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『岸辺露伴は動かない』実写版でスタンドがギフトに変わった!

岸辺露伴は動かない・ドラマ・スタンドが出ない アニメ・漫画・ドラマ

荒木飛呂彦の『岸辺露伴は動かない』の実写版(ドラマ)をNHKで視聴しました。原作ではヘブンズ・ドアーという名前のスタンドが登場して対象を本にして読み書きすることができますが、実写版ではスタンド能力という言葉そのものを使わず、代わりにギフトという言葉に置き換えられています。

また、実写版では岸辺露伴がヘブンズ・ドアーの能力を使う時にスタンドが形として出ないで、能力を発動した結果だけが演出されます。

スタンドが妖怪とギフトになったことで最初は少し戸惑った

当初、『岸辺露伴は動かない』が実写化されると聞いて楽しみにしていましたが、視聴してしばらくするとスタンドのビジョンが出現するわけでもなく、岸辺露伴が「ヘブンズ・ドアー」と口にすると能力が発動される点に関して、少しだけ戸惑いがありました。

というか、新しい設定にしっくりこなかったのです。また、原作で登場したスタンドのエピソードはいくつか実写化されていますが、いずれの場合もスタンド能力という言葉は使われません。

例えば、下記の例がそうです。

  • 第5話「背中の正面」で露伴の背中に憑りついた妖怪
  • 第8話「ジャンケン小僧」に出てくるジャンケン好きのおおやなぎけん

上記2つのエピソードに登場する乙雅三(きのとまさぞう)と大柳賢(おおやなぎけん)はともにスタンド使いであることが分かっています。

乙雅三は『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場する人物で、家事で駄目になった家の修繕のために見積もりを取りにやってきた設計士ですが、すでにチープ・トリックという意思を持つスタンドに憑りつかれていて、乙雅三の背中をみた岸辺露伴に憑りついてギリギリまで追い込みます。

大柳賢も『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場する人物で、第4部のラスボスである吉良吉影の父親によって弓と矢で射られ、スタンド能力を発現させて岸辺露伴を苦境に立たせます。

原作の『ジョジョの奇妙な冒険』第4部では、乙雅三も大柳賢もスタンド能力を使って岸辺露伴に戦いを挑みそれぞれの目的を果たそうとして敗北しますが、なにわともあれスタンドバトルだったわけです。

ところが『岸辺露伴は動かない』の実写版に登場した2人は能力こそ同じですが、乙雅三に憑依していたものはスタンドではなく妖怪に変わっていて、大柳賢のジャンケンに勝利すると相手の力を奪える能力はギフトという能力で表現されています。

少し設定は変わったけどむしろスタンドを実写化しないで良かった

乙雅三や大柳賢がすることは原作でも実写化されたドラマでもほぼ変わりません。ただ、スタンドという言葉が出てこないだけです。

ジョジョファンにありがちなことですが、けっこうガチで入れ込んでいる人はこういう点を「矛盾」だと捉えて、まさに作中の大柳賢のような発想に至る人もいるかもしれません。

ところが、実写版はけっこうその点をわかったうえで製作したようで、その理由も観ていてなんとなく気付きました。

もしも実写版で無理にCGとか使ってスタンドのビジョンを登場させたりしたら、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の実写化が大失敗だったのと同じでブーイングの嵐になったと予想できます。

ところが、同じ轍を踏むことなく敢えてスタンドをギフトという生まれついての能力に置き換えて、能力を発動させた時の状態だけはなんとか原作に忠実に表現することで、無理にスタンドを実写化してヘマをせずに済んだと思うのです。

これは『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の実写版を観れば分かるかと思います。

荒木先生には申し訳ないですが、あれはマズかったと思いますね。

ギフトとは生まれついて持っている能力で弓と矢が関係ない

なによりも重要な点が、スタンドにせよギフトにせよ岸辺露伴や大柳賢の能力は原作では弓と矢で射られたことで発現した能力という点で共通していますが、『岸辺露伴は動かない』実写版では生まれついて持っている能力という設定になっています。

つまり、『岸辺露伴は動かない』は『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズでに登場する「弓と矢」とも関係がない設定になっています。

スピンオフ作品を視聴していると原作の設定に引きずられて細かいことに拘ってしまうことがありますが、この作品と「弓と矢」は全く関係がありません。

実写版のテーマは「妖怪」、「辻」、「坂」

「岸辺露伴は動かない」のテーマは「妖怪」、「辻」、「坂」の3つだと言えます。

実写版の岸辺露伴は妖怪を取材しようとして山をまるごと購入したことで山に潜む妖怪から反発を買ったり、うっかり四つ辻に足を踏み入れて『やぶばこほうし』にイタズラされます。

また、妖怪の住む山は「六つ壁坂」という地域に該当し、ストーリーの中では坂には昔から妖怪が宿るという言い伝えがあることになっています。

つまり、そもそものテーマが原作ではスタンド能力を発現させる「弓と矢」にまつわるエピソードばかりだったのに対して、「岸辺露伴は動かない」実写版では「妖怪」、「辻」、「坂」にまつわるエピソードという設定にすっかり変わっているのです。

テーマが根本的に異なる点は分かりましたが、乙雅三から岸辺露伴に乗り移った妖怪が対峙されるのが「○○坂」という名前の1本路で、妖怪を退治する方法がジョジョの奇妙な冒険第4部の「振り返ってはいけない道」と完全に同じなのは意外というか嬉しかったです。

原作と全く異なる設定にしてるかと思えばある部分は原作と全く同じだったりして、それでもストーリーとテーマは筋が通っているので観ていて矛盾も感じないし、個人的にはむしろ斬新的で面白かったです。

なお、『岸辺露伴は動かない』実写版のあらすじについては、『岸辺露伴は動かない』実写版とアニメ版を比較しながら全話あらすじ解説!で詳しく解説しています。

また、『岸辺露伴は動かない』OVAアニメ版のあらすじついては、『岸辺露伴は動かない』OVAアニメあらすじ・登場人物【1話~4話】で詳しく解説しています。

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