ITパスポートを受験して600点、時には700点以上で不合格になった話を聞きますが、その理由は3分野のうちどれか1分野で300点に達していないからです。
ITパスポート試験はストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野で構成されますが、いずれかひとつでも300点未満になると不合格になります。
下表はIPAの公式サイトで公開されているITパスポートの試験内容・出題範囲を抜粋したものです。
項目 | 内容 |
試験時間 | 120分 |
出題数 | 小問:100問 |
出題形式 | 四肢択一式 |
出題分野 | ストラテジ系(経営全般):35問程度 マネジメント系(IT管理):20問程度 テクノロジ系(IT技術) :45問程度 |
合格基準 | 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること
総合評価点 分野別評価点 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing)方式 受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答します。 |
採点方式 | IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出します。 |
ITパスポートは分野別に合格基準が設定されている
上表の合格基準の項目を見れば一目瞭然ですが、ITパスポート試験は各分野ごとに合格基準が300点以上と定められています。
つまり、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系のいずれかひとつの分野でも300点未満の分野があると、総合得点で600点以上でも不合格になるのです。
これはITパスポートは役に立たないゴミ資格だと決めつけて舐めてかかった人が陥りやすパターンでもあります。
例えば下記のような例でも不合格になります。
- ストラテジ系 1000点 正答率100%
- マネジメント系 900点 正答率90%
- テクノロジ系 200点 正答率20%
- 総合評価点 700点 正答率70%
この場合、総合評価点は700点で合格基準である600点を大幅に越えていますが、テクノロジ系の正答率が30%未満なので足切りで不合格となります。
ITパスポート試験は各分野ごとに出題数が異なりますが、全ての分野においてそれぞれ満点を1000点と見立てたうえで、300点未満が足切り対象となる評価システムを採用しています。
そのため、満点が1,000点の分野で300点ということは正答率が30%ということになり、正答率が30%未満なら不合格になります。
総合評価点で700点以上なのに不合格になることには納得できないという人もいるでしょうが、これは決まりなので仕方ありません。
こういう悲劇を回避するためにもITパスポート試験は特定の分野だけ山を張るような偏った試験対策をしないことが肝心で、3つの分野を満遍なく学習しておく必要があります。
ITパスポート600点以上で不合格(足切り)になる具体例
ITパスポート試験の分野別の出題数は下記のとおりあらかじめおおかた決まっています。例年ほぼこのとおり出題されるので、大幅に変わることはありません。
- ストラテジ系 35問程度
- マネジメント系 20問程度
- テクノロジ系 45問程度
また、分野別の合格基準が300点以上であることも分かっているので、どの分野でどれくらいの正答率を達成すべきかあらかじめ合格の目安を理解したうえで対策も立てられます。
上記の出題数の目安を参考にすると、下記のような正答率を得ることができれば合格基準に達していることになります。
全ての分野において正答率が6割で合格基準に達した例
- ストラテジ系 21問/35問 正答率 60%
- マネジメント系 12問/20問 正答率 60%
- テクノロジ系 27問/45問 正答率 60%
- 総合評価 60問/100問 正答率 60%
この場合、全ての分野において正答率60%を確保しているので総合評価も正答率60%で600点くらいが期待できます。
こういった理想的な正答率で合格できれば良いですが、特定の分野が苦手だったり勉強不足な状態で受験すると下記のような正答率になることが予想されます。
特定分野の正答率が悪いにも関わらず合格基準に達した例
- ストラテジ系 32問/35問 正答率 90%
- マネジメント系 18問/20問 正答率 90%
- テクノロジ系 18問/45問 正答率 40%
- 総合評価 68問/100問 正答率 73%
こういった正答率は理想的とは言えませんが、ITパスポート試験の合格者には短期集中型の独学だけで合格する人も多いことから、時間をかけて対策する必要のあるテクノロジ系で大幅に点数を落しながらも、かろうじて足切りラインを越えて合格できているケースは多々あることが予想されます。
上記の例ではテクノロジ系の正答率が40%しかありませんが、ストラテジ系とマネジメント系が90%の正答率に達しているので、平均すると総合評価は60%以上なので合格基準を十分満たすことになります。
