務所から出るだけの目的がディオとの因縁を断ち切るための闘いへ発展していく過程が面白い。
第6部の闘いの目的はディオとの因縁の決別
ディオ・ブランドーとは
ジョジョファンとして絶対に忘れてはならない男といえばディオ・ブランド―。
第3部のラスボスでありこの世で最初に時を止める能力を身に付け世界征服をたくらんだ男。
孤児になった自分を養子として引き取り大学にまで行かせてもらった恩を、命を奪うという仇で返す男。
プライドが人一倍高く、気品のあるふりをしているが実は貧民街の育ちの悪さから死ぬまで逃れられなかった男。
部下であろうと誰も信用せず、部下の脳に「肉の目」という自分の細胞を植え込み、裏切ると細胞を増殖させ宿主を殺してしまう非情な男。
ジョナサン・ジョースターとのガチンコの喧嘩で負けて涙を流して大泣きした男。そして、仕返しにジョナサンの愛犬ダニーを焼却炉に入れて生きたまま焼き殺したゲス野郎。
第6部とディオとの関係
第3部のあらすじを理解できても、それがどうして第6部と繋がっているのか全く分かりません。
実は、第6部の舞台であるアメリカのグリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所にいる神父エンリコ・プッチという男が、過去にディオと親友だったことが分かります。
それだけではなく、ディオは生前世界中に自分の子供を残しまくっていたという事実も発覚します。第5部の主人公ジョルノ・ジョバーナもその一人です。
吸血鬼であるディオにとって女性はただのエサに過ぎず、血を吸って殺されるのが当然のところを血も吸われず子供を宿され助かった女性が大勢いたということです。
実はディオが自分の子供をたくさん作ったのには理由があり、ディオはその目的を果たす前に承太郎に負けてしまいましたが、エンリコ・プッチはその夢についてディオから直接内容を聞いていたのです、実現する方法までは教わっていませんでした。
ディオが目指したものは「天国へ行く方法」というもので、その実現方法はディオが死んだ後で承太郎がメモを見つけており、内容を知るには承太郎の記憶に頼る以外に方法はありません。
そのため、エンリコ・プッチは承太郎をおびき寄せるために娘のジョリーンを囮にしたのです。もちろん、ジョリーンが服役するきっかけになった交通事故も仕組まれたもので、これはプッチが裏でディオのかつての信者であるジョンガリAという男を雇って工作した偽装事故だったのです。
このプッチ神父の目的は物語の当初は分からなかったことですが、最終的にディオの野望を引き継いだ男エンリコプッチを倒すことが第6部の目的になります。
もちろん、あのディオの考えることですから、とんでもない野望を企んでいたに違いなく、事実とんでもないことになってしまいます。
第3部のあらすじ
ジョジョの奇妙な冒険はかなり長いシリーズになるので、続けて読んでいてないと過去の話を持ち出されてもわけがわからないことがあると思います。
第6部を読む前に、少しだけ第3部のあらすじを知っておくと意味を理解しやすいと思うので、少しだけ第3部のあらすじを紹介します。
ディオがジョナサン(第1部の主人公)のとの戦いに敗れ、棺に入ったまま100年間海底で生き延びていましたが、運よく引き上げられてエジプトで再起を果たそうとしたことでスタンド能力を獲得し、その影響でジョースター家の一族に災いが及びました。
その災いはスタンド能力を保ち続けることで命を落とす病気になってしまうという承太郎の母親にも及び、承太郎たちはディオを殺す以外に母親を救う方法がないため、エジプトへ向けて50日間の旅に出発します。
この旅がきっかけで、承太郎たちは多くのスタンド使いと出会い闘いを重ねる中で、スタンド能力の傾向性について多くを学ぶことになります。
そして、時を止める能力の前に苦戦する承太郎でしたが、最終的には自らも時を止める能力を身に付け、ディオ・ブランドーを殺害することで本来の目的を達成します。
ストーン・オーシャンの登場人物
空条徐倫(ジョリーン)
スタンド能力:スタンドの本体を糸状に展開させ、目的に応じ様々な形に変化させることができる。
