第3部以降スタンド使いのラスボスを倒すことがテーマとなっている「ジョジョの奇妙な冒険」ですが、各章ごとにラスボスの能力が強烈で倒すこと自体がムリゲーみたいな能力ばかりです。そんな彼らの能力ですが、よく似ていると言われることがあるみたいなので、違いと共通性を一覧でまとめてみようと思います。
その前に、まず一人ずつ能力と力を得た背景について概要を説明します。
ディオ・ブランドー
登場シーン | 第3部 |
スタンド名 | ザ・ワールド |
能力 | 時を止め、止まった時の中を自由に動くことができる。 |
弱点 | 無し |
きっかけ | 弓と矢 |
情報源 | エンヤ婆 |
実はエンヤ婆の存在がデカかった
ディオのザ・ワールドは、ディオで身も時を止める能力に気付いてなかったようです。
承太郎との闘いの最中に、ザ・ワールドが時を止めることが出来たきっかけのようなエピソードが語られるシーンがあります。
それは、部下に自分に向かって散弾銃を撃たせスタンドのパワーを試そうとしたところ、一瞬時が止まったように感じたので、もう一度試した時には明らかに散弾の背後に周り、指で弾を掴むことができたと回想しています。
最初は優れたアスリートを例に、アドレナリンが分泌されて世界がスローに感じることがある現象を引き合いに出し、自分もそうなのかもと思ったとのことです。
しかし、2回目は明らかに違っており、ハッキリと自覚できたと確信に至っています。
つまり、最初から備わっていた能力だったかしれないですが、全く自覚していなかったので能力が発現していなかったというわけです。
さらに、エンヤ婆からHBの鉛筆をへし折るのと同じように、時を支配できることを当然と認識することの重要性について教示を受けた結果、最初は一瞬しか止められなかった時間が、3秒、4秒と長くなったことも語られています。
最終的には1時間でも時を止めていられるようになってみせると豪語するディオでしたが、その夢は叶いませんでした。
実は多くの部下が能力を知っていた
ディオは信用のできる部下以外は自分に近づけようとしないばかりか、裏切る可能性がある部下の脳には自身の細胞である肉の芽を植え付け、都合が悪くなれば肉の芽が暴走して脳を食い破り、宿主は始末されるという予防策を施しています。
ところが、そんな部下たちの中にも金で雇われただけのうわべだけの部下と、ディオを心の底から畏怖する部下の2種類に分けることができます。
後者は本気でディオを恐れていたことから推測すると、恐らく時を止めて見せて絶対に敵わない相手であることを自覚させたうえで服従したものと考えられます。
要するに、ディオの時を止める能力は、ダービー兄弟はもちろん、エジプト9栄神のスタンド使いやディオの館にいたスタンド使い達は皆知っていたと思われます。
ちなみに、ポルナレフや花京院、アブドゥルは過去にディオに会ったことがありますが、能力を知らされていません。エジプトで一番乗りでディオに再会したポルナレフなど、階段を登っては降ろされるという繰り返しゲームでしばらく遊ばれてしまいました。
吉良吉影
登場シーン | 第4部 |
スタンド名 |
キラー・クイーン シア・ハート・アタック アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダスト |
能力 |
スタンドであるキラークイーンは触ったモノをなんでも爆弾に変え、自分の好きなタイミングで爆発させることができる。 シア・ハート・アタックはキラー・クイーンの左手から放たれた自動追尾型の爆弾スタンド。遠隔操作できず、より高い温度を目がけて突進して爆発する。 アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダストは承太郎に見つかりたくないという強い思いが具現化した能力で、自分の正体がばれると時が遡り、周囲は何も気づかず自分だけがその事実を理解している。 |
弱点 | 無し |
きっかけ | 弓と矢 |
情報源 | 父親←エンヤ婆 |
幽霊の父親に守られて生きる男
若い頃より猟奇殺人を繰り返し続け決して止めることがなかった吉良吉影は、普通に考えればどこかで証拠を残して警察に捕まっていてもおかしくありません。
吉良が証拠も残さずに犯行を犯したのは、キラー・クイーンで全ての証拠を被害者もろとも吹き飛ばしていたからであり、またスタンド能力を与えたのは死んでも死にきれない「写真のおやじ」と呼ばれる吉良の父親です。
