荒木飛呂彦の『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場する岸辺露伴が出張キャラクターとして主役を務めるスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』OVA(アニメ版)のあらすじを紹介します。NHKでドラマ(実写版)も放送されていてタイトルが重複する作品がありますが、ドラマでは『スタンド』という言葉を『ギフト』に置き換わっていたりアニメと完全に異なる部分が多々あるため、両方視聴しないと違いは分かりません。
OVA・ドラマともに共通しているのは岸辺露伴がヘブンズ・ドアーという能力を使えることで、原作の漫画やOVAではスタンドとして登場しますが、ドラマでは『能力』と説明されるだけでスタンドは登場しません。本にした相手の人生を勝手に読み書きして露伴の都合のよい文言を追記できる点は同じです。
なお、ドラマ全8話については、『岸辺露伴は動かない』ドラマ全話【1話~8話】登場人物とあらすじ解説で詳しく解説しています。
なお、作品の登場人物など解説に必要な情報はJOJO PORTAL SITE >岸辺露伴は動かないの情報を引用させて頂きました。
第1話:懺悔室(ざんげしつ)
♦登場人物
- 岸辺露伴(きしべ ろはん) 声優:櫻井孝宏(さくらい たかひろ)
- 広瀬 康一(ひろせ こういち) 声優:梶裕貴(かじ ゆうき)
- 懺悔しに来た男 声優:高橋広樹(たかはし ひろき)
- 浮浪者の怨霊 声優:樫井笙人(かしい しょうと)
- 騙された召使い 声優:不明
♦懺悔室のあらすじ
『懺悔室』は岸辺露伴が取材でイタリアに行った時にとある懺悔室で体験した実体験です。
岸辺露伴はリアリティ―を追求するあまり、勝手に入ってはいけないことを承知の上で教会の懺悔室に入り、リアリティーを経験できた自己満足感に満たされます。
ところがその時、偶然本物の信者が懺悔に訪れてしまい露伴は困惑しますが、これも作品にリアリティーを求めるネタになると思い、牧師になりすまして懺悔を聞くことにします。
この時露伴が懺悔室で聞いた信者の告白が『懺悔室』のあらすじとなります。
告白に現れたのは一人の壮年男性で、男性は自分の過去について告白を始めます。
男性は若かった頃、賃金の安い肉体労働に従事しており、それが嫌で仕方ありませんでした。そんなある日、仕事中の男性の前に一人の浮浪者が現れて食べ物を恵んで欲しいと懇願します。
男性は自分が苦労をして労働でお金を得ているのに浮浪者がなにもせずに物乞いをする事に腹を立て、自分の作業を片付けてくれたら食べ物をあげてもいいと意地悪な条件を提示したところ、浮浪者は真面目に実行しようとします。
ところが、浮浪者はもう5日間も何も食べていなかったため、力尽きてすぐに倒りてしまいます。にもかかわらず男性は真面目に働けと意地悪な言葉を投げかけます。
その結果、浮浪者は力尽きて倒れて死んでしまったのです。そして、死ぬと同時怨霊の姿として男性の足元に現れ、「この報いは償わせてやる!お前が幸せの絶頂にいる時、お前を迎えに戻ってくる!」と言って消えてしまいます。
男性はこの事件があってから異様に運が良くなり、土地の売買やお菓子の発明などで大成功して億万長者になってしまいます。そして、美人モデルとの間にカワイイ娘が生まれ、公園で娘と一緒に遊んでいる時に幸せの絶頂を感じました。
はたして、「幸せの絶頂」を迎えた瞬間かつての浮浪者が本当に迎えにやってきました。浮浪者は怨霊として娘に取り付いた形で現れ、このまま男性を殺してもいいが自分の復讐が逆恨みではなく公平な行いであることを神にジャッジしてもらうため、男性に条件付きで生き残るチャンスを与えます。
条件はシンプルでした。
今、この場所で、ポップコーンを街灯のランプよりも高く投げ上げ、3回連続口でキャッチすること。投げる高さがランプより低くてもダメ。怨霊の合図より遅く投げてもダメ。
これができれば二度と姿を現さないと怨霊は約束します。
怨霊は、これは自分の魂の決着でもあるのだと主張し、実行しなければ今すぐ殺すと脅します。そして、男性は怨霊の言われるがままポップコーンを投げました。