ジョジョの奇妙な冒険を代表する登場人物で第3部の主人公でもあり、その後の第4部、第5部においても重要な役割を果たす人物である空条承太郎。
その承太郎の娘がジョリーンなのですが、仕組まれたひき逃げ事件で逮捕され収監されてしまいます。そして、グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所に面会に来た承太郎が、今回の事件が冤罪であることやジョリーンを刑務所から出すために来たことを告げます。
ところが、承太郎が来ることを計算にいれていた黒幕は、まんまんと承太郎の時を止める能力を盗むことに成功し、承太郎は昏睡状態となってしまいます。
そしてジョリーンは父である承太郎を救うために刑務所で黒幕を倒すことを決するのです。
空条承太郎
スタンド名:スター・プラチナ
能力:時を止め、止まった時のなかを自分だけが動くことができる。
実の娘ジョリーンが冤罪で刑務所に収監されたことを知り、自らが狙われていることを知り危険を顧みず救出に訪れるが、黒幕の罠にかかりスタンド能力を盗まれてしまう。最終的には能力を取り戻すことに成功し最終決戦にも立ち会うこちになる。
エンポリオ・アルニーニョ
能力:物体の幽霊(屋敷幽霊やゴミ箱の幽霊)を自由に使うことができる。スタンド使いであるが、実体のあるスタンドを持っていない。
素性:自分を生んだ母親をプッチに殺され、プッチに追われている。刑務所生まれ刑務所育ち。
この物語のキーマンでありながら、スタンド能力を持たない少年。刑務所生まれ刑務所育ちという生い立ちを持ち、窮地に追い込まれたジョリーンを隠し部屋に案内して助けてくれる少年です。
この隠し部屋はそのものが幽霊であることから、幽霊部屋ではなく部屋幽霊ということになります。ジョジョの奇妙な冒険のスピンオフ作品である「死刑執行中・脱獄進行中」のデッドマンズQに登場する吉良吉影が仕事で赴いた屋敷幽霊と同じ存在だと言えます。
エンポリオ少年がジョリーンを隠し部屋に案内してくれたおかげで、部屋にいる2人の重要人物と出会うことができたはエンポリオ少年のお手柄ですが、これはある意味運命的な出会いだっとも言えます。
第6部では最終的にエンポリオ少年が物語で重要な立ち位置にいることが次第にわかってきます。第4部の川尻隼人が吉良吉影を倒すのに大活躍したのと非常によく似ています。
エンリコ・プッチ
スタンド名:ホワイト・スネーク
スタンド能力:スタンド能力をCDの形で盗み取り、能力を持たない人にCDを与えることで能力を持たせることができる。
ジョジョの奇妙な冒険でありがちなラスボスの強すぎる能力は今回も同じです。
スタンド能力を盗まれたら負けたも同然ですし、承太郎みたいな特殊能力は盗まれたら負けるだけでなく敵を増やしてしまいます。
第6部に登場する敵のほとんどがプッチによってCDで能力を与えられた刑務所の囚人たちです。
そして、プッチには双子の弟がいて、過去に自分と弟の間に起きた悲劇が今回の物語に繋がっています。プッチは自身の能力で弟の記憶と特殊能力を奪い刑務所に入れて監視しています。
また、生前のディオから聞いていた「天国へ行く方法」を実現させるため、承太郎の記憶と能力を奪うことに成功します。
ウェザー・リポート
スタンド名:ウェザー・リポート
スタンド能力:天候を自在に操ることができる。
隠し部屋の住人の一人で記憶喪失で過去のことは覚えていない。スタンド名も覚えていないので自分と同じ名前にしている。
後でわかってくることだが、ウェザーはエンリコ・プッチの双子の弟であり、兄であるプッチはウェザーのとてつもない能力にかなわないので、弟のウェザーから記憶を引き出してCDに保管している。
プッチ自身もかつてウェザーの特殊能力(ヘビー・ウェザー)の前に命を落としかけた経験を持ち、このヘビー・ウェザーという能力(サブリミナル現象を引き起こす能力)が物語のキーともなっている。
ヘビー・ウェザーが発動されると虹が現れ、虹の光を見た人間は誰であってもカタツムリに変身して死んでしまうため、目を空けていると死ぬことになる。
ウェザーリポートについては、『ジョジョの奇妙な冒険第6部』ウェザー・リポートの過去と能力を解説でより詳しく解説しています。
