ネットフリックスで「愛の不時着」を見て、学生時代に中国へ語学留学した時に出会った北朝鮮の留学生のことを思い出しました。「JSA」がヒットした頃から韓流ブームが始まってこの20年以上、韓流ブームが収まる気配がありません。それにしても、地雷を踏んだ南の人を北の兵士が助けるという設定だけは、JSAのパクリというか明らかに模倣であると言われても仕方ありませんね。
ところで、自宅で映画を観るなら動画配信サービスを利用するのが当たり前の時代になりましたが、U-NEXTをはじめとした動画配信サービス業界の競争は激しくなる一方で、どの動画配信サービスでも韓流ドラマや映画が絶対に外せないコンテンツになっているようです。
それこそ、韓流ドラマのラインナップの多さを前面に出して勝負を挑んでいる動画配信サービスもあるくらいです。韓流作品がこれほど人気があるのどうしてか気になって、試しにイカゲームも観てみました。
韓流作品に共通して見られる人情の飽くなき追求
最近、ネットフリックスの独自コンテンツとして世界的な大ヒットを記録したイカゲームを観て、韓国らしさというか、今まで観た韓国映画の良い意味での類似性みたいなものを改めた感じたのですが、やっぱり韓国の人は熱いなって思いました。
日本語で言うと愛情や義理・人情が当てはまるでしょうか。決して香港映画に見られる任侠とは完全に異なります。香港映画はその点、日本の任侠作品とは別次元で最高の領域を確立していると言えます。
ところで、韓流の「JSA」、「you are my sunshine」(ユア・マイ・サンシャイン) 、「愛の不時着」、「イカゲーム」、などヒットした作品全てに共通しているのは、韓国の情の深さというか日本人が最近忘れてしまって、どうしても思い出せない感情な気がしてなりません。
北朝鮮と韓国の警備兵の命を懸けた友情を描いた「JSA」
「JSA」では、誤って北の国境を越えてしまった警備兵が北の警備兵に命を助けられ、そのうち仲良くなってしまったために悲劇が起きてしまうという、なんとも泣くに泣けない物語でしたが、あれは心が張り裂けそうな作品でした。
主人公がどっちなのか最後まで観てみないとわからないのも非常に良くできていると言えますが、残念なのは相手を思いやる気持ちを優先して命を落としてしまうという極端なところです。江戸時代ならともかく現代の日本人には難しいでしょう。
究極の純愛を描いた「you are my sunshine」
「you are my sunshine」では娼婦に恋をしてしまった男性が、女性がHIVを発症して死んでしまうことが分かっても本気で彼女を思い続けるという、現代人にはなかなか真似のできない社会的な観念を超越した情熱・純愛を表現した、これまた熱い作品でした。
ただの一人者の男性の孤独を描いただけならこんなに心に響くはずがありません。この作品の素晴らしさは、究極的な純愛を描いている点にあると思います。悪く言えばバカまっしぐらとも言えますが、これも現代の日本人には難しいでしょう。
カイジのパクリ疑惑も相手しないイカゲーム
「カイジ」や「バトルロワイヤル」のパクリ疑惑で問題となっているイカゲームも、最後の見せ場はやはり韓国人の熱い義理・人情・友情が止めをさした作品だと言えます。
主人公が幼馴染と幼少の頃に一緒に遊んだ子供遊びのイカゲームをクライマックスに持ってきて、昔の清純な心＝童心を目覚めさせたことで殺し合いが収まるという見事なゲームの締め方でした。最後にジグソウみたいに現れるゲーム主催者はあきらかにソウから着想を得ていると想像できます。
JSAの男女恋愛版で大沸騰した「愛の不時着」
「愛の不時着」はパラシュートで誤って北に舞い降りた女性が北の男性と恋に落ちるという、あってもいいけどなかなか現実には起きないようなことを、「JSA」の男同士の友情を男女の恋愛に置き換えて面白くした作品でしたが、これもやはり心を題材にしてる点では典型的な韓流作品といえます。
中国で見た北朝鮮の留学生
大学３年～４年まで中国に留学して１年間中国語の修得を目指して勉強したことがありました。周りには同じように中国語を勉強する目的で世界各国から留学生が来ていました。
アメリカ人、ロシア人、トルコ人、アフリカの某国、マレーシア人、インドネシア人、ラオス人、北朝鮮人、日本人、私の記憶している限り9カ国の学生が同じ中国の地で勉強していました。
留学生になって初めて知ったこと
初めて知ったことですが、多くの留学生が１年間だけの交換留学ではなくて、本科生として最低4年間在籍して勉強する前提で試験に合格して入学していたようです。
中には祖国で紛争が起きたことがきっかけで帰国を余儀なくされた方もおられ、国と国の関係性のシビアな面について実際に直面し学ばされたのも中国が初めてです。
ところで、北朝鮮の留学生ですが日本人と同じくらいたくさん来てまして、全員同じ同じ宿舎で同部屋という特殊な生活環境だったようです。他国との接触を避けるよう管理されていたものと思われますが、学習面でも困難だったと予想されます。
それでも、隣国でもあり友好国である中国と仲良くするための大切な人材の育成にあれほど大量の留学生を送り込むのですから、ある意味それ以上のものを感じます。
留学生パーティーで発見した意外な側面
外国人同士といっても所詮は人間同士の付き合いなので、普通に毎日顔を合わせていれば仲良くなる人も現れて友達になったりします。一方で、どうしても仲良くなれなかった人達もいたことは事実です。
ところで、せっかく出合った縁もあることだしもっとわかり合えればいいなということで、クリスマスパーティーが開かれました。そこでは、各国がグループに分けて催しものを披露したりしてにぎやかに楽しむのですが、なぜか私は仮装させられました。
私はなにか特技があるわけでもなかったので、吹奏楽とかやってた人たちは得意な楽器で演奏を披露したりできるのですが、それができないので音楽に合わせて踊れという話にまとまったのです。これには私もいささか抵抗がありました。なぜなら全身白いタイツを着て口紅まで縫って音楽に合わせ踊らされたのですから。
ところが、この演目を披露した時に一番前の座席に座っていた北朝鮮の留学生の人達は、私の踊りをみて大拍手してゲラゲラと笑ってくれたのです。私はこれに本当に救われました。それと同時に今まで会話もしてくれなかった人達が実はこれほど笑ったりするんだと驚きました。
今となっては非常に貴重な経験となりましたが、当時の人生経験も浅い19歳の若輩者にはそれがどれほど意義深いことなのかまでは理解できませんでした。実は北も南も日本も韓国も北朝鮮も同じ人間に違いないのだと、このことがはっきり証明してくれていたのです。
でも、「JSA」とか「愛の不時着」は南北の問題をテーマにしてそれでも人間同士わかりあえることを表現してくれましたが、いつか韓国・北朝鮮と日本をテーマにした、面倒で難しい作品を作ってくれる人が現れないか楽しみです。
結局、文化と文化の交流から理解し合ったほうが人はやり易いんだなと、最近の韓流ブームを見ててなんとなくそう思いました。
JSAをネットで見るなら、ABEMAかU-NEXTで今なら無料で視聴できます。
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