『ジョジョの奇妙な冒険第１部』は初代ジョジョとして伝説に残るジョナサン・ジョースターの生涯を描いた作品です。荒木飛呂彦の代表作である『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの原点ともいえる作品です。
第１部のあらすじは貴族の息子ジョナサンと養子のディオが同じ家で暮らすようになるところから始まり、自己顕示欲の強いディオが次第にジョナサンを孤立させやがては財産を乗っ取ろうとするのを阻止するという内容から、正体がバレて追い詰められたディオがジョジョの研究していた石仮面を使って吸血鬼に変貌し、打倒ディオの戦いを描いた物語へと移り変わります。
『ジョジョの奇妙な冒険第１部』の登場人物
『ジョジョの奇妙な冒険第１部』はコミックで２冊分の内容ということもあり、登場人物は非常に少ないです。
物語はディオが吸血鬼になるまでの青春時代を描いた前半部分と吸血鬼になったディオを倒すためにジョジョが戦いの旅に出る後半部分に大きく分かれ、前半部分はジョジョの自宅や学校など生活圏のなかで起きる日常的な話題が取り上げられますが、後半部分では新たな仲間が加わり物語の場所も外の世界へ移ります。
ジョナサン・ジョースター
イギリスの貴族ジョースター卿のひとり息子で根っからのお人好しで、ディオとは性格が正反対。しかし正義感が強く誰かのために戦うことのできる勇気ある青年で、まさに紳士の理想的な姿を体現した大人へと成長する。
宿敵ディオを倒すためツェペリからチベット由来の波紋(はもん)という呼吸法を修得し、持ち前の頑強な肉体と波紋を融合させた強い戦死へと成長する。
ディオの首を切り落として勝利したと思いエレナと新婚旅行の船旅に出発するが、客船で部下を連れた首だけのディオと再会して再び戦うことになる。
しかし、ディオの目から発射される強力なビームで喉を貫かれ呼吸できなくなり波紋が使えずに戦えなくなる。最終的に客船を海に沈め、自分が死ぬかわりにディオを道連れにして海底に沈んでしまう。
ジョースター卿（ジョジョの父親）
ジョナサン・ジョースターの父親でイギリスの貴族。過去に妻と馬車に乗っていて事故に遭い、谷へ転落したところをディオの父親であるダリオ・ブランドーに発見されて一命をとりとめた経験があり、それがきっかけでディオを引き取りジョナサンと一緒に育てることになる。
非常に厳しい父親で、勉強が苦手で作法が修得できないジョナサンに滅法厳しく接する一方、物覚えの良いディオにはやたら優しく接する。また、最後の最後までディオの本質を見抜けないという人を見る目のなさは筋金入りである。
ダリオ・ブランド―（ディオの父親）
ディオ・ブランド―の父親で、大酒飲みのクズ。妻に苦労をかけて早死にさせ、息子のディオにも生育面でかなりの悪影響を与えた張本人。
過去に酒場から女を連れて帰る途中で谷底に転落した馬車を発見し、意識のないジョースター卿から装飾品を盗もうとしていたのを介抱してくれたと勘違いされ、ジョースター卿にとって恩人ということになっている。
ダリオはディオによって時間をかけて毒殺されるが、自分が死んだらジョースター家へ行くよう手紙と遺言を残してこの世を去る。
ディオ・ブランドー
ダリオ・ブランドーの息子で、父親の遺言によりジョースター家へ引き取られて養子となる。幼少期よりロンドンでチンピラやゴロツキの世界を生き抜いてきたため、裏社会の事情に詳しく喧嘩がメチャクチャ強い。
向上心・自己顕示欲が極端に強く目的を達成するためなら手段を選ばないため、常に他人を利用することしか考えていない。幼少期より一緒に育ったジョナサンと義理の兄弟になるが、腹の底ではジョナサンを孤立させて力を奪い、やがては財産を乗っ取ろうと企んでいる。
最終的に野望が暴露して警察に包囲されるが、偶然知った石仮面の力を利用して強大な力を持つ吸血鬼へと変貌し、不死身の体を手に入れたことで世界征服を企むようになるが最後はジョナサンによって海の藻屑となる。