ナルシソ・アナスイ
スタンド名:ダイバー・ダウン
スタンド能力:物体に潜行する能力。
隠し部屋に住むもう1人の住人で、浮気をした恋人をバラバラにして殺害した罪で収監されている。バラバラにしたら2度と浮気できないと思ってやったという供述が、法廷で前向きに認められているのがジョジョの奇妙な冒険らしいところでもある。
アナスイの凶暴な性格は1人だけだと暴走してしまうため、ウェザーがアナスイを押さえつけていることで2人はバランスを保てている。ウェザーが寡黙な反面アナスイはよく喋り、ジョリーンに恋心を抱く。
最後は目的を達成するのに協力するかわりに自分と結婚してほしいとジョリーンに迫るシーンもあり、常識を逸脱した思考の持ち主であることがよくわかる。ただし、ジョリーンもまんざらではなかったことが最後になってわかります。
エルメェス・コステロ
スタンド名:キッス
スタンド能力:シール貼った対象物を分裂させたり、元に戻すことができる。
殺された姉の復讐をするためにわざと罪を犯して刑務所に収監されたタフな女キャラクター。
姉はスポーツ・マックスという極悪人の殺人現場を目撃したことで、証拠隠滅のためになんの罪もないのに殺されており、エルメェスはスポーツ・マックスを殺す為だけにグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所に収監される道を選びました。
スポーツ・マックスのスタンドは透明の人食いゾンビという強力なスタンドですが、エルメェスは知恵を働かせてなんとか復讐を成し遂げます。
また、ジョジョの奇妙な冒険シリーズで最低キャラにランキングされるサンダー・マックイーンを倒すことになるのもエルメェスで、サンダー・マックイーンの自己中心的な自殺願望の前に苦戦しますが、最後は見事ハイウェイ・トゥ・ヘルを撃退することに成功します。
主人公のジョリーンとは刑務所で初めて知り合う仲ですが、腐れ縁で最後の闘いまで同行することになります。
なお、エルメェスがスタンドを発現させたきっかけはジョリーンが承太郎からもらったペンダントの破片で指を怪我したことで、ペンダントが弓と矢の矢じりで作られていたことが原因。ジョリーンも同じ理由でスタンドを発現させる。
フー・ファイターズ(F・F)
スタンド名:不明
スタンド能力:不明。プランクトンの集合体であり、スタンドと本体が一体化しタイプ。今は死亡した囚人の体を利用しているだけ。
プッチ神父からCDでスタンド能力を与えられたミジンコ。
プランクトンでありながらCDのおかげで知性に目覚めたF・Fは、当初はプッチの部下としてCDの番人を任されていたが、承太郎のCDを取り戻しに来たジョリーンに敗北した際、その知性に触れて感動し仲間になります。
最終的にはホワイト・スネークが本体がプッチ神父であることをジョリーンに伝えるという重大な役割を果たしてこの世を去ります。
動物や生物のスタンド使いとしては、第3部に登場するザ・フールのイギ―、ストレングスのオランウータン、ディオの館の番人をしていたホルス神のペットショップ(スタンド鳥)の他、第4部に登場して人間を捕食するラットを操る二匹のドブネズミがいましたが、イギ―以外は知性を持つに至っていません。
F・Fは最後まで知性というものに拘り続け、自分が沼地でただ生きているだけの存在から仲間のために戦うという信念や意思という価値の素晴らしさに目覚め、死ぬまで知性を持った存在であることを強調し続けた。
それは、ただ自分がミジンコという取るに足らない存在なのだと馬鹿にされたくないだけでなく、ある意味人間よりも知性の尊さに目覚めてしまったものと推察できます。
その点、F・Fは人間以外の生物としてのスタンド使いの中では飛びぬけた存在だったと言えます。
あらゆる漫画の原点でもあるスタンド
第3部ではじめてスタンドというものが描かれるようになったジョジョの奇妙な冒険シリーズですが、実態のない幽霊のような存在や力を、形のあるものとして表現した世界で最初の漫画とされています。
事実、第3部ではスタンドを「幽波紋」と書いていました。これは第1部と第2部では波紋という呼吸法で吸血鬼と戦うというメインになる攻撃方法(太陽の光と並ぶ力を持っている)が波紋エネルギーとされていたことに因んでいます。
