「ジョジョの奇妙な冒険」ではシリーズ全体のキーマンとして死んでも存在が大きいディオですが、少年時代より人格に問題があり多くの悪事を働きます。そんな彼は夢半ばで悪事がバレて人間を辞めるのですが、彼には生涯で友と呼べるげき存在がいたのでしょうか?基本的に漫画・アニメでは性格の悪いキャラは友達がいないというのがセオリーです。
ディオ・ブランドーは言うまでもなく悪のヒーローとしてその名を轟かせ、「ディオ=悪」と言ってもいいくらい、ディオの悪役としてイメージが定着しています。
そんな彼ですが、果たして友達や友人、または信用できる人物とかいたのでしょうかに
ここでは、それらしい登場事物を取り上げてその理由を説明しようと思います。
ジョナサン・ジョースター
ジョナサンは最強にして最大の敵、そして友であったといえるのではないでしょうか?
生まれも育ちもまったく異なるディオとジョナサンですが、ディオの父親が亡くなり彼が孤児となったことで、生前の父の計らいでディオはジョースター家の養子となりました。
兄弟として育てられた2人でしたが、他人から奪うことでしか目的を達成する術を知らないディオは、ことあるごとにジョナサンを陥れ、あろうことかジョースター家の乗っ取りまで企てます。
これだけ見ればディオはただのクズ野郎として片付けられておしまいですが、ジョナサンが大きく成長できたのはディオという最低の異母兄弟がいたからであり、その後もディオとお互いをライバル視することで切磋琢磨しまして成長しました。
結局、人間を辞めて全ての期待を裏切ったディオですが、その最低な存在は多くの人の命を奪う邪悪な存在・行動とは対照的に、正義の力を結束させる方向へ導きました。
ゴロツキだったスピードワゴンが良心に目覚め、後には石油王になれたのも、ジョナサンのおかげでもあり、その原因を作ったのはディオであるとも言えます。
つまり、ディオはその最低な存在を以って、逆に周囲の人達が頑張る源となっていたということです。
残念なことにジョナサンはディオ―もろとも海の底へ沈んでしまいましたが、その肉体は100年後のディオの首から下として利用されています。
また、ディオは船が爆発して海に沈没する直前、ジョナサンに対して人間時代に唯一互角に戦えた相手として尊敬に値することを自ら認めています。
このことから、ディオはジョナサンを戦友として認めていたと考えられます。
エンリコ・プッチ
「ジョジョの奇妙な冒険第6部 ストーンオーシャン」に登場するラスボスです。
教会の神父であり、自ら志願して刑務所の神父になった男です。
エンリコ・プッチは周囲からはプッチ神父と呼ばれていますが、彼には生涯をかけた大目的があります。
それは「天国に行く方法」を実現させることです。
そして「天国に行く方法」の存在をプッチ神父に教えたのが生前のディオ・ブランド―だったのです。
プッチ神父はアメリカにある教会で日の光に当たれないディオに出会い、彼を無条件に助けるという選択をとります。その行為にはなんの損得勘定もありませんでした。
そしてディオはお礼に自分の骨の一部をプッチ神父にプレゼントします。その結果、プッチ神父は障害のあった足が治って普通に歩けるようになります。
これはディオにしては珍しい行為です。恩を仇で返すプロであるディオが、かくまってくれたお礼に人間の障害を治癒してあげたというのです。
そして2人は友人となり、ディオはプッチ神父に対して自分の夢である「天国への道」についても語るのです。
まさか自分がこれから死んでしまって、プッチ神父がその意思を受け継ぐなどディオは想像しなかったでしょうが、実際はプッチ神父が「天国への道」へ辿り着き、その願いを成就することになります。
メイドインヘブンというスタンドが成長して発展した最終形態の能力が時を加速させ、自分だけがその時のなかで普遍的な存在でいられるという破天荒な能力ですが、これを発動させたことで夢は叶い宇宙が来世という形で一巡しました。
ディオも来世の宇宙を観て、その中で今まで通りでいられる自分の存在に達観したかったのかもしれません。
ともあれ、夢半ばで倒れたディオの意思を受け継ぎ、それを実現させたプッチ神父はディオが最も信頼し心を許した比類なき存在だったのは間違いありません。
バニラ・アイス
ディオの部下であり、自分が眠る棺へと通じる階段の手前の部屋を守る門番を任されたスタンド使いです。
空間から完全に姿を隠した状態で移動すると、あらゆる物体を飲み込んでしまうという能力は、まさにポルナレフの言う通り、「奴の精神そのものが暗黒だ」と言わしめる残忍なものです。
なにしろ見境なく飲み込んでしまうので、自分でも何を飲み込んだかわからないし、飲み込んだものが何処へ行ったかも本人でさえ分からないというのです。
かなりの実力の持ち主であったにも関わらず、ディオに忠誠心を示すために自らのスタンドで自分の首をはねてしまい、その忠誠心を信用したディオに血を分け与えてもらい吸血鬼として復活していたため、太陽の光で消滅してしまいます。
しかし、バニラ・アイスの忠誠心と実力は「今度こそジョースター一行を仕留めることが出来る」とディオから期待されるほどのものだったことは事実です。