エレナ・ペンドルトン
ジョナサン・ジョースターの幼馴染で医者の娘。ジョナサンとは子供の頃にデートをして遊んでいた仲でもあるが、ディオの策略によって気まずい関係になりしばらく疎遠になる。
ディオが吸血鬼になった夜、火事で大怪我を負ったジョナサンを夜通し解放してくれた存在でもあり、これがきっかけで復縁し、ジョナサンと結婚することになる。
新婚旅行の船上で首だけのディオに再会した際、ジョナサンはディオを道連れにして死亡するがエレナは身籠っていた自分の子供だけでなく他人の子供を連れて船で脱出して生き残る。
ウィル・A・ツェペリ
元々はただの船乗りだったが、航海の途中で船内にあった石仮面を被った男が吸血鬼になり、船の乗員が自分以外全滅するという大惨事を経験している。
しかも朝日が昇る直前に仮面を外して見せた吸血鬼の正体は自分の父親だったという悲しい経緯もあり、打倒石仮面を決意しチペットで波紋の呼吸法を修得する。
その後も打倒石仮面・吸血鬼撲滅の旅を続け、ディオを倒しに向かうジョナサンに波紋法を伝授して共に戦うが、タルカスとの闘いで壮絶な最後を遂げる。実はツェペリはチペットでの修業時代に未来の自分の死について知らされていた。
トンペティ
チベットで波紋を伝授する修行僧の老子。ツェペリやストレイツォ、ダイア―もみんなトンペティの弟子で、古城でのジョナサンとディオとの決戦にも同行する。
ストレイツォ
チベットの修行僧のひとりで強力な波紋法を修得している人物。第１部ではジョナサンに加勢するが、第２部で悪の誘惑に負けて吸血鬼になってしまったことがわかる。
ダイア―
ツェペリがチベットで修行していた頃に切磋琢磨した仲間。ディオとの決戦に先立ち加勢に駆け付けてくれるが、ディオの能力の前に圧倒されて戦死する。
ワン・チェン
ディオが吸血鬼にしたロンドン裏社会の中国人。ディオに忠実でジョナサンとの闘いに敗れて首だけになったディオを救い容器に入れて船に連れて行くなど、ディオの側近のような役割を果たす。
最後は、船でジョナサンに波紋を食らい脳の活動を狂わされ、船の動力シャフトを止めて船を破壊沈没させる役割に利用される。
『ジョナサンとディオ』偽りの青春
ジョナサン・ジョースターはイギリスの貴族であるジョースター卿の一人息子としてなに不自由ない生活を送るおぼっちゃま育ちです。そこへある日、ジョースター卿の恩人であるダリオ・ブランド―の息子であるディオ・ブランド―が養子としてやって来ます。
ジョースター卿は馬車の事故で妻を失い、その時自分を発見してくれたダリオ・ブランドーを命の恩人だとして、困ったことがあれば自分を頼るよう伝えてあったのです。
ダリオ・ブランドーは大酒のみのクズだったため体を壊して早死にしますが、死ぬ間際に息子のディオに自分が死んだらジョースター家を頼るよう言い残してこの世を去ります。そしてディオは遺言通りジョースター家の養子となるわけです。
ところが苦労知らずのジョナサンに対して劣悪な生育環境で育ったディオは全く折り合いません。ディオはお人好しのジョナサンを妬ましく思い、やがてはジョナサンの周囲から友人や信頼など大切なものを根こそぎ奪い取って孤立させ、最後は財産を乗っ取ってやろうと企むようになります。
クズの象徴 ディオの本性
ディオの悪質な性格は筋金入りで、孤独なジョナサンが唯一生き甲斐を感じていたエレナというガールフレンドとの関係に手を出す始末でした。エレナはディオに口づけされた後、水たまりの泥水で口を洗うという抵抗を示しますが、それを見たディオは逆上してエレナのほうを殴打するというまさにゲスの極みに到達していました。
ディオの計画はエレナとの一件が周囲に吹聴されることでジョナサンを動揺させることで、エレナも決まづくなってそれ以来ジョジョと距離をおくようになります。