ジョジョの奇妙な冒険の第3部が刊行された後に、幽遊白書などさまざまな作品で能力という表現が散見されるようになりました。「ハンター×ハンター」は典型例であると言えます。
その後もありとあらゆる作品でスタンドをモチーフにした能力系のアイデアが登場しています。久保帯人の「BEACH ブリーチ」や岸本斉史の「ナルト」などもその一例だと考えられます。また、能力が成長・進化して特殊能力へと発展するのもスタンド能力が進化するのをモチーフにしていると言えます。
一貫した人間賛歌と極悪との闘い
荒木漫画、とりわけジョジョの奇妙な冒険では、第1部の1ページ目ではっきりと人間賛歌を描いていくことが明言されていて、初めて読んだ時の記憶は忘れることができません。
人間賛歌を描くとハッキリ言い切る作者など見たことも聞いたこともなかったので、どんな作品なのかワクワクしながら読んだものです。そして、それは期待以上の作品になってくれました。
ジョジョの奇妙な冒険ではディオやカーズ、吉良吉影、ディアボロ、プッチ神父というラスボスがいて、それらのラスボスは例外なく悪を通り越した悪であり、それを自覚しないという意味でもっと悪であるという、悪の極みとの闘いが描かれます。
そして、その悪の極みと対峙する正義は限りなく正義であり、勇気なくしては絶対に勝てない闘いばかりが描かれます。主人公も勇気と希望を糧にして自分の都合だけで他者を平気で犠牲にするような悪と戦います。
さらに、ジョジョの奇妙な冒険で描かれる悪に特徴的なのが、その悪が病的であるという点です。シリーズを重ねるごとにその病的な傾向が増してくるのが面白いところです。
殺人衝動を抑えている状態で通りにいかない状況に陥ると自分の爪をボロボロになるまで噛む吉良吉影や、母親はいるが出生の原因が不明で自らも重症の2重人格であるディアボロ、ピンチに追い込まれると動揺し素数を数えないと気持ちを収めることができないプッチ神父がそうです。
ディオは恩知らずで卑怯者という、チンピラ根性が骨の髄まで染み込んで死ぬまで治らなかった人間のクズの典型だと言えます。
そして、そんな悪者たちの悪のレベルが増大するほど、立ち向かうヒロインの正義と勇気も増大するのが荒木漫画の魅力ではないでしょうか。
プッチ神父は最終的に「メイド・イン・ヘブン」というこの世の概念を包括するような能力を獲得し、宇宙の営みそのものとなってしまいますが、そんな太刀打ちできるはずのない絶対的な力に対して挑むのもやはり正義と勇気と希望を胸に抱いたヒロインたちなのです。
第6部では物語に決着をつける人物が意外な存在だったことには驚かされましたが、これも荒木漫画の面白いところではないでしょうか。
第6部はいろんな意味で読者の期待を裏切ってくれますが、それは後に続く第7部・第8部へと続く原因ともなることなので、全て意味のあったことなんだと、読み続ければあとでわかるはずです。
なお、第1部~第5部のあらすじについては下記で詳しく解説しています。
ジョジョの奇妙な冒険第1部を購読する方法
ジョジョの奇妙な冒険は楽天koboで電子書籍を購入できます。
購入前に無料で立ち読みできるので、積極的に利用することをおすすめします。
*作品によって試し読みできるページ数が異なります。
\楽天ポイントが貯まりやすい!/
楽天kobo 公式サイトこちら ≫
『ジョジョの奇妙な冒険』の視聴方法
U-NEXTでは31日間の無料トライアル期間中、初回登録に限り対象作品が無料で視聴できます。
対象作品:『ジョジョの奇妙な冒険』第1部~第6部
ジョジョの奇妙な冒険についてもっと詳しく知りたい方には下記の関連記事も参考になります。
「ジョジョの奇妙な冒険」ボスキャラの能力の違いや共通点・弱点について解説
「ジョジョの奇妙な冒険」ディオ・ブランドーの友達・信用できた人物5人
「ジョジョの奇妙な冒険」ディオにも人の心があった!クズ化の原因は父親?
「ジョジョの奇妙な冒険」がマニアからトレンドへ変貌した理由・時代背景を考察
ジョジョの奇妙な冒険公式ポータルサイト
*デジタルコンテンツ無料配布キャンペーン実施中です。
コメント