第42話は雪山で都丹庵士の入れ墨人皮を剥いで村に隠れていた有古が菊田特務総長に結果を報告した続きの話になります。戻った鶴見中尉に入れ墨人を届けて状況報告をする菊田たちでしたが、実はこの時点で鶴見中尉は有古の重大な嘘に気付いていました。それは有古が都丹庵士から剥いだという入れ墨の模様が、鶴見中尉の知っている模様と異なっていたからです。
なんと鶴見中尉はすでに都丹庵士の入れ墨の模様を把握しており、それを有古はそれを知らない土方歳三に利用されてスパイとして鶴見中尉のもとに送り返されていたのです。
鶴見中尉が都丹庵士の入れ墨の写しを手に入れたのは、網走監獄で意識不明の杉元を確保した際、杉元が持っていた入れ墨の写しを全て回収していたからです。その中には都丹庵士の入れ墨の写しも含まれていました。
有古が土方歳三に協力した理由
有古が雪山で都丹庵士を雪崩に巻き込んだ後、都丹庵士はまだ生きていただけでなく土方歳三たちもすぐ近くに来ていました。
土方歳三はかつてアシリパの父を含めてアイヌの男たちが金塊を巡って大勢殺された際、その中に有古の父親もいたことを知っており、アイヌの復権のために協力するよう説得し、都丹庵士にトドメを刺さずスパイとして鶴見中尉の情報を探るよう協力させられていたのです。
ところが不運にも鶴見中尉はすでに都丹庵士の入れ墨の模様を知っていたため、献上された入れ墨を見て有古が嘘をついていることにすぐ気付いたのです。
鶴見中尉の二重スパイにされる有古
有古はもはや追いつめられてしまい手も足も出ませんが、鶴見中尉はさらに有古を追いつめます。なんと有古の親兄弟の名前と居場所を全て把握していることを本人に知らせ、協力しなければ家族に危害が及ぶと脅迫するのです。
有古はこうして二重スパイとして鶴見中尉の命令で土方歳三のもとへ戻らされることになりますが、その際、鶴見中尉が持っている偽物の入れ墨人皮を持たされます。
さらに、命からがら持ち出したと見せかけるため宇佐美に顔をボコボコに殴られ、それらしい様子で逃げて来た体を装うよう強要され窓から放り出されてしまいます。(めちゃくちゃ可哀そう)
そして、本来の手はず通り外で待っていた都丹庵士と合流すると2人で土方歳三が待つアジトへと向かうのでした。
土方歳三の用心深さ
戻った有古を迎えた土方たちは有古が持って来た鶴見中尉の入れ墨人皮の写しを見て、「これで全部か?」と尋ね確認しますが、実は土方は有古を鶴見中尉の元へ行かせた時点ですでに有古が偽物を持って帰ってくる可能性を想定していました。
なぜなら土方は、有古が今回の埋蔵金の争奪戦の事情を知らないことを利用して、有古には敢えて都丹庵士の偽物の写しを持たせてあったからです。
土方は有古が鶴見中尉のもとに戻り嘘がばれて酷い目に遭うことは十分予想しており、それよりもその後で有古が持ち帰ってくるであろう入れ墨人皮の写しに興味があったのです。
つまり土方は鶴見中尉が恐らく有古に偽物の写しを持たせるだろうことを予想して、その偽物に気付かない不利をすることで、金塊の争奪戦で有利に立とうと考えていたのです。
土方歳三は江渡貝君の家で人の皮で作られた偽物の入れ墨人皮を1枚入手しており、今回新たに入手した5枚の偽物と合わせることで重要な武器にできると考えているのでした。
その頃、鶴見中尉率いる第7師団はアシリパに会うために樺太へ向けて出発しようとしていました。
鶴見中尉の杞憂と月島軍曹の本心
樺太を去ろうとしていた杉元たちはロシアまでガイドとして協力してくれたエノノカと分かれることになりますが、チカパシと仲良くなっていたエノノカはとても寂し狩ります。
ところが、あきらめて谷垣と北海道へ戻ろうとするチカパシに対して谷垣は「お前はここに残りなさい」と強く勧めます。これは、親兄弟のいないチカパシが生きていくには今が地に根を張るチャンスだと考える谷垣の親心だったのです。
こうしてチカパシはエノノカの住む樺太に残り、杉元たちは北海道へ帰るのでした。
ところで、大泊まで帰って来た鯉登少尉は亜港(あこう)で尾形が逃げる際、自分に「バルチョーナク」と言っていたことや、「今度鶴見中に会ったら満鉄のことを聞いてみろ」と言っていたことを覚えており、それがどういう意味なのかとても気になっていました。
「バルチョーナク」についてロシア語の分かる月島軍曹に聞いてみると、「ボンボン」という意味で金持ちの子供を馬鹿にするようなニュアンスだと分りましたが、満鉄の件に関して鯉登少尉は思うところがあったようです。
満鉄の経営は日本陸軍が推し進めたものですが、その時花沢中将は経営はうまくいかないと反対していた事実があり、その後花沢中将は203高地での被害の甚大さの責任をとって自刃に追い込まれますが、これはどうも都合が良すぎると。
また、尾形百之助が花沢中将の妾との間にできた息子であるこも考慮すると、父親の自刃を恨みに感じた尾形が鶴見中尉の政変に加担したが、途中で都合よく利用されただけであるのに気付いて反旗を翻したと考えると筋が通りやすいと。
そして、自分たち親子も網走監獄から『のっぺら坊』を奪還するために尾形のように都合よく利用されただけなのではないかと疑います。
これは実に説得力のある推察で事実に近にかなり近いかもしれませんが、鯉登少尉の話を最後まで聞いた月島軍曹は冷ややかな顔で答えます。
「あななたち親子は救われたじゃないですか・・・」
実は月島軍曹は自分が過去に鶴見中尉の手の込んだ芝居に騙されて抱きこまれたことをよく理解しており、尾形百之助も鶴見中尉の芝居に乗っかることで憎い父親を自刃に見せかけて殺すことができたと。
今、鶴見劇場という物語のなかで自分の発露を発散できる理由を与えられ、救われているではないかと。
それに、いざとなれば事実を知って不満を持った仲間を排除することなど当然のことで、その汚れ仕事を任されるのは自分のなのだと釘を刺します。
月島軍曹の話を聞いて顔が青ざめる鯉登少尉でしたが、次の瞬間、「鶴見中尉、すご~い!」と心を入れ替えてしまうのでした。
月島軍曹がここまで分かって鶴見中尉についていっていたとは驚きでしたが、それにしても鯉登少尉の馬鹿さ加減にも拍手です。馬鹿じゃないと第7師団はやってられませんから。
第43話に続く。
なお、ゴールデンカムイ【アニメ4期】あらすじまとめて解説で4期のあらすじをまとめて解説しています。
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