1回目は簡単に成功しましたが、2回目はハトが集まってしまい、ハトに盗られそうになりましたが辛くも成功。ところが3回目、ハトに盗られないようポップコーンに火を点けて投げたため、太陽の光と重なり眩しくてポップコーンが見えなくなり失敗してしまいます。
次の瞬間、怨霊は「神のジャッジは逆恨みではないと下った!」といい放ち男性の首を刎ねてしまいました。
この男の告白を聞いていた岸辺露伴は妙な点に気付きます。首を刎ねられたのなら今ここで告白しているのは誰なのかと。しかし、男性は今日ここに来て告白することは今から話すと言い出しました。
なんと、男性は整形手術をさせた召使いを身代わりにしており、怨霊は間違って身代わりの首を刎ねたというのです。岸辺露伴が驚いて懺悔室のカーテンを開けると、そこには刎ねられた自分の首を片手に抱えて地面を這いずる召使いの怨霊と、召使いの首を刎ねた2人の怨霊がいたのです。
騙されて死んだ召使いの怨霊は言いました。
「この恨みは旦那様の娘が幸せの絶頂の時、必ず旦那様を迎えに来ます」と。
そして、召使いを殺した怨霊は、「迎えるのはダメだ。今度は騙されないよう四六時中見張ってないと!」と憎悪の目を向けて叫びます。
これが、岸辺露伴が懺悔室で体験した恐怖の体験と告白に来た男性の犯した罪の内容です。
最後に岸辺露伴は、告白に来た男が怨霊に呪われながらも諦めず前向きに生きている姿は尊敬できるという自分の本音を明かし、またこんな風に考えるのは恐らく自分だけだろうと語って終わります。
なお、『懺悔室』では岸辺露伴はヘブンズ・ドアーの能力を一度も使用していません。
ただひたすら懺悔に来た男の告白を神父に成りすまして聞いていたので、露伴の側から何かするということは一切なかったという意味では、特別なエピソードであると言えます。
第2話:六壁坂(むつかべざか)
♦登場人物
- 岸辺露伴(きしべ ろはん) 声優:櫻井孝宏(さくらい たかひろ)
- 貝森稔(かいがもり みのる) 声優:茂木たかまさ
- 小林玉美(こばやし たまみ) 声優:鶴岡聡(つるおか さとし)
- 音石明(おといし あきら) 声優:森久保祥太郎(もりくぼ しょうたろう)
- 大郷楠宝子(おおさと なおこ) 声優:種﨑敦美(たねざき あつみ)
- 釜房郡平(かまふさぐんぺい) 声優:間島淳司(まじま じゅんじ)
- 高窓修一(たかまど しゅういち) 声優:益山武明(ますやま たけあき)
- 大郷 桐子(おおさと きりこ) 声優: 高田憂希(たかだ ゆうき)
♦六壁坂のあらすじ
岸辺露伴が編集者の貝森稔(かいがもりみのる)とカフェで次の読み切り61ページの打ち合わせをしている場面から始まります。打ち合わせの最中、小林玉美(こばやしたまみ)と音石明(おといしあきら)がサインを求めて登場しますが、ストーリーとは全く関係がありません。
打ち合わせが始まるとすぐ、岸辺露伴はお金も執筆する作業場もなくて困っており、今は広瀬康一の家に居候していると言い出します。そもそも、なぜ家もなく居候する羽目になったのか。実は露伴は破産して家を失ったのです。
岸辺露伴は六壁坂村(むつかべむら)という村の妖怪伝説を取材するために山を購入しました。ところが近くでリゾート開発が始まり妖怪に逃げられては堪らないと思い、リゾート開発を阻止するため一帯の山を6つ買い占めました。しかしそのためリゾート開発が頓挫してしまい地価が暴落して破産してしまったのです。
そもそも、岸辺露伴が破産してまで取材したかった六壁坂村の妖怪とはいったいどんな妖怪なのか。第2話:『六壁坂』は岸辺露伴が六壁坂村を取材して発見した妖怪にまつわるエピソードです。
六壁坂村には300年続く味噌づくりで成功した一族のひとり娘である大郷楠宝子( おおさとなおこ)という女性がいました。取材の為に六壁坂村を訪れた岸辺露伴は偶然出会った大郷楠宝子の記憶をブンズ・ドアーで読み、その記憶から妖怪の存在を認識します。
記憶の内容は以下の通りでした。
大郷楠宝子は結婚を前提に交際している高窓修一(たかまどしゅういち)という相手がいるにもかかわらず、庭師のバイトである釜房郡平(かまふさぐんぺい)という遊び相手と浮気をしていました。
ある日、大郷楠宝子は別れ話を切り出しましたが郡平に拒絶されます。そして口論になり、郡平を突き飛ばしてしまいますが、郡平は後頭部をゴルフクラブにぶつけて死んでしまいます。