父親はエジプトでエンヤ婆から矢を買い取り息子にスタンド能力を与えただけでなく、?杜王町で息子である吉影を守るため、無造作に弓と矢を使いまくり、仗助や承太郎の敵を増やし続けます。
この父親は「心霊写真」として写真の中で生き続けており、「弓と矢」も写真の中で管理していたようです。
最後は写真もろとも爆弾で吹っ飛ばされてしまい晴れて成仏できた父親ですが、この親父の存在は吉良吉影にとって唯一の見方であり、心の支えだったと言えます。
誤って父親を爆死させてからの吉良が敗北するまでに、そう時間はかかりませんでした。
スタンドは1人1体なのに複数の能力
吉良吉影を倒すのにかなり時間がかかった要因のひとつとして、吉良のスタンドであるキラー・クイーンが厄介だったのはもちろん、右手から発射されるシア・ハート・アタック(第2の爆弾)が想像以上の頑丈さを誇るジョジョ史上1・2を争う硬さだったことが挙げられます。
承太郎はその冷静な判断力と積極的で地道な行動力により、とうとう洋服のお直し屋さんに吉良吉影の手がかりがあることを突き止めます。
これは実際に警察が使う捜査方法も参考にしてるかもしれないと思わせるほど、捜索する経緯はリアルでワクワクするものでした。
ところが、あと一息で吉良を捕まえられるというその時に、キラー・クイーンの右手から発射されたシア・ハート・アタック(第2の爆弾)が邪魔をし、頑丈過ぎてスター・プラチナのパワーでも壊せなかったのです。
口をこじ開けられて「イデデデデ」と痛がっている様子は面白かったです。
承太郎がシア・ハート・アタックの爆発で瀕死の重傷を負ってしまったため吉良に逃げられてしまい、吉良はエステ・シンデレラの店主に自分の顔を他人の顔に整形させ逃亡してしまったことで、ゲームが振り出しに戻ってしまいます。
その後、川尻浩作という男とすり替わり、その過程で偽物の家族として潜伏する吉良でしたが、息子の川尻隼人に犯行現場を目撃され脅迫されたことで正体がバレることを恐れ、結果的にアナザー・ワン・バイツ・ザ・ダスト(第3の爆弾)に目覚めてしまいます。
アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダストとは吉良吉影の正体がバレると、正体を知った者の瞳にキラー・クイーンが入り込み爆弾を爆破することで、時間がタイムスリップして正体がバレる前の状態に戻ってしまう能力のことです。
これは、仗助や承太郎、岸部露伴や広瀬康一たちが吉良の正体を暴いても暴いても繰り返されるため、もはや解除不能で絶対に勝てない能力だと読者を絶望に突き落としました。
ところが、スタンド使いでもない息子隼人の行動がパターン化されたリズムに歪みを生み出し、結果的に吉良本人が自分で正体を喋ってしまったため、アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダストが作動せず、身を守るためにスタンド対決へと発展することになります。
この能力の最大の欠点は、他人に不本意に正体がバレると発動できるけど、自分で正体をバラすと発動しないこです。
吉良吉影が敗北した最大の原因は息子の隼人が勇気をだして吉良と戦ったからだと言えます。
ディアボロ
登場シーン | 第5部 |
スタンド名 |
エピタフ キング・クリムゾン
|
能力 |
額に付いたエピタフは数秒先の未来を予知することができる。 キングクリムゾンはエピタフが予知した都合の悪い未来の時間を消し飛ばし、その先の時間に起きる事象だけが過去と継続する。つまり、都合の悪い事実は全て消すことができる。 |
弱点 | 無し |
きっかけ | 弓と矢 |
情報源 |
エジプトで参加した考古学の発掘バイトで弓と矢を発掘。 6本盗み5本をエンヤ婆に売った。 最初に弓と矢を手に入れた張本人がディアボロ。 |
謎に包まれた生まれついての帝王
刑務所に服役中母親が父親無しで妊娠して刑務所で出産した男の子が成長した人物。
そもそも、どうやってこの世に生を授かったのか謎に包まれていて、自分の母親を育ての親である町の教会の神父の家の床下に生きたまま埋めていた。
生き埋めではあるけれども殺しているわけではなく、生きたまま埋められていた。
神父がそれを発見したその夜、町を大火事が襲い、神父と義理の息子である青年の名前も志望者リストに載っていた。