ところが、エレナに酷いことをしたディオに対してジョナサンは黙っていませんでした。
ジョナサンの爆発力に脅威するディオ
ジョナサン・ジョースターは普段は心の優しいお人好しですが、大切な人が酷い目に合うのを黙って見ているほど愚かな性格ではなく、エレナの一件を知るや否やディオのもとへ向かいます。
ディオは待ってましたと言わんばかりにジョナサンを返り討ちにしますが、ジョナサンはボクシングの試合で倒された時のように簡単にあきらめません。
なんと膝蹴りを入れらているのにディオにしがみつき、頭突きでディオを鼻血まみれにしてまうのです。グラついたディオはジョナサンに一方的に殴られて大負けし、涙を流して悔し泣きします。その時に吐いた、「この汚らしいアホが！」というセリフはジョジョファンの間ではとても有名です。
ディオはこの一件の後ジョナサンの爆発的な攻撃力に警戒するようになり、無闇に嫌がらせをするのやめるようになります。
その後、2人は大学を卒業する間際まで見かけ上は仲の良い兄弟としてともに成長していきます。
ついに暴露されるディオの本性
ジョナサンとディオは同じ大学に通いともに優秀な成績を収めて卒業を目前に控えます。
ジョナサンは脳の研究の分野で独自性のある研究結果を残したことが高く評価され、ディオは学力一番として表彰される他、2人とも運動能力が極めて高くラグビーの試合ではパワーのジョナサンとスピードのディオがコンビになって他校を圧倒するという華々しさを見せます。
過去の手紙から明るみになるディオの悪行
ところが、父親のジョースター卿は体調が思わしくなく、咳が止まらず寝たきりになってしまいます。そんなある日、ジョジョが家の書庫からディオの父親ダリオ・ブランドーがよこした手紙が出てきて内容を読み驚愕します。
そこにはなんと父親が苦しんでいるのと全く同じ症状が記されていたのです。この時ジョナサンはディオが過去に自分の父親を毒殺し、同じ手口で父であるジョースター卿を殺害しようとしていることを確信します。
ところがジョナサンにはこの薬が毒でありディオが誰かから買ったものだという証拠がなかったためディオと大喧嘩となり険悪な関係に戻りますが、ジョナサンはディオが父に飲ませていた薬を持ってロンドンの貧民街まで売人を探しに出かけます。
証拠を突きつけられて人間を辞めるディオ
ジョナサンはロンドンの貧民街でスピードワンゴンというゴロツキに遭遇しますが、ジョナサンの勇気ある行動と紳士の振る舞いが心を動かして味方にすることに成功します。
裏社会の情報に精通したスピードワゴンのおかげでジョナサンは毒の売人をすぐに突き止めることができ、実家まで同行させ証人としてディオに見せ付けます。
この段階でジョースター家はすでに警察を呼んでおり、ディオは警察に完全に包囲されており、ディオは罪を白状しますが、往生際の悪いディオはナイフでジョナサンを刺そうとし、ジョースター卿はジョナサンを庇って死んでしまいます。
ところがディオはまだ諦めず、懐から石仮面を取り出し自ら被ります。そして吸血鬼になったディオとジョナサンは火の海となった館で殺し合いになり、焼け焦げた瓦礫に埋もれてしまいますがまだ死なず、古城へ立てこもり世界征服の野望を企むようになります。
ツェペリとの出会いと打倒ディオに向けた波紋法の修得
ある日ジョナサンはツェペリという男に出会い、館の家事で焼死したと思っていたディオは死んでおらず古城で新たな野望を企んでいる事実を知らされます。
ツェペリは吸血鬼を倒す波紋という呼吸法を修得している人物で、ジョナサンはツェペリから波紋法を教わり打倒ディオの旅へと出発します。
道中、ディオが送った刺客がジョナサンとツェペリを何度も遮ります。ロンドンを震撼させた切り裂き魔(切り裂きジャック)も吸血鬼にされておりトンネルで襲ってきますが見事波紋で対処することに成功します。