郡平を部屋に入れていたことがバレるのはまずいと思った大郷楠宝子は、郡平の傷から流れ出る血を止めようと色々手を尽くしますが、血は一向に止まりません。
大郷楠宝子はなんとか天井裏に郡平の死体を隠すことに成功しますが、彼女が結婚してからも郡平の傷口からの出血は止まりませんでした。毎日300㏄ほど多くも少なくもなく出血が続き、彼女は毎朝郡平の傷口から流れ出た血をコップに入れて流しで処分するのが日課になってしまいました。
そして、干からびた死体にいつしか自分がいなくてはダメなんだという愛情を注ぐに至ってしまったのです。
岸辺露伴が大郷楠宝子のこの記憶を読み、この村に妖怪がいることを確信した次の瞬間、ひとりの少女が傍に立っていることに気付きました。少女は岸辺露伴に対して最近この村を嗅ぎまわっていることを知っていると言い、「最近変質者が多いから気を付けないと」と露伴を挑発する発言をして走り去ろうとします。
心外だった露伴は少女を引き留めようと後を追いかけますが、少女は勝手に転んで岩に頭をぶつけて死んでしまいました。まさに大郷楠宝子の記憶で読んだ釜房郡平と同じようにあっけなく死んでしまったのです。
ショックで動揺する岸辺露伴はヘブンズ・ドアーで少女の記憶が消えて行くのを見て、このまま全ての記憶が消えて死なれたら、少女も死んで自分も大郷楠宝子と同じように取りつかれてしまうと分かっていたので、ある文言を書き込みます。
「岸辺露伴なんて知らない。たとえ出会っても岸辺露伴を見ることさえない。」
こう書き込んだことで、少女と岸辺露伴との出会いそのものを否定された結果、少女に憑依していた妖怪は姿を現して逃げてしまいました。
岸辺露伴は間一髪のところで妖怪の罠を見破り、少女の死を隠蔽して死ぬまで死体の世話を(出血を隠し続ける)する存在になるのを阻止したのです。
少女は大郷楠宝子の娘(大郷桐子)でした。妖怪は憑依された人間が被害者の出血を処理するために世話を焼くことで永遠に存在することができる性質を持ちます。
そのため、誰かの前で勝手に死ぬことがこの妖怪が人間に憑依するための常套手段であり幸福の絶頂なのです。岸辺露伴はこの妖怪を六壁坂(ようかいむつかべざか)と名付けました。
人間の愛と心の弱さに付け込んで自分では何もせず、全ての世話を人間にさせ、なんの責任も負わず、ただ子孫を残すことだけを目的する妖怪です。
岸辺露伴が編集担当の貝森稔とこの話をしている間に、カフェのテーブルには虹村億泰や広瀬康一、山岸由花子だけでなく宇宙人の支倉未起隆(はぜくらみきたか)も集まっていました。
最後に岸辺露伴が、「誰かの前で死んで奴らは存在しているのだろう」と締めくくります。
虹村億泰が宇宙人の支倉未起隆に「お前、知ってる?」と尋ねると、「たしかオリオン星系に似たような生物がいたはずですが」と真面目に答えているところは真実味がある一方、滑稽で面白かったです。
第3話:富豪村(ふごうむら)
♦登場人物
- 岸辺露伴(きしべ ろはん) 声優:櫻井孝宏(さくらい たかひろ)
- 泉京香(いずみ きょうか) 声優:中原麻衣(なかはら まい)
- 一究(いっきゅう) 声優:水橋かおり(みずはし かおり)
- 広瀬 康一(ひろせ こういち) 声優:梶裕貴(かじ ゆうき)
- 虹村 億泰(にじむら おくやす) 声優:高木渉(たかぎ わたる)
- 支倉未起隆(はぜくら みきたか)声優:加瀬康之(かせ やすゆき)
♦富豪村のあらすじ
『富豪村』は集英社で岸辺露伴の担当を務める泉京香が大富豪しか住んでいない村を購入しようと計画している話を聞かされるところから始まります。
富豪村は東京から80㎞の場所にありますが村に通じる道が一切存在せず、衛星写真で見る限りヘリポートが確認されることからも分かる通り、ヘリコプターだけで移動するほどの金持ちしか住んでいない村です。
また、富豪村に住む住人全員には驚くべき共通点があり、誰もが20代の若い頃にこの村の家を購入したことがきっかけで大金持ちになっているのです。
泉京香は岸辺露伴に自分がこの富豪村の家を購入するために村を訪問することを取材のネタにしてはどうかと勧め、ヘリコプターを持たない2人は徒歩で富豪村を訪れることになります。
ところが、富豪村の売主から土地を買うにはあるルールを守る必要がありました。ルールは売主が決めたもので、売主はマナー違反を絶対に許しません。