事件の直前にディアボロがが自分の娘ができるきっかけとなる女性と出会っていることから、この時すでにスタンド能力に目覚めていたものと推測できます。
諸悪の根源~弓と矢を発見した張本人
小遣い稼ぎのためにエジプトで遺跡の発掘のアルバイトに参加し、そこで弓と矢を6本手に入れたディアボロは、その価値がわかるエンヤ婆に5本を高額で売り、残りの1本を自分の所有物としました。
そして、その1本で自身のスタンド能力を発現させただけでなく、パッショーネというヨーロッパを支配するマフィアのボスに登り詰めた彼は、幹部のポルポに弓と矢を管理させ、利用できそうな能力を発現させる人材発掘の道具として利用しました。
ジョジョシリーズで度々登場する弓と矢とのうち5本もエンヤ婆に売っていて、エンヤ婆からディオ、虹村慶弔、吉良の父親、経路不明でポルナレフ、同じく経路不明で承太郎の元へと渡っています。
生まれついてのスタンド使いであるジョルノ・ジョバーナを除いて、ブチャラティ―やアバッキオをはじめ、ポルポ経由でパッショーネに入団した若者は入団試験としてポルポのスタンド(ブラック・サバス)によって弓と矢で射貫かれてスタンド使いになったというわけです。
つまり、ディアボロは諸悪の根源ということです。
無理ゲーに等しいディアボロの強さ
ディアボロのスタンド(キング・クリムゾン)の能力の強さは超がつくほどヤバいです。
とてつもなく強く、倒すことは不可能と言っても過言ではありません。
事実、ジョルノたちブチャラティ―のチームがボスの正体を突き止めたと同時に、ネット上でそれを待っていたポルナレフが、「弱点はない」と断言し、ボスを倒すという計画を止めるよう忠告します。
「エピタフにより数秒先の未来を予測し、都合が悪い未来は全て消し去ることができる」
このとんでもない能力には関わらない以外に被害を防ぐ方法が存在せず、もしも受け身になれば間違いなく負けるという方程式が成立します。
そのため、ポルナレフはエジプトで入手した弓と矢がスタンドにもたらす真の力をジョルノ達に伝えるべくローマのコロッセオで待ち続けたのです。
結局、ポルナレフの期待通り、力ある者が弓と矢を手に入れ、それをコントロールすることでボスを倒すことに成功しましたが、それはスタンド能力ではなく、スタンド能力の先を行く力によるものでした。
スタンド能力の先の領域へ進化したジョルノのゴールドエクスペリエンス・レクイエムはディアボロが時間を消し飛ばした事実そのものをなかったことにし、全てを実行前の状態に強制的に引き戻してしまいました。
これにはさすがのキング・クリムゾンも太刀打ちできず、ゴールド・エクスペリエンスの能力で、死にたくても死ねない、つまりあらゆる真実=結果に辿り着くことが出来ない、永久に死に続ける無間地獄へと落とされてしまいました。
ジョジョの奇妙な冒険第5部はある意味究極的なテーマを描いていて、これを描いちゃったらもう後が続かないくらい、行き過ぎた作品になってしまいました。
だから、あとから登場するプッチ神父はさらにその上を行ってしまったのです。
エンリコ・プッチ
登場シーン | 第6部 |
スタンド名 |
ホワイト・スネーク シー・ムーン メイド・イン・ヘブン |
能力 |
ホワイト・スネーク 他人の記憶や能力をCDとして抜き出し自分のモノにする。 シー・ムーン ホワイトスネークが緑色の赤ちゃんと融合して進化した状態。 重力を操る能力で、全ての物体はプッチを上にして落下する。 メイド・イン・ヘブン シー・ムーンが成長した最終形態。 時を無限大に加速させる能力。 これによりプッチは宇宙を一巡させた。 |
弱点 | 無し |
きっかけ | ディオの骨 |
情報源 | ディオ |
ディオの生涯唯一人の友達
エンリコ・プッチはディオが生前に人生でエサとして捕食せず、人間として付き合うことのできたただ一人の友人です。
もちろん、エジプトで護衛につかせていた部下とも違い、対等な関係で付き合える関係だったようです。
2人はアメリカのプッチの所属する教会で出会い、プッチはディオをかくまったお礼に障害のあった足を直してもらい、さらにスタンド使いになる原因となる矢じりの破片をもらいます。
しかし、ディオがプッチにプレゼントしたのはそれだけではありませんでした。
実はディオは生前、天国へ行く方法について研究していて、その方法を記したメモを持っていたのですが、ディオの死後、承太郎によって焼き捨てられました。