ブラフォードが贈った希望(PLUCK)
ディオの古城がある村に辿り着いたジョナサンたちはそこで過去の英雄が吸血鬼のゾンビに変貌した2名の怪物と遭遇します。それはブラフォードとタルカスのなりの果ての姿で、かつてエリザベス女王に仕えた忠実な剣士でしたが、裏切りに遭い斬首された悲劇の戦死です。
2人はディオによって吸血鬼として蘇りジョナサンを排除するために利用されているのです。
ブラフォードもタルカスも勇猛な戦死だったためジョナサンたちは苦戦を強いられますが、ジョナサンは湖の底に沈んだ岩の裏から空気をくみ取ることで湖底から生還し、見事ブラフォードを打ち取ります。
魂までも吸血鬼に染まっていなかったブラフォードは波紋で消滅する間際に自分の持っていた「LUCK」という文字が掘られた剣に「P」の文字を付け足し、「PLUCK」（希望）をジョナサンにプレゼントして消滅します。
魂まで腐りきったタルカス
一方、タルカスはブラフォードとは違い魂まで吸血鬼に染まっており、邪悪でヨコシマは魂を炸裂させます。タルカスは相当な怪力の持ち主でジョナサンとツェペリは2人がかりで挑みますが歯が立ちません。
ツェペリはこの闘いでジョナサンに希望を託し波紋エネルギーを分け与えて壮絶な最後を遂げますが、実はツェペリは過去にチベットで波紋法を修得の修行をしていた頃、師匠であるトンペティから未来の自分が壮絶な死を迎えることを聞かされて知っていました。
そして、ツェペリから波紋エネルギーを受け継いだジョナサンはタルカスなど足元にも及ばない強力な力を獲得し、タルカスをあっけなく仕留めてしまいます。
古城での戦い
ブラフォードとタルカスを倒してディオの居る古城へ辿り着いたジョナサンたちはそこでディオの特殊な能力に苦戦します。
ディオは普通の吸血とは違って頭脳明晰なため、自身の血液の温度を自在にコントロールする能力(気化冷凍法)を身に付けていたのです。波紋は凍っている血液には流れないため、このままではディオを倒すことができません。
ジョナサンは勇気を出して手にはめていたグローブに火を点け、炎を伴ったパンチでディオの気化冷凍法に対抗し、最後は見事ディオの体に波紋を流すことに成功します。
ディオは城から転落し、ジョナサンたちはディオを倒したと思っていましたが、ディオは落下しながら波紋が頭部に伝わるギリギリのところで自分で自分の首を切断して生き延びるのでした。
海底に沈むディオとジョナサン
古城での決戦の後、ディオの生存を知らないジョナサンはエレナと結婚して船でアメリカに向けて新婚旅行に出発します。
ところがこの船には首だけになったディオと部下のワンチェンも乗っていたのです。理由はもちろんジョナサンに反撃するためです。
船が出向して間もなくすると乗客はワンチェンによって大勢が吸血鬼にされパニックになります。ディオは機関室に置かせてある棺の中で首だけの状態で待っていました。
ディオはジョナサンに仲間になれば永遠の命を与えてやるとそそのかしますがジョナサンは受け入れず、目から体液を高圧で発射してジョナサンの喉を貫きます。
呼吸ができずないジョナサンは波紋を練ることができず、最後の力を振り絞ってワンチェンに微量の波紋を流し、土地狂わせて船の動力シャフトを止めさせます。
やがて船は機関部が破損して大爆発を起こし沈没しますが、ディオはギリギリまでジョナサンを説得して仲間にしようとします。しかし最後にディオが話しかけた時、ジョナサンはディオの首を抱いたまますでに死んでいました。
ディオはジョナサンの亡骸とともに海の底に沈み、第１部は幕を閉じます。
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第２部～第6部のあらすじは下記の関連記事が参考になります。
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