2人が家の門に辿り着くと一究という案内役が出てきて中に導かれます。そして、部屋に案内されて椅子に腰かけると、お茶を勧められて泉京香が先に紅茶を飲みます。
ところが、部屋に入って来た一究は「誠に残ですが、今日はお帰り下さい」と言い放ちます。さらに、泉京香が既に3つのマナー違反を犯していることを指摘し、売主は無礼なものに土地を売ることはないと突っぱねます。
そのマナー違反とは、
1、たとえ勧められても決して上座に座ってはならない。 2、畳の縁を踏んで歩いてはならない。 3、紅茶を飲む時に指をティーカップの取ってに突っこんではならない。 |
以上3点でした。
マナーは正しいか正しくないかのどちらかであり寛容など許されず、泉京香はすでに3つのマナーを違反をしたため土地を購入することはできませんでした。
しかし一究の態度に食い下がった泉京香が再トライしたいと主張すると、一究はその旨を主に伝えて返事を聞いてみると言い部屋を出ていきます。
ところが次の瞬間、泉京香の電話にがあり母親と彼氏が2人とも交通事故で死んだという緊急の知らせが入り、泉京香は絶望して泣け叫びます。その直後、一究が笑顔で戻ってくると、主に再トライを伝えたところ許可が出たとの返事を持ってきます。
事態の異常さを察知した岸辺露伴はヘブンズ・ドアーで一究を本にして情報を読んでみました。すると一究はただの案内係で土地の意思を伝える役目を負う者であることがわかりました。
そして、「この土地に入る時、敬意なきマナー違反者は自身の大切なものをひとつずつ失うこと」このルールは山の掟であり山が定めた土地の掟であること書かれていました。
ひとつ失うかひとつ得るか、それは山からのパワーであり、土地に敬意を払うものは成功を得るが、非なる者はひとつずつ失うという内容でした。
そのため、3つのマナー違反を犯した泉京香は恋人と母親を失い、3つ目は家の前で巣から落ちた野鳥のヒナを拾って箱に保護していたのが死んでしまいました。
そして次の瞬間、露伴の目に驚くべき内容が飛び込んできます。
これを読んだ露伴はマズいと気付きましたが、次の瞬間泉京香が心臓発作で泡を吹いて白目をむき倒れてしまいます。山は露伴がヘブンズ・ドアーで一究の内面を読んだ行為を許さず、そのマナー違反の代償として泉京香を奪ったのです。
一究は続けて露伴にトウモロコシを差し出して、これをどう食べるか再トライの是非を問います。これに対して岸辺露伴は両手でトウモロコシを食べると同時に、一究に畳の縁を踏んでいることを指摘します。
一究は何度も何度も踏み続けます。これはさっき岸辺露伴がヘブンズ・ドアーで畳の縁が見えなくなると書き込んでいたからで、一究がマナー違反を連発したことで泉京香や岸辺露伴のペナルティーは帳消しにされ、泉京香は意識を取り戻すことができます。
「これはイカ様だ!」と怒りを露わにする一究は、再トライするか、それともこれで帰るかと尋ねます。
これに対して露伴は、
「いいや、マナーを犯したのは君のほうだからな。だが帰る。そして二度と来るつもりもない!」
と言い放ち、村を後にします。
東京に戻ると泉京香の恋人と母親が死んだという知らせが誤報だったということに話が変わっていました。露伴が一究にマナー違反をさせたことで、泉京香のマナー違反を帳消しにできていたようです。
『富豪村』は『岸辺露伴は動かない』の中でも内容的にもストーリーの構成もしっかりしていて、ジョジョファンだけではなく、新規で岸辺露伴のファンを獲得できるレベルの傑作だったと言えます。
ちなみに実写化されたドラマ版でも一究は登場しますが、一究のマナー違反はドラマ版では人前でマナー違反を嫌らしく指摘する一究の行為がまさにマナー違反であると、岸辺露伴からダメ押しされている点はアニメ版とは異なります。
第4話:ザ・ラン
♦登場人物
- 岸辺露伴(きしべ ろはん) 声優:櫻井孝宏(さくらい たかひろ)
- 橋本 陽馬(はしもと ようま) 声優: 内山昂輝(うちやま こうき)
- 早村ミカ(はやむら ミカ) 声優: 赤﨑千夏(あかさき ちなつ)
♦ザ・ランのあらすじ
『ザ・ラン』は岸辺露伴が調子に乗りやすい自分の行いを振り返り反省する橋本陽馬(はしもとようま)という青年と出会って体験したエピソードです。