プッチはその内容を入手するために手の込んだわなを仕掛け、承太郎を刑務所へ誘い込みCDとして承太郎の記憶からディオのメモの情報を盗み取ることに成功します。
エンリコ・プッチが到達した天国
そして、メモ通りに刑務所から出て重力の影響を受けにくい地点へ次々に到達し、予めディオが用意していた息子たちの存在も影響し、最後にはメイド・イン・ヘブンという重力を操り時を加速する最強のスタンド能力を身に付けます。
このスタンドにはもはや弱点はなく、承太郎のスター・プラチナによって時を止められた時ですら、止まった時の中で「ジロッ」と承太郎の方へ眼が動いたことから、時の加速は時を止める行為を超越していることが伺えます。
承太郎ですら敵わない能力にジョリーンやエルメース、ウェザーやアナスイが適うはずはありませんでした。
ヘビーウェザーを取り戻したプッチの双子の弟ウェザーをはじめ全ての仲間が運命という重力の力には逆らえず、命を落としてしまいます。
プッチはどんどん時を加速させ、最終的に宇宙を一巡させてしまいます。そして、宇宙がなんど一巡しようとも自分以外の人間は多少の見た目や風貌が変わるだけで、結局運命からは逃れることができないという現実のルール外に立つ存在となります。
プッチだけがそれらの人々に直接干渉して影響を与えることができるという、まさに神のような存在になってしまったのです。
スタンド使いだが攻撃力を持たないエンポリオ少年の存在
この少年が物語の中でどういう役割を担っているのか、読み続けて最後にようやくわかりました。
やはり、ジョジョの奇妙な冒険は最後には人間賛歌を謳うので、別にスタンド使いが勝つことを描いているわけではなかったわけです。
ウェザーが死に際にCDとして残した自分の能力が巡り巡ってエンポリオ少年の元へ渡っていたとは。
衝撃的な結末はなんとエンポリオ少年がウェザーのスタンド能力をCDで利用したことで、プッチを死に追いやることになります。
4人の能力の違いと共通点についてまとめ
・時を止め、止まった時の中で自由に動けるディオ
・時を遡らせ自分だけがその事実を把握できる吉良吉影
・未来を予知し、不都合な未来を消し去ることができるディアボロ
・時を加速させ、加速した時の中で不変の存在を保てるプッチ神父
見れば一目瞭然、皆が時を操る能力を発現させているという共通点があります。
そしてどの能力にも弱点がなく無敵の能力でありながらも、皆敗北して死んでいます。
こういう能力には違いはありますが、どれも特殊の能力であり4人が総当たりで闘ったらどうなるのか想像もできません。
個人的には、
1位 エンリコ・プッチ メイドインヘブン
2位 ディアボロ キング・クリムゾン
3位 ディオ ザ・ワールド
4位 吉良吉影 キラー・クイーン
結局、スタンド能力は人間が操作するものであり、スタンドはスタンドでしか倒せないという原則がある限り、その状況でその能力に一番不都合な状況に追い込まれた者が負けることになります。
プッチ神父とディアボロは微妙ですが、やはりプッチ神父の宇宙の法則そのものである能力には、未来予測など無意味になるので、やはりプッチ神父が1位だと思います。
3位と4位は難しいですが、承太郎のスター・プラチナ・ザ・ワールドを恐れ結局はその能力で仕留められた吉良吉影なので、ディオのザ・ワールドが吉良吉影を上回ると判断しました。
2位と3位の差はハッキリしていて、時を止める能力を使っても、もし攻撃されているビジョンさえ予知できれば、その事実を消し去ることができるディアボロの方が上を行くと考えました。
ディアボロの最大の弱点は予知した未来した消すことができない点で、もしも予知する暇さえなかったり、予知できても部下のリゾットとの闘いのように、相手を見つけることが困難な場合は敗北も十分にあり得るということです。
U-NEXTなら31日間の無料トライアル期間中、対象作品が無料で視聴できます。
対象作品:『ジョジョの奇妙な冒険』第1部~第6部
「ジョジョの奇妙な冒険」について詳しく知りたい方は下記の記事も参考になります。
https://zensen.jp/jojo-dio-kuzu-genin/
https://zensen.jp/jojo-dio-real-friend/
https://zensen.jp/jojo-ningensanka-hyoron/
https://zensen.jp/jojo-kuso-kuzu-character/
コメント