3分野のうち1分野でも正答率が30%未満になるとその時点で不合格になりますが、30%以上なら足切りされないというわけです。
総合評価で60%未満となり合格基準に達していない例
- ストラテジ系 16問/35問 正答率 45%
- マネジメント系 18問/20問 正答率 90%
- テクノロジ系 18問/45問 正答率 40%
- 総合評価 52問/100問 正答率 58%
上記の例では、ストラテジ系とテクノロジ系で正答率が低く、総合評価の点数を下げています。
マネジメント系で90%得点できているにも関わらず、3分野の正答率の合計を平均すると58%しかありません。
こうなると、特定分野で足切りになっていなくても合格基準に達していないと判断され不合格になります。
ITパスポート試験の採点方式はIRTを採用している
ITパスポート試験の合格基準についてはすでに説明した通りですが、採点方法は単純に1問ずつ点数を割り振るような方式ではなく、IRTという採点方式を採用しています。
IRTとは日本語で項目応答理論もしくは項目反応理論と呼ばれるもので、語学試験で採用されるケースが多い採点方式ですが、ITパスポート試験や基本情報技術者試験でも採用されています。
下記はIRTについてウィキペディアで詳しく解説されている引用です。
評価項目群への応答に基づいて、被験者の特性(認識能力、物理的能力、技術、知識、態度、人格特徴等)や、評価項目の難易度・識別力を測定するための試験理論である。この理論の主な特徴は、個人の能力値、項目の難易度といったパラメータを、評価項目への正誤のような離散的な結果から確率論的に求めようとする点である。IRTでは、能力値や難易度のパラメータを推定し、データがモデルにどれくらい適合しているかを確かめ、評価項目の適切さを吟味することができる。
例えば、IRTによらない方法で学校Aの生徒Xの偏差値60と学校Bの生徒Yの偏差値50を比較した時、生徒Xと生徒Yの学力のいずれが高いか判断することはできません。
なぜなら、学校Aの生徒と学校Bの生徒を比べた時、もしも学校Aにおいて生徒Xの学力が突出していて他の生徒の学力が著しく低い場合でも偏差値が60になる可能性はあり得るし、学校Bにおいて学力の高い生徒が多数在籍するなら、生徒Xが平均よりも僅かに学力が足りなかっただけで偏差値50になる可能性はあり得るからです。
IRTはこういった古典テスト理論で説明できなかった矛盾を解決するために考案された理論で、評価項目を測定して試験全体で正答率の高い受験者ほど難易度が高いとされる個別の問題の正答率も高くなる点に着目し、実施した試験において能力の高い人ほど高得点になる傾向性をS字グラフで表現できる仕組みになっています。
下記は評価する項目(試験では個別の問題)ごとにIRTで評価した時に理想的だと判断された時に描かれるS字曲線を示したものです。
逆に試験問題が不適切で問題の正答率に能力が関係しないと判断される場合、グラフはS字ではなく下記に示すような曲線を描きます。
IRT理論にもとづいて受験者と個別の問題の正答率の関係性をグラフに表した結果、着目するべき点があります。それは正答率をプロットした箇所がグラフの右側・左側のどちらに偏っているかという点です。
正答率が50%を越えるプロットが横軸(点数)の右側に偏れば難易度が高いことを表し、プロットが横軸の左側に偏れば難易度が低いことになります。
また、上記に示す「理想的でない項目特性曲線」のように、プロットを線でつないで描かれた曲線がS字とは程遠い形になる場合、問題が不適切であると判断されます。
つまり、ITパスポート試験でIRTが採用されているということは、試験を採点した後で受験者全てに対して各問題との関連性を項目特性曲線でプロットした結果を測定・評価して、出題した問題が適切だったかどうか吟味しているというわけです。
吟味した結果、不適切だと判断された問題に関してどういう扱いをするかについてIPAは特に明言していません。
項目応答理論については、項目反応理論(IRT)の考え方と実践でより詳しく解説されているので参考にされると良いでしょう。
分野別で足切りにならず網羅的に勉強できるおすすめ教材
独学でITパスポートを勉強しようとするとどうしても暗記に頼り過ぎて詳しい理論が疎かになる人が多く、そうなると特定の分野だけ大幅に点数を下げて足切りになる確率が高まります。
ITパスポートは範囲が広いので網羅的に勉強して臨む必要があるので、独学が厳しい人には下記のような学習環境を利用することで対策をフォローすることが可能です。
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分からないまま独学を続けて誤った理解を深めてしまった場合、最初からきちんと理解していく必要があります。
どうしても合格する必要があるにも関わらず600点に達することができない人や、2度も3度も続けて不合格になるような場合は通信講座で基礎から学んだ方が効率的です。
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