橋本陽馬は平凡な青年で、俳優を目指すモデルとして活動しながらジムで体を鍛えていました。芸能界では見た目がとても重視されるので、中身よりもまず見た目を磨く必要があると指導され、橋本陽馬は体作りのためにジムや家で筋トレに励みます。
といっても橋本陽馬は恋人の早村ミカ(はやむら ミカ)のマンションに同棲しているだけの貧乏モデルでした。橋本陽馬は部屋で縄跳びをしたり食べ物はタンパク質しか食べないし、友人との付き合いも一マ断って必死に筋トレに励みます。
ところが、いつしか橋本陽馬の筋トレは必至というよりも生きている意味そのもののように変わってしまいます。彼女の部屋に断りもなく勝手にボルダリングのボルダーをボルトで大量に取り付けたり、プロテインを購入したりジムの専属とレーニンぐを受けるために彼女の財布からお金を無断で拝借するなどエスカレートしていきます。
最後は愛想を尽かされて部屋から追い出されますが、窓から出て行った橋本陽馬はマンションの外壁にもボルダーを吊り付けており、これを下りて出ていくという異常ぶりでした。
そんな橋本陽馬は偶然同じ事務で岸辺露伴と出会ってしまい、トレッドミル(ランニングマシン)で先に時速25kmに到達した方がストップボタンを押すという、2人だけにしか意味の理解できな奇妙なゲームをするようになります。
ある日、岸辺露伴は橋本陽馬の筋肉の付き方が異様であることに気付きます。鍛えるのが困難な脇腹の筋肉がムキムキになっているだけでなく、耳の後ろやフクラハギと肩甲骨の筋肉が翼のように見えたのです。
そして、以前勝利した時速25kmの勝負を始めた橋本陽馬と岸辺露伴でしたが、露伴は序盤から圧倒的に橋本陽馬にリードされます。なんと橋本陽馬はバック走行で高速のランニングをして見せたのです。
そして、鉄アレー後方の窓ガラス目がけて投げつけ割ってしまうと大きな穴が開け、高速のトレッドミルの上で走るのをやめると後方へ弾き飛ばされて落ちてしまう状況を作り出します。
そして、ランニング勝負が極限に達した時、露伴は橋本陽馬に負けてストップボタンのリモコンを先に奪われてしまいます。ところが、橋本陽馬がストップを押したのに止まったのは岸辺露伴のトレッドミルのほうで、橋本陽馬は油断して後方へ弾き飛ばされて窓から転落してしまいました。
なんと岸辺露伴はリモコンが奪わる瞬間、ヘブンズ・ドアーで橋本陽馬に自分のトレッドミルを停止させるよう書き込んであったのです。
そのため、橋本陽馬は勝負には勝ちましたが露伴に騙されて窓から放り出されてしまいました。
岸辺露伴はその後、怖くて窓の外を見ることができませんでした。というよりも、すでにビルの下にいるはずがない橋本陽馬の存在が怖くて見る気がしなかったのです。
露伴は橋本陽馬が筋肉の神(ヘルメス神)に取り付かれた筋肉の神の化身であると確信します。そして、不用意に神の化身に勝負を挑んだ自分の軽率さを反省し、神の逆鱗に触れていないことを祈りその場から逃げるという選択をします。
『ザ・ラン』は橋本陽馬のエピソードというよりも、神や神の化身という優れた存在に対して、知らず知らずのうちに調子に乗り過ぎた自分を反省するという、岸辺露伴の反省エピソードです。
ちなみに、勝負の最中インチキをして時速25kmに到達する前にリモコンをとろうとした岸辺露伴は、橋本陽馬に右手の指をへし折られています。
これはある意味、神を愚弄した者に与えられた罰というふうにとらえることもできます。
『岸辺露伴は動かない』アニメ版とドラマ版の違いについて
『岸辺露伴は動かない』OVA(アニメ版)は第1話:『懺悔室』は荒木飛呂彦の短編集『死刑執行中・脱獄進行中』に収められている者と完全に同じストーリー構成でアニメ化したものです。
また、第2話:『六壁坂』・第3話:『富豪村』・第4話:『ザ・ラン』の3作品はアニメ版とドラマ版の両方が存在します。
『六壁坂』と『富豪村』はアニメ版とドラマ版に違いはほとんどありませんが、『ザ・ラン』はドラマ版に多少脚職が加えられています。
また、OVAは各話がそれぞれ独立したストーリーになっているのに対して、実写版は『四辻』とか『坂』という妖怪が人ではなくて場所に憑く特性に焦点を当て、全8話がひとつのテーマで繋がっている点はOVAとは全く異なります。
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