つまり、アイスはディオにとって決して友達ではなかったけれど、本当に信頼できる部下であったことに間違いないと言えるでしょう。
ちなみに、バニラ・アイスのスタンド名を知らない人が多いですが、スタンド名は「クリーム」です。
ホル・ホース
ディオの部下というよりも一匹狼の殺し屋みたいな存在です。
「エンペラー」という拳銃のスタンドを使いこなし、弾丸は直線だけでなく自分の意のままに自在にコントロールできる凄い奴です。
インドでハングドマンのJ・ガイルと組んでジョースター一行を襲撃した際、モハメド・アブドゥルの頭を撃った男です。
ホルホースはインドでの一件が失敗に終わり、エジプトへ戻ってディオに状況を報告しに行きますが、その際ディオのあまりに無防備な態度を見て、背後から頭を撃ちぬこうとします。
ところが、ディオはそんなホルホースの肝の据わったところを気に入り、ホルホースに思いとどまらせただけでなく再度ジョースター達を仕留めることを約束させます。
この点、ディオは組織運営者としては優れた社長であり上司であると言えます。
単に部下の失敗を咎めたり叱ったりするのではなく、「状況報告するぐらいなら誰にでもできるぞ」と釘を刺したうえで、時を止めて背後に周り力の差を見せつけ屈服させたわけです。
殺さずに敢えて能力を認めてチャンスを与えてもらえたのはホルホースだけではないでしょうか?肉の芽も植えられてなかったようですし。
結局、ホルホースはボインゴとタッグを組んで再度ジョースター達の暗殺を謀りましたが、運に見放されて自分の弾丸を自分に被弾させて負けてしまいました。
しかし、ディオに失敗を咎められただけで殺されず、再度チャンスまで与えてもらえた点は大きく評価すべきで、実力はかなり信頼されていたと言えるのではないでしょうか。
ン・ドゥール
ジョースター一行がエジプトに辿り着く直前の砂漠で、エジプト9栄神の1人ゲブ神の暗示を持つ水を自在に操るスタンドで足止めをした人物です。
生まれつきの盲目で、杖を使わないと歩けないというハンデがありながらも、そのスタンド能力のおかげで子供の頃から殺人なんか平気だったし、警察を怖いと思ったことはなかったという恐ろしい男です。
つまり、盲目というハンデのためか心は歪んでいたが、スタンド能力を持っていたため怖いもの無しだったということです。
ン・ドゥールの攻撃は正確で殺傷力が高く、4㎞離れた場所から全員のいる位置が特定できるほど、音による探知能力に秀でていました。
ジョースター達はあと一息のところまで追い詰められますが、承太郎の冷静かつ大胆な判断力により、犬(イギ―)を遠くからン・ドゥールめがけて投げたことで、スタンドで身を守った隙をつかれて負けてしまいました。
頭を殴り砕かれて死にかけたン・ドゥールは、承太郎からディオのスタンドの正体を聞き出される前に自らのスタンドで自殺してしまいます。
その際、
「悪には悪の救世主が必要なのだよ。あの犬は俺の気持ちが分かると思うぜ」
と明言を吐いて死んでしまいます。
そこまでしてン・ドゥールに行動させるディオとはどんな男なのかと、まだ見ぬディオの姿を想像する承太郎でしたが、ディオはただのクズ野郎でした。
ン・ドゥールが自ら命を絶ってまで秘密を守ろうとしたのは、人殺しも警察もなにも怖いものなのどないが、「あの方に見捨てられ、殺されるのだけは嫌だ」と言わしめるものがあったからです。
つまり、ン・ドゥールはディオを心底恐れて畏怖していたことが伺われます。
一方、ディオのほうも金目当てに忠誠心を示すような人物より、本気で自分を敬う人物の方を信頼していたはずです。
詳細はわかりませんが、ディオのほうもン・ドゥールをかなり信用していたのではないでしょうか。
まとめ
ディオには積極的な意味での友達や友人と言える存在は、人間時代には一人もいなかったことがわかりました。
ジョナサンは最も敬意を払うべき相手であり本人も認めていますが、それは強さに対してであって、人として信用しているわけではありません。
また、吸血鬼になってからのディオは保身のために部下を使って承太郎たちの抹殺を計りますが、忠誠心が他の者より優れた部下や、損得勘定抜きで使えると思った人物しか信用していません。
つまり部下に対してもビジネスライクな接し方しかしていなかったことに間違いないようです。
そして、全てを抜きにして心を許したのは唯一エンリコ・プッチだけだったようです。プッチ神父だけは本当の友人として夢を語っていて、プッチがそれを受け継いだことからもその親交の深さが伺われます。
ディオは「ジョジョの奇妙な冒険」の第1部、第3部、第4部、第5部、第6部に強く影響を与えていて、第2部の究極生物との闘いを見る限り、そこに関しては逆に影響を受けていた側だと言えます。
つまり、ディオはジョジョシリーズ1部~6部までのシリーズの大半でカギを握るキーマンとして生前から死後まで君臨している影響力の大きいキャラクターなのです。
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対象作品:『ジョジョの奇妙な冒険』第1部~第6部
ディオの生い立ちに関しては下記の記事が参考